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デザイン事務所のお客様(9)~モラルなしカメラマン編~

こんばんは。田舎の小さなデザイン事務所で働くたまです。

今回はとあるカメラマンさんの話をしようと思います。
こちらのカメラマンさん、以前お話した「ホームページを一万円で作らされた」という話の、仲介をしてくれた(というかしやがった)方なのですね。
そのお話はこちらからどうぞ↓

このカメラマンO氏は50代の男性で、何かのきっかけで代表と知り合い「僕と一緒にあちこち営業に行って、写真撮影とデザインセットの仕事を取りませんか」と話を持ちかけてきた……んだったと思います(だいぶ前の話なので記憶が曖昧)。

代表も事業規模を拡大したいと思っていたので、それに乗りました。
やはりデザインと写真は切っても切れない関係にあるので、腕のいいカメラマンさんと組めると、チラシやメニュー表の制作がとても楽です。

ただ「腕が良ければ」の話です。

O氏は風景を撮るのが得意な方で、チラシ等に使うような商品写真の撮影、いわゆる「物撮り」は苦手だったんですね……。
苦手というか、恐らくは撮り方を知らないし、デザイナーがどういう写真を欲しがっているかを気にしないタイプ、だったんだと思います。

そしてちょっと俺様気質なところがあり、あまり注文をつけると不機嫌になってしまう性格でもありました。

うちの代表の悪いところは想像で先走ってしまうところで、O氏に関してもその写真や人となりをよく知らないうちに一緒に仕事をすると決めてしまったので、そもそもそれが失敗のもとでした。

写真にもいろんな種類があり、カメラマンにも得意なジャンルがあります。
風景写真が得意な人、人物写真が得意な人、物撮りが得意な人、その中でも特に料理が得意な人……等々。
O氏がどんな写真を撮るのか、ちゃんと確認しなかった代表のミスです。後から頭を抱えても仕方がない。

ただ「仕方ない」ですまされない出来事がありました。

発端は、O氏が「カメラ講座をしようと思う」と言い出したことです。
一般の方を対象に、一眼レフカメラでの写真の撮り方講座をする。ついてはチラシの制作や集客のお手伝い、会場の手配なんかをしてもらいたい、と。

代表はこれを引き受けました。
うちの事務所がやったのは大体次のようなことです。
・会場の手配
・チラシの制作
・Facebookのイベントページを作って告知
・申込者の名簿を作る
・申込者とのメールのやりとり

そしてカメラ講座の日程が近づいてきたので、代表はO氏に
「当日の資料があれば印刷するのでデータを送ってください」
と伝えました。

O氏「当日の資料って何がいるの?」
代表「PowerPoint使うならそのスライドとか、使わないなら要点を書いたレジュメとか……」
O氏「必要かなあ」
代表「そりゃあ、皆さん全部をメモるのは不可能ですから必要だと思いますよ」

どうやらO氏は資料なしの丸腰で講座に挑もうとしていたようです。
が、代表が「それは作ってください」と強く言って、渋々O氏は資料作りを始めました。

数日後、O氏からやたらと重いデータが届きました。
開いてみると、なんと100ページ超のPDFデータ!!
なんじゃこりゃ!と思って中身を確認したら、意外にもカメラの操作方法について、実際の写真やイラストを交えながら詳しく書いてあります。

内容は素晴らしいのですが、いかんせんカメラ講座の資料にしては量が多すぎます。ちょっとした教科書ですよこれは。

代表がO氏に
「これは多すぎるのでまとめてください」
と連絡すると
「これでいいから、印刷して」
という返事。

代表「印刷しろの一点張りなんだけど」
私「無理ですねえ。これ印刷費だけでもかなりの金額になりますよ
代表「あ、そうか」

そうなのです。
うちの複合機は某社とリース契約している1枚いくらのカウンター料金です。ちなみにモノクロは1枚3.3円、カラーは1枚13円。
ということは、100枚の資料を印刷すると「13円×100枚=1,300円」
実際には紙代や電気代、さらに印刷や紙を綴じる作業にかかる人件費もプラスしなくてはいけません。

今回のカメラ講座の受講費用は1人4,000円。
受講費用の半分近くが印刷費で消えてしまう。そんなバカな話はありません。

代表がその旨をO氏に伝えると、今度は彼は「それを教材として売る」と言い出したのです。
ちゃんと綴じて1冊1,000円で売る、と。

ここに来て私は、こんなにこの資料を使いたがるなんてなーんかおかしいな、と思い始めました。
せっかく作った資料だからどうしてもこれを使いたいということなのか?確かにすごく綺麗に作ってある……いや綺麗すぎないか?
そもそも数ページのレジュメでいいのに、なんでこんなに大量に……。しかもたった数日で……。

もしや、と思ってあちこち検索したら見つかりました。某カメラメーカーのホームページで、O氏に渡されたのとまったく同じPDFデータが。
O氏は自分で資料を作るのが面倒なので、無料配布されているデータをそのまま「自分が作った」と称して送ってきたのです。
さらにそれを売る、と。
これは立派な著作権侵害ですが、O氏にはそんな意識はないようです。

とにかくうちとしては犯罪の片棒を担ぐわけにはいきません。
私は代表に事の次第を話して、資料を使うのをやめるように連絡してもらいました。

O氏は結局丸腰でカメラ講座に挑み、つつがなく終了したそうです。私はその場に行ってなかったので聞いた話ですが。

しかしその後、また講師料の支払いでちょっとしたトラブルになりました。
もともとO氏とうちの事務所の取り分は折半、という話だったのですが、受講者が10人で40,000円の収入、そこから会場代と諸経費を引いた額を折半したら「話が違う」と怒り出したようなのです。

O氏は40,000円を折半しろと主張したそうで……。
つまり会場費と諸経費はまるまるうちが負担すると思っていたそうです。

20,000円から、会場費と諸経費を引いたらうちは赤字です。チラシのデザインやその他いろいろな手配をしているのに。
対してO氏は当日2時間講師をしただけ。
それで20,000円よこせ、は虫が良すぎます。

それがもとでO氏と代表の仲は険悪になり、以後はすっぱり縁が切れました。
その後O氏はカメラマンでは食べていけずに、建設現場でアルバイトをしている、という話を聞いてざまあみろと思ったものです。

が、さらにその後、とある地元密着型のタレントさんのツイッターで「専属カメラマンのOさんに撮ってもらった」という呟きを見て、それがあのO氏だったので、ちょっとモヤモヤしたりもしたのですが……。

さて、今回のお話はここまで。
毎度長文なのですが、いつも読んでくださる皆様ありがとうございます。
だんだん気温が下がってきましたが、体調を崩されませんようご自愛ください。

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