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【元ネタを探せ!②】「サイレント・ランニング」と「天空の城ラピュタ」

宮崎駿「天空の城ラピュタ」が公開された時、映画館で鑑賞した私のようなオタクの間で「あれ? このラスト、あの映画のラストに似てないか?」という「噂」が広まりました。

あの映画というのは、ダグラス・トランブルの「サイレント・ランニング」(1972)です。

トランブルは先日亡くなりましたが、「2001年宇宙の旅」のスターゲートの特撮や、「未知との遭遇」「スター・トレック(映画版第1作)」「ブレードランナー」などの特撮を手掛けた、特撮界のスーパースターです。

監督作品は少なく、2作しかありません。最初に作った作品が「サイレント・ランニング」になります。これ脚本がマイケル・チミノなんですよ。「ディア・ハンター」の。

「サイレント・ランニング」は地球の植物が絶滅した未来で、宇宙空間に巨大な植物プラント衛星を打ち上げ、それを管理する青年と2体のロボットの話です。ある日地球からプラント衛星を爆破して地球に帰還せよとの指令が下る。他の乗組員は喜びますが、主人公だけは「ここの植物たちはどうなるんだ!」と怒り、他の乗務員を殺害して、自分とロボットだけで外宇宙まで脱走する話です。狂ってますね。

それでなんだかんだあって地球からの救援を拒んで主人公は故障したロボット1体とともに自爆するんですが、残ったロボットだけが、誰もいなくなった宇宙に浮かぶプラント衛星で植物達に水をやり続け、果てしない宇宙を彷徨い続けて映画は終わります。

分かる人には分かりますね、このラストが「天空の城ラピュタ」とそっくりなんです。

エコロジーをテーマにしたSFであることもいかにも宮崎好みですし、ジョーン・バエズが歌う主題歌、日本語訳を読むとどことなくラピュタのエンディングの歌に似ているんですよ。

それで、オタクの間では「ラピュタ」への「サイレント・ランニング」からの影響がまことしやかに語られ続けているのですけど、次の点で私は断定できないものを感じてました。

「サイレント・ランニング」は1972年、「天空の城ラピュタ」は1986年公開だが、前者は実は長い間日本未公開で、公開されたのは1986年。つまり宮崎がこの映画を観てラピュタを作った可能性は低い。

と、思ってたんですが……実はWikipediaには1979年にテレビ朝日「日曜洋画劇場」でこの映画が放送されたと書かれてました。ということは、宮﨑駿はテレビで観ている可能性がありますね!

いずれにせよ、「ラピュタ」ファンなら絶対に「サイレント・ランニング」は観ておくべきでしょう。オタクの基礎教養です。

登場人物が極端に少ないのは、少ない予算を可能な限り特撮予算に振り分けらるためだったそうです。プラント衛星は土星の輪に接近しますが、これはトランブルが参加した「2001年宇宙の旅」は、本当は木星ではなく土星を舞台にする筈だったのが、輪の表現の技術的問題で断念したためだそうです。

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↑プライム・ビデオ「サイレント・ランニング」


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