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マタニティリープマガジン vol.37 コーチとクライアント対談:チェコ人との結婚、移住そして隕石が落ちたような出産経験、「自分の可能性を掛け算する」コーチングでリープ (2回/全3回)

みなさん、こんにちは。「マタニティを飛躍の機会に」。マタニティリープです。このマガジンでは毎週木曜日にメインコンテンツとして、マタニティ期、子育て期の経験とリープについて伺ったインタビュー記事を連載しています。今回は恩塚翔子さんのインタビューの2回目(全3回)になります。読んでいただいて、共感したり、元気になったり、癒されたりと、みなさんの力となる記事になれたら嬉しいです。

チェコでの結婚式

2012年、恩塚さんが人生の迷いの中で出会ったのが、コーチのなべゆき こと 渡辺有貴(マタニティリープ共同代表)でした。コーチングで自分の本音に気づき、行動を変え、人生の大きな決断や挑戦を重ねてきた恩塚さん。コーチとクライアントの二人が再び集まり、コーチングを通じてどのように「リープ」を遂げてきたのかを振り返ります。独身時代からチェコ人の旦那さんと結婚し、移住、二人のお子さんを出産した恩塚さん。心の変遷と、人生の選択に影響を与えたコーチングの力、恩塚さんのマタニティリープの軌跡を探るインタビュー形式の対談です。(二人がコーチ&クライアント関係であることやコーチの守秘義務については、クライアントの恩塚さんから了承を受けて、インタビュー内容として記載しています。)

<1回目の記事はこちら>

「チェコでの新しい挑戦と家族のリープ」(2回目/全3回)




海外での新たな生活への挑戦

なべゆき: 今の旦那さんに出会って「この人かな?」と思い、結婚するというところまで話してきましたね。そこから、結婚してイギリスに行ったり、チェコに行ったり、新しい生活を始めるという大きなリープがあったと思いますが、その辺のことを聞かせてもらえますか?

恩塚さん: そうですね。まず、父が国際結婚に大反対していて、私と口をきかない時期がありました。私は両親の期待に応えることが大事という育ち方をしてきたので、反対がある中でそっちに行くという経験はとても大変なことでした。でも、自分を信じてやっていました。ある時、父が私の変わらない態度を見て「本気なんだろうな」と分かったんでしょうね。夫と会うと言い始めてから結婚がどんどん進んでいきました。

なべゆき: そして、チェコに移住することになったんですね。最初はどこだかわからない場所に行くのは大変だったでしょう?

恩塚さん: はい、チェコについて調べるところから始まりました。当時は家族との関係どうしようとか、日本が好きなのに離れるのか、自分は本当にやっていけるのか、と悩んでいました。なべゆきさんともたくさん泣きながら話した記憶があります。

新たな国での暮らしと挑戦

なべゆき: 私が覚えてるのは、結婚すると価値観や大事にしているものが変わってくるんだけど、恩塚さんはずっと家族のことを大事にしていたことです。結婚するってことに関しても、祝福されながら、また新しい家族を作り、家族を広げていったと思います。お父さんとの関係性とか、向こうに行っても向こうの家族との関係性とか、本当に大きな家族を大事にし続けて広げてきた人だなーってそんな風に思います。

なべゆき:その後のチェコの生活も伺いたいのですが。

恩塚さん: 到着してからは無我夢中でしたね。生活の基盤を作るために必死でした。スーパーに行っても何がどこにあるか分からないし、チェコ語で「ソーセージはどこですか?」と聞いたらマッチ売り場に連れていかれることもありました。

なべゆき: チェコでは英語は通じるんですか?

恩塚さん: 基本的にはチェコ語ですね。若い世代は英語が話せるけれど、それもプラハの中心だけ。私は郊外に住んでいたので全く通じなくて。東京でキャリアを積んでいた私が、突然赤ちゃんのような生活に戻った感じでした。夫の助けがないと何もできず、「これは私が望んでいる生活じゃない」と気づきました。

自分の居場所を見つけるための努力

なべゆき: そこでチェコ語を学び始めたんですよね。日本人は少なかったんですか?

