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日本におけるDX論の最先端-RPAはDXの夢を見る-


企業変革古今東西

経済産業省がDXレポートのver1を公開してから早3年。
当初は抽象的な内容で手触りのない議論が続いていたが、最近では事例も増え、各々の企業は「DX」を意識し経営計画に組み込めるレベルまで理解していると認識している。
しかし、多くの企業がこの革命に乗り遅れ、取り組んでは挫折している状況である。
そうした事実は私の肌感覚で述べているのではなく、いくつかの統計データからも明らかである。

プレス発表 日本企業486社のDX推進状況を分析、DX先行企業の割合は昨年から倍増
https://www.ipa.go.jp/about/press/20220817.html

何が「DX」の理解を推進を難しくしているのか。
それを言い表すことも難しく、そもそも一元的に表現しようとすること自体が間違っていると考える。
何を変革するのかは各々の企業が自社のビジョンや経営目標と照らし合わせて定めるものだからだ。
まずは現実が複雑であるという認識からスタートせねばならない。

仮にある程度「DX」の理解が深まりいざ進めようとしてもデジタルを活用することで自分たちはどんな利益を享受することができるか、会社をどのように変えていけるのか、顧客体験がどれくらい素晴らしくなるのか等の問いに答えられるものでなければ革命は続かず、いたずらに社員を疲弊させるだけになり、失敗したことで改革に躊躇してしまう企業体質にもなりかねない。

ではどうすればいい良いのか。どこに向かえばいいのか。
そんな問いに対して一つ解を出している書籍が最近発売された。

ここではUiPath社についての記載は割愛するが、RPAというテクノロジーのリーダー企業である。
かくいう自分は先日こちらの会社のイベントであるUiPath FORWARD 5 inLas Vegasに現地参加する機会を得ることができ、業務改革の最前線の空気を吸わせていただいた。
この本ににはそこで感じた抽象的な感覚が言語化されていると思った。
大枠の内容としては、主題・副題にもある通り「現場が主役」というのがキーメッセージで述べられ、それを補足する形でDXを実践している企業の経営者との会談や著者の言葉が紡がれている。

インターネットの普及が色んなビジネスを生んだように、スマートフォンの普及が様々なアプリを生んだように、デジタルを空気のように扱える状態まで仕上げると予期しない革命が次々に起こる。
全てのビジネスが意図的に生み出されたわけではないだろう。
テクノロジーに興味を持ち、多少の失敗も経験しながら大きな成功を手にする。このプロセスを企業変革にも当てはめて議論しようというメッセージをこの本から勝手ながら受け取った。

まずは現場から革命の機運を高める、そして上司や経営層が正しく評価し、改善を続けられる文化を醸成すること。

従来のDX論は「DX」の「X(変革)」はビジネスモデルだったり製品・サービスといったものにフォーカスが当たりがちだが、まずは従業員をデジタルネイティブの思考に変革し、デジタルの価値を正しく理解させることが重要であると認識する。
そうした土壌があってこそ施策に迫力が生まれ、結果的にビジネスモデルや製品・サービスの変革が起こるのだ。

この本はこうした内容を平易な言葉で、それでいてこれから進んでいく者たちの道標になるようなはっきりとしたロジックを示している。
これまで様々なDX本なるものを読んできたが、この本は特に面白く、今後のDX論において重要な一冊になると確信している。
是非企業変革に関わるすべての人が読んでほしいと思う。

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