見出し画像

生産的な会議にする方法

【答え】


●会議の目的は「組織的な意思決定」ということを理解する

●必要最低限の人数で行う

●事前準備(アジェンダ)

●ファシリテーション

●事後対応(議事録)

アヒル会議

会議は、ビジネスにおける無駄の典型としてよくフォーカスされる印象がありますが、実際には組織において会議は必要不可欠なものです。
なぜ会議が必要不可欠なのかは、会議の目的という観点でお伝えしてきますが、ここで伝えておきたいことは、会議自体が無駄ではなく、会議のやり方に無駄があるということです。

つまり、会議の目的にフォーカスし、その目的を果たすための要素を抽出して取り組めば、会議自体も組織自体も生産的になる可能性が高まります。

会議を生産的なものにするための要素については、冒頭で答えを4つ記載しています。
以降の記事では、答えの詳細や具体的な運営方法までお伝えしていきますので、もし興味があれば最後までご覧下さい。


会議の目的

ズバリ

まず、最初に理解しておくべき「会議の目的とは」について解説します。

会議の目的は、一言でいうと意思決定のためです。
しかし、ただの意思決定ではなく、「組織的な」意思決定です。
「組織的な」意思決定には2つの要素が含まれており、1つは組織に影響を与えるという意味で重要であるということ。
2つ目は、複数人で意思決定を行うということです。
最終的な決定方法は、多数決であったり1人の最終決裁者が決定するなどのパターンがありますが、いずれにしても組織自体は1人で回しているわけではないので、組織での意思決定は複数人が関わります。

特に、会社の規模が拡大していき、事業部や部署・部門が分かれてくると、どこかの部署には都合がよくても、他の部署にとっては都合が悪いという選択が増えてきます。
そのような場合に、それぞれの部署が折り合いをつけながら着地点を探すのに、会議は有効な手段になります。

最近では、リモート会議など、会議の方法の幅は広がってきていますが、いずれにしても、意思決定に関わる人全員がリアルタイムにコミュニケーションできる状態を作る必要があります。
もし会議自体を行わず、リアルタイムに議論や意見交換をして意思決定の調整をしなければ、意思決定自体が非効率になり、誤認や誤解による誤った意思決定をしてしまう可能性もあります。

このように、スピード感を持って質の高い組織的な意思決定ができるという意味で、会議は組織を生産的にする効果があります。


ミーティングと混同しない

ミーティング

よく、会議と混同されがちなのが「ミーティング」です。
会議を英訳すると「meeting」と訳されることが多いため、会議とミーティングを厳密に分けて定義するのは難しいのですが、それぞれを目的別に使い分けたほうが意思疎通がうまくいきやすくなります。

ミーティングは、意思決定が目的ではないという点が会議と最も違う点です。
ミーティングは、コミュニケーションや情報共有が目的であり、会議より軽い、ライトな場として使うといいでしょう。

もちろん、目的が意思決定でないだけで、意思決定をしてはいけないというわけではありませんが、目的をはっきりさせることでその場でするべきがはっきりし、参加メンバーの意識も違うはずですので、意識して使い分けることをおすすめします。


生産性とは

うまくいっていない会議

もう1点押さえておくべきことがあります。
タイトルにある、「生産的」とは何かということです。

昨今、生産性向上というワードが政治やビジネスの場でよく出てきますが、生産性が高いとは、インプットに対してアウトプットの比率が高いことを指します。
式にするとこんな感じです。

生産性 = アウトプット ÷ インプット

アウトプットとは、「成果」のことですが、分かりやすい指標でいうと「売上」ですが、目的によっては、
・新規顧客獲得数
・顧客単価(の向上)
・メルマガなどの登録件数
・視聴回数
などの成果指標も考えられます。

インプットは、その成果を上げるために投入した人員、時間などのことで、分かりやすい指標でいうと「コスト」です。

生産的な会議ということにフォーカスして考えると、以下のことが重要なポイントになります。

【アウトプット】

重要な意思決定が数多くできる

その意思決定が確実に実践される

【インプット】

最低限の人数

短い時間

この中で、アウトプットの部分や短時間で意思決定をする方法はこの後解説しますが、人数の部分はすぐに解決できます。

その方法は、意思決定に関わる人だけで会議を行うということです。
当たり前のことのように思えるかもしれませんが、意思決定に関わっていないにも関わらず、今まで参加していたからという理由で会議に参加しているケースはよくある話しです。
それ以外の理由でも、必要のない人が会議に参加しているケースは意外と多く、その人がもし会議に参加していなければ、その時間に必要な仕事を進めることができるという意味で、組織としての生産性を下げてしまっています。

本当に意思決定に必要な人だけを選び直し、会議を行いましょう
参加しないメンバーに会議の情報共有ができないという声が聞こえてきそうですがそれはこれから紹介するアジェンダや議事録を活用することでカバーすることができますので、このまま読み進めてみてください。