恩塚さん: かなり少ないですね。マイノリティです。日本人のコミュニティもありますが、小さいものです。

なべゆき: 車で一人で出かけることが大きなチャレンジだったと聞きましたが。

恩塚さん: 車の運転は本当に怖かったです。家でもドアの鍵の開け方もわからなくて閉め出されたり。(苦笑)文化の違いに直面することが多かったですね。本当に文化が変わるって、頭ではわかってたはずなんだけど、行ってみると体感覚としてはもっと衝撃波が大きかったです。親戚付き合いとかも本当に大変でした。

なべゆき: その中で語学学校に通い始めたんですね。

恩塚さん: はい、チェコ語を学びに通いました。英語と全く共通点がないので、単語帳を受験の時のようにめくって勉強していました。その時、経済的に自立していない感覚がすごくあって。何でしょうね?そこで働いてないっていうことで自分が社会と分離している感じがありましたね、学生っていうのもあって。

なべゆき:結婚して単身向こうに行って、語学を通じながら、自分の生活の基盤を作っていくっていう。そんな期間が一年ぐらい続いた?
 
恩塚さん:学校自体は半年で終わる学校だったんですけど、半年やってもやっぱりまだ喋れるようには全くならないので、あとはもう日常の中で義理のお母さんと会話を通じながら、どうにかこうにかやっていく感じでしたね。

新しいキャリアへの挑戦

なべゆき: その後、仕事を始める決断をしたんですね。生活っていうか、自分の自由になるお金を稼ぐとか、その辺はどんな風に思って、どういうリープがあったんでしょうか?

恩塚さん: はい、語学学校を卒業してから就活を始め、日系の商社で働き始めました。英語を使いながら、ヨーロッパ各地のお客さんとやりとりし、チェコ人の同僚たちと一緒に働くという新しい挑戦でした。

なべゆき: その職場での経験はどんなものでしたか?

恩塚さん: すごく大変でした。社長は日本人だったんですけど、あとは私と周りはチェコ人という環境で仕事を始めました。コミュニケーションのとり方をヨーロッパ流に調整していくのも苦労しました。日本人の謙遜は逆効果。自分に何ができるかを誇大表現するくらいが丁度いい。(笑)面接で上司がギリシャ人だったので、その方に対してアピールする練習を夫に怒られながらやっていました。まず「目を逸らすな」とか、「下を向くな」、「謙遜するな」って言われて、「私はこれができます!」と言い切れみたいなことを言われて、えー!ってなりながら練習してました。

新たな家族の未来を描く

なべゆき: 仕事や結婚、将来の家族について、旦那さんとどんな話をしていたのですか?

恩塚さん: 結婚したのは31歳のとき。お互いに子どもは欲しいと思っていました。でも、まずは私がチェコでの生活に根を下ろすことが先でした。働いて、生活が安定してきた頃に「そろそろ子どもを」となったのですが、体が子どもを授かる準備ができていなかったんです。チェコに来てから多分、もともと頑張りすぎちゃうタイプで、アドレナリンを出してやってきていたので、体が「子どもを授かろう」みたいな感じになっていなかったんですよね。ホルモンバランスが崩れていて、子供が授からないということが続き、不妊治療を始めることになりました。

なべゆき: 話は前後しますが、日本に住む選択肢もあったのでは?

恩塚さん: そうですね。元々日本に10年住んでいた夫がチェコに先に戻っていたこともあり、私も自然とチェコに来ることになりました。今でも永住するかどうかは浮いているテーマです。ただ、子供の教育のこととか、いろいろ考えると、ヨーロッパは良いよねというところもあって、どうしようかねという感じです。

チェコの美しい街並み

なべゆき: 子どもを授かるまでにはいろいろなことがありましたね。

恩塚さん: そうですね。体調管理に気を配ることの大切さを学びました。その時に月経が止まっていたり、子供が欲しいのに生理がないという状況で、ホルモン治療を始めました。「これは私が長い目で生きていく中で、この頑張り方は違うんだ」と気づきました。それで、体の声を聞こうと思い、ヨガの勉強を始めたりしました。働きながらですけどね。不妊治療と並行して、ヨガやコーチングの勉強も始め、自分自身の健康と心のバランスを取り戻していくプロセスがありました。

