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自分を許し、認めるとは?


自分を許し、認めるということの心理学からの視点

「自分を許し、認めてあげよう。あなたはあなたなりに、その時その時点で思い付くことを、できる限りやってきているのです。今のあなたがどんな状態にあっても、自分の努力は認めてあげよう。大切なことは、これからどうしていくのかであり、過去は関係ない。」

アルフレッド・アドラー

この言葉は、私たちが自分自身と向き合う上で、とても大切なメッセージを含んでいる。心理学の視点から、このメッセージをさらに深く掘り下げて考えてみたい。

自己肯定感と自己受容

心理学において、自己肯定感とは、自分自身を価値のある存在として認め、受け入れる感覚を指す。自己肯定感は、心の健康を保ち、幸福な人生を送る上で非常に重要な要素である。

しかし、私たちは往々にして、過去の失敗や後悔にとらわれ、自分を責めてしまうことがある。完璧主義に陥り、理想の自分と現実の自分のギャップに苦しむことも多々ある。

そんな時こそ、自己受容が大切になる。自己受容とは、良い面も悪い面も自分自身の一部分であり、そしてありのままの自分を受け入れることである。過去の自分に理解を示し、できる限り許し、過去の自分の首根っこから手を放すことは今の自分の生きる力を高める為にはとても大切なことである。

そして今の自分の「成り」を認め、未知なる未来の自分へと発展していくために、適時、自己受容を進めていくことは成長と幸福には欠かせないプロセスなのである。

自己肯定感と自己受容を高めるためのアプローチ

心理学には、自己肯定感と自己受容を高めるための様々なアプローチがある、もはやググれば、それらの療法やアドバイスはたやすく手に入るのでここでは割愛する。が、それでもあなたに覚えておいてほしいことを1つあげるならば、それは「自己慈悲」である。

自己慈悲とは、読んで字のごとく 自分自身に優しく compassion を持つことで、心の痛みを癒し、自己肯定感を育むことである。無理にとは言わないが、できる機会があるならば、自分の相談に十分にのることである。

「自分自身と向き合い、理解を深める」とは、時に時間がかかり、自分との対峙を避けてしまいたいときもあるが、自分に慈悲を与えてあげなくてはならない。

過去の自分を許す

「大切なことは、これからどうしていくのかであり、過去は関係ない。」という言葉は、一見すると、過去を否定しているように聞こえるかもしれない。しかし、心理学的には、過去を適切に処理することが、未来へと進むために重要であると考えられている。

我々の足下には過去の自分が幾重にも積み重なっており、それらは今のあなたを更なる頂へ到達させる踏み台になってくれている。そんな過去の自分は敵でもなければ、ましてや困った人物でもない。今の自分の一部分なのだ。

過去のトラウマや後悔にとらわれ、自分を責め続けている状態は、心の健康を損ない、未来への歩みを阻害する可能性がある。

過去の出来事を客観的に振り返り、その経験から何を学び、どのように成長できたのかを認識することで、私たちは過去を許し、手放すことができる。

今の自分を認める

「あなたはあなたなりに、その時その時点で思い付くことを、できる限りやってきているのです。」という言葉は、私たちに自己肯定の根拠が確かにあることを伝えている。

私たちは皆、完璧ではない。その時々の状況や能力の中で、最善、最適、もしくは直感で選択してきたはずだ。たとえ結果が思案通りに顕現化しなかったとしても、自分の活動行為とプロセスを認め、過去分のタスクはコンプリートされていることを素直に受け止めよう。

なぜならば、自己肯定感を高めるためには、小さな成功体験を積み重ねていくことが大変有効だからだ。達成可能な目標を設定し、そのタスクを潰していくことで、「自分なりにできる」という実体験を育むことができる。自信は実体験の積み重ねからしか感じられない。

未来の自分へと進んでいく

未来に対する不安や恐怖を感じることもあるかもしれない。それは心理学の世界では「予期不安」という。この予期不安は、頭の回転が速い人に多い。つまり、瞬時に現状を分析して未来をイメージ化し、あたかもそれが実体験されている物であるかのようにフィードバックを得る。

殆どの場合、不安要素を想起するので、その人なりの失敗シーンが見えてくる。すると、それにたいする拒否反応として「めんどくさい」、「失敗するのが怖い」、「駄目だったら損をそる」などの不安感が言語化されて認識される。

これは逆に言えば、危険探知能力が優れている証拠でもあるのだ。ならば、いっそこの予期不安能力を使い、不安材料を駆逐する算段を「今」取り組むようにしよう。予期不安の弱点は行動なのだ。

どんなささいな行動でもいい。休む間もなくタスクを潰していこう。予期不安は、ただの感覚で、それ以上でもそれ以下でもないのだから。

まとめ

今回紹介したアドラーの言葉は、心理学の観点からも、私たちに重要な示唆を与えてくれる。過去の自分を許し、今の自分を認め、未来の自分へと進んでいく。そのために、心理学の知識やテクニックを活用し、自己肯定感と自己受容を高めていこう。

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