生産的な会議にするには

会議イメージ

生産的な会議のためのポイントについて、一つ一つ深掘りして解説していきます。

目的の理解

まず、先に紹介した「そもそもなんのために会議をやるの?」ということを、参加するメンバーや組織の人に理解してもらう必要があります。
組織的な意思決定をする場という認識がなければ、ただの情報共有や、無駄な時間を費やして何も決まらない場になってしまいます。
意思決定しない(もしくはしようとしない)会議は不要だという認識を、全員が共有することからスタートしましょう。


アジェンダの作成

会議資料

例に漏れず、会議の目的をスムーズに果たすためにも「準備」は重要です。
会議における準備とは、「アジェンダ」の作成と事前配布です。

アジェンダとは、会議の議題や内容などを簡潔にまとめたものであり、日本語にすると「進行予定表」というような具合でしょうか。
アジェンダを作成共有することで、目的の明確化と共有ができ、時間配分も記載するためタイムマネジメントも行いやすくなり、決められてた時間で結論まで持っていきやすくなります。

アジェンダを作成する手順ですが、まず「準備の準備」、つまりアジェンダを作成するための準備として、2つのことを行います。
1つは、会議の主催者に何を意思決定するのかを事前確認します。
2つ目は、前回の議事録の確認して、結論が先送りされたことなどがないかなどを把握し、もしあればそれも議題に盛り込みます。

これらを確認し、実際にアジェンダを作成してきますが、一般的には以下のような内容をアジェンダに盛り込みます。
・日時
・場所
・表題、タイトル
・参加者、担当者
・議題
・議題ごとの時間配分
・配布する資料
その他必要な事項があれば追加しますが、一目で何をするかがわかるくらいシンプルなほうが、この後に行う事前配布がより効果的になります。

アジェンダを作成したら、会議前に事前配布します。
「今日の話しは○○…」という確認作業から始まる会議ほど無駄なことはありません。
事前に配布することで、参加者が何を意思決定するかということが頭に入っており、議題や協議内容への理解が早くなります。
また、参加者が意見を考えたり準備ができる時間もあり、その意見のための情報収集もできるため、より質の高い議論が可能になります。

短時間で質の高い会議にするために、アジェンダの準備は必須です。


ファシリテーション

ファシる

実際の会議の場では、ファシリテーターを置くことで会議が生産的になる可能性が高まります。
この役割は自称”参謀”である僕も担っています。

ファシリテーションとは、議事進行という意味で使われることが多いですが、直訳では、「プロセスや活動を容易にすること」とされており、単なる議事進行ではなく、スムーズに議論を進めるためのあらゆる施策を施すことを指します。
そして、そのファシリテーションの役割を担うのがファシリテーターです。

あらゆる施策と書きましたが、そこまで難しいことをする必要はありません。
会議の目的は意思決定なので、その目的を効率的に果たすための調整役という意識をもって進行するだけです。

具体的どういうことをするのかをいくつか紹介しますが、例えば、アジェンダという議論の道筋があっても、議論は脱線したり長期化するものです。
議論が脱線した場合は、議論に割って入り一旦仕切り直しをするなど、導きたい結論(意思決定)に進むように議論に軌道修正をかけます。

長期化に対する対処方法はパターンによっていくつかあります。
議論が混迷しているパターンは、何を話しているのか分からなくなっているケースが多いため、何を意思決定したいのかを改めて伝えます。

議論が活発でない場合は、質問を投げかけます
特に、発言をしていない人に向けて質問を投げかけてみます。
なぜかというと、発言しないのではなくできていない可能性がある、または議論の時間に色々考えを深めており、新しい視点や突破口を与えてくれる可能性があるからです。
質問と言っても、組織の意思決定に関わるレベルの人なので、「○○さんはどうお考えですか?」くらいのオープンクエスチョンで大丈夫な場合が多いです。

議論は白熱しているが押している場合は、時間配分を改めて伝えましょう。
結論が出そうにない場合は、最終的な意思決定者(多くの場合社長)に議論をまだ続けるか、続けるとしたらいつまで続けるか、次回までペンディングするのかなどを決めてもらいます。

このような調整役を置けば、会議がスムーズに進む可能性が高まりますが、ファシリテーター役を担う人には気を付けて置くべきことが2つあります。

1つは、誰よりも目的を明確に理解しておく必要があるということです。
くどいようですが、会議の目的は組織的な意思決定です。
意思決定に導くということを主眼に置くようにしましょう。

2つ目は、主張はできるだけ控えるという点です。
よりよい意思決定に導くのが目的であって、ファシリテーター自身の主張を通すのことは役割ではありません。
この部分は、中小企業であればなかなか難しい部分であり、個人的な話しになりますが、僕もあまりできていない部分です。
場合によっては意見を加えたほうがいい部分もあるため、”主張を控える”くらいの意識を持つだけで十分かと思います。
補足ですが、主張でなくデータなどの事実(ファクト)を示すのは、正確な意思決定をするために非常に有効です。
主張は控えますが、必要なファクトは積極的に提供しましょう。