なべゆき: 不妊治療を続けながら、実はヨガの勉強とコーチングの勉強も始めたんですね。そして、日本に行って勉強して帰ってきたときに子供を授かった。

恩塚さん: そうです。私は本当はおっとりしていて、マイペースなんですよ。ウェルビーイングみたいなことがすごく響くというか、健康と内面から美しくあることに共鳴するんですよね。だからヨガはぴったりでした。

なべゆき:
コーチングもクライアントとして長く受けている中で勉強しようと決めたんですね。
 
恩塚さん:
そうなんです。

<次回最終回に続く>

▪️編集後記


「マタニティリープマガジン」をお読みいただきありがとうございます。最近山口周さんの「クリティカル・ビジネス・パラダイム:社会運動とビジネスの交わるところ」を読みました。マタニティリープの活動とこの新しいビジネスの概念が驚くほどシンクロしていると感じています。本著で出てくる「クリティカルビジネス」とは社会運動、社会批判をビジネスの枠組みを使って行う特徴があります。クリティカルビジネスの側面がマタニティリープの目指す方向性と深くつながっていることがわかりました。

まず、批判的思考。山口さんが提唱する「クリティカルビジネス」は、既存のビジネスの常識や慣習に対して批判的な視点を持ち、新しいアプローチを模索することが重要です。マタニティリープでも、妊娠、出産、子育てにおける従来の常識を覆すことを目指しています。例えば、マタニティブルーや産後クライシス、チャイルドペナルティといったネガティブな言葉で問題を解決するのではなく、「マタニティを飛躍の機会に」と捉え直す逆転の発想を提案しています。「反抗が社会資源になる」と山口さんは話していましたが、少子化もそうですが、社会の空気としてかなりネガティブになっているところにこのオルタナティブなコンセプトを提案しているあたりがまさに私たちらしさだなと感じます。

次に、社会的価値の創造。クリティカルビジネスは社会のために新しい価値を創造することを重視しますが、マタニティリープでも同様のアプローチをとっています。例えば「育休からどうやって効率的に復職するか」や「キャリアをどう構築するか」といったソリューションにとどまらず、「どんなママであっても、自分が主役になっていい」という考え方を提案しています。それぞれのママが自分の満足できる状況を築ける新しいOS(思考体系)を目指しています。

また、持続可能性の観点も、マタニティリープの原動力となっています。日本だけでなく、世界中で「マタニティリープ」の考え方は役に立つと信じています。また、私たちの子供の世代に向けても、妊娠、出産、子育てについて曖昧な不安感や恐れよりも、夢や希望、時に失敗からも選択肢と可能性が広がる未来を描き、創造していきたいと考えています。

さらに、多様性と包括性の推進という点も、マタニティリープの活動に欠かせません。私たちは、ママ本人だけでなく、パパや祖父母、上司や同僚、さらには結婚していない人々や子供のいない人々とも協力し合うことを目指しています。それぞれが持つ本音や夢を、つながりの中で語り合うことが大切だと感じています。「分かり合うことはできないかもしれないないが、分かち合うことはできる。」先日行ったクラウドファンディングからわかったことです。マタニティリープが提唱する「本音」「つながり」「夢」を基盤に、応援し合う関係性を築き、もはやどちらが応援していてどちらが応援されているのかわからないようなつながりを目指しています。

「クリティカルビジネスパラダイム」と「マタニティリープ」、どちらも現状の枠組みを打破し、より豊かで持続可能な未来を創り出すためのアプローチです。これからも私たちは共鳴するビジョンや喜びから行うプロジェクトを共有し、共に歩んでいきたいと思います。もし、このプロジェクトを応援したい、または自分も応援してもらいたいと感じた方は、ぜひお声がけください。

引き続き「マタニティリープマガジン」をよろしくお願いいたします。

<編集>
マタニティリープ合同会社
https://www.maternityleap.com/

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