議事録の作成

画像8

会議中に行うべきことのもう一つが、議事録の作成です。
これも僕の場合はファシリテーターと兼任で担当しています。

議事録作成の目的は大きく2つあります。
1つは、備忘録です。
特に、意思決定した内容については忘れずに記載する必要があります。
2つ目は、タスクマネジメントです。
意思決定したことを確実に実行に移し、その実行度合いを管理しやすくするために議事録が役立ちます。

議事録は、検索してみると一字一句漏らさず書くべきだということが書かれている記事もありましたが、個人的にはおすすめしません。
相当な労力がかかりますし、その労力の割には議事録としての質を落としかねないからです。

議事録の目的をおさらいすると、実行に移すべきことを確実に実行するためのものであり、その備忘録でもあります。
その目的から考えると、一字一句漏らさず書かれた議事録は、何をすればいいのかわからず、文字の数も多いため、ほとんどの人が振り返ろうと思わなくなるでしょう。
そのような議事録よりも、文字量は少なくても要点がまとめられた議事録のほうがよっぽど役立ちます。

では、その要点とは何になるのでしょうか?
議事録に書くべき内容を重要度順に並べると以下の通りになります。
①意思決定の内容(誰が何をいつまでに)
②意思決定の経緯

③その他の会議の内容

①はマストであり、②はなぜその決定が行われたのかという理由になるため、こちらもできるだけ書くほうが良いでしょう。
③に関しては、ケースバイケースです。
議題と道筋が逸れていても重要な話しがあるので、そういったものは漏らさず記載します。
いずれにしても、この順番に記載を漏らさないように注意しながら書きます。

議事録を作成するコツですが、1つはアジェンダを元に作成すること。
もう1つは会議中に作るということです。
アジェンダは、それ自体が体系的にまとめられたことなので、要点を理解しやすくなっています。
なので、その議題に項目に当てはめて議事をとっていけば、自ずから整理された議事録が出来上がりやすくなります。

会議中に作るというコツは、純粋に忘れるからです。
もちろん、会議中に完成させる必要はありませんが、重要なポイントはアウトラインは押さえておき、文章として成り立たせたり、言葉遣いを正したりする程度の修正を後ほど加えれば完成できるようにしておきましょう。

議事録は、会議に参加したメンバー以外にも共有する前提で作成することも重要です。
その意味でも、なぜその決定に至ったのかという理由の部分は、やはり押さえておく必要があります。
そして、何を実行するのかが一目で分かるような工夫も必要でしょう。


議事録→アジェンダ

最後に、会議は定期的に行われるケースが多いはずです。
前回の議事録は、意思決定されたことの進捗確認や、先送りされた議題を次回会議に反映させるといういみで、アジェンダのベースになるものです。

このように、アジェンダと議事録をお互いに活かしあうことで、会議をスムーズに回すことができ、この部分も生産的な会議にするためのテクニックになります。


まとめ

会議を生産的にするためのポイントをまとめます。

●会議の目的は「組織的な意思決定」ということを理解しましょう
何事も「なぜそれをやるのか」という目的から押さえることが重要です。
意思決定をするという目的を明確にするだけで、議論のスピードや質が向上する可能性が高まります。

●必要最低限の人数で行う
会議は意思決定に関わる人だけで行いましょう。
関わらない人の参加はその人の時間を奪うだけです。
今までの惰性で参加をさせていないか再チェックしましょう。

●事前準備(アジェンダ)
アジェンダとは、会議の議題や内容などを簡潔にまとめたものです。
いつ、誰と、何を決定するために集まるのかということが事前に分かれば、参加者自身が準備ができますし、準備をしてきた人が集まることで議論もスムーズに進む可能性が高まります。

●ファシリテーション
ファシリテーションとは、プロセスや活動を容易にすることという意味であり、スムーズに議論を進めるための様々な施策のことを指します。
議論の脱線を軌道修正し、質問によって議論を活性化させ、タイムマネジメントをしながら最終的な決済を求めるという、議論の調整役がいることでスムーズに進行することができます。

●事後対応(議事録)
会議が終わったら、必ず議事録を共有しましょう。
議事録は、備忘録という役割と、意思決定した決定事項を確実に実行に移すためにも役立ちます。
振り返りやすいように、何をどのような経緯で決定したのか、誰がそれを実行するのかなどは必ず記載する必要があります。

まず、「会議は無駄」という概念を持っているのであればそれを捨てて、「会議の無駄」を無くすような取り組みをしてみてはいかがでしょうか。

この記事がそのためのヒントになれば幸いです!
もし、会議や経営についてお悩みがあれば、ご相談ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?