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7月訪日客は前月比約5倍!その理由は? 週刊インバウンドニュースマガジン8月4週号

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1.前月比約5倍。オリパラ効果で7月の訪日客数は51,000人に

8月18日、JNTOより2021年7月の訪日客数が発表されました。

訪日外客数(2021年7月推計値)〜7月:51,100人、国際的な移動の制約続く〜(JNTO)

この数値は先月2021年6月の数値(9,300人)と比較すると548%と5倍以上の増加、一方でコロナ前の2019年7月(299万人)と比較すると未だ-98.3%の水準に留まっています。

前月比増加の理由はオリンピック開催です。大会に合わせて選手・関係者が訪日したことで、瞬間的に大幅な増加を見せています。

7月〜8月にかけては都内でも外国人と思われる方をたくさん目にしましたが、5万人という数値を見ると、改めて大会のもたらしたインパクトを思い知らされます。

今後報告されるであろう、7月の訪日消費額にも注目したいところです。

オリパラ効果の薄まる8月以降は、元の水準に戻ることが予測されます。

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参考までに、7月の訪日客の国別構成を見てみましょう。

やはり多いのは、オリンピックでも多数のメダルを獲得したアメリカ(6,100人)、中国(3,900人)の2カ国。

次いで英国(3,400人)、フランス(2,500人)、ドイツ(2,200人)と続き、韓国(1,800人)も比較的多かったようです。

中国・韓国からの訪日客が多いのはこれまで通りですが、先月まではインドネシア・フィリピン・ベトナムなどの東南アジア諸国の割合が大きかったことを考えると、やはりオリパラ効果と言わざるを得ません。

ラグビーワールドカップのときもそうでしたが、イベント等によって一時的に旅行者の構成が変わることは珍しくありません。

残念ながら今回のオリパラは、訪日集客に関して期待していたほどの効果をもたらしませんでした。

とはいえ2022年にはワールドマスターズゲームズが、2025年には大阪万博が開催されます。

その際は、同様に一時的な旅行者構成の変化が起きることでしょう。その際に、普段どおりの旅行者集客・接客を行っていては機会損失です。

そのイベントではどのような旅行者層が訪れるのか、それが普段の旅行者層とどう変わるのか、特定の旅行者層を集め・彼らの満足度を上げるにはどうすればよいのか 、について事前に確認・準備しておくのが肝要でしょう。

2.ワクチン2回接種国内5000万人超えも、集団免疫への道はまだ遠い?

毎週ワクチンの話題を取り上げているな、とも思うのですが、今週も取り上げます。

政府関係者によると、8月19日までにワクチンを2回接種した方の数が5000万人を超え、人口の4割をカバーすることとなりました。

集団免疫獲得のためには60-70%の接種率が必要だとすると、あともう1〜2段接種率を上げる必要があります。

一方で、昨今のデルタ株の拡大を踏まえ、集団免疫獲得のためのハードルはより高いものになるのではないかとの見方も出てきています。

そのような背景もあり、アメリカでは9月下旬から3回目のワクチン接種(ブースター接種)開始を決めました。

日本でも検討しているようです。

ウイルスとワクチンのいたちごっこ感を否めない状況であり、感染抑止に向けた展望はまだ開けていません。

そのような状況下にも関わらず、海外では少しずつ渡航再開に向けた動きが始まってきています。

19日、シンガポール政府はワクチン接種者の入国時隔離を免除する新制度を発表しました。

対象となるのはドイツとブルネイの2カ国。日本からの渡航者(ワクチン接種済)の場合、14日隔離はありつつも、自宅などで過ごしてもよいようです。

なお、香港・マカオからの渡航者であればワクチン未接種でも隔離は不要なのだとか。

ちなみにシンガポールはワクチン接種率が70%を超えています。変異株による感染も、重症化は抑止できているとのことで、今回の判断に至ったようです。

このあたりは今後、国によって判断が分かれていきそうですね。

3.Airbnbの4〜6月期決算。コロナ前を超える売上を達成。その理由は?

民泊仲介大手であるAirBNBが4〜6月期決算を発表しました。

売上高は2020年4〜6月期と比べておよそ4倍となる13億3519万ドル。なんとコロナ前である2019年4〜6月期も上回ったそうです。

アメリカの旅行業界にリバウンド需要が起きているのが主な理由。北米市場が牽引し、今後は欧州エリアでも需要が拡大する見込みです。

夏の行楽需要が終わること、デルタ変異株が流行していることで、今後は全体的にやや需要が落ち着きそうですが、それでも中期的には需要が成長すると経営陣は考えています。

予約数自体も向上しているのですが、特筆すべきは宿泊単価も向上している点です。本メルマガでは5月に、Airbnbのブライアン・チェスキーCEOのインタビューを紹介しました。

↓こちらです↓
https://twitter.com/BloombergJapan/status/1395621911825158145?s=20

インタビューのなかでブライアン氏は、アフターコロナの宿泊予約が「より柔軟に」「より長期間に」なっていると言及しました。

テレワークの浸透で旅先での仕事が可能になり、平日の旅行が容易になりました。旅行できる日の選択肢が増えれば、旅の計画を柔軟に立てられるようになります。

また休日に縛られなくなったことは、旅が長期化する後押しにもなっているようです。

ライフスタイルの変化と、これまで抑え込まれていた旅需要の爆発が、アメリカ国内の旅行市場を盛り上げているようです。

日本では残念ながら、アメリカのような旅行需要の爆発は起きていません。コロナが落ち着き、国内の雰囲気が改善すれば、日本でも同様の旅行回復は起きるでしょう。

一方、柔軟な働き方が許容され、有給休暇等が取りやすくならなければ、せっかく回復した需要を十分に活かしきれないでしょう。これまでの薄利多売な旅の売り方も、せっかくの需要を安売りすることにつながってしまいます。

日本の場合「コロナが終わったから前のとおりに」ということになってしまうのではないかと個人的には懸念しています。

コロナが終わった時、需要を十分に満たせる社会・会社・ビジネスを作っておくのが、今の私たちに行えることなのかもしれません。

4.あとがき


数年前から葛飾北斎関連の展示や史跡によく訪れています。

MATCHAのある東京都台東区が、葛飾北斎と縁深いのも理由かもしれません。

オフィスの近所には葛飾北斎のお墓がありますし、すみだ北斎美術館のある墨田区はお隣の区です。

先日公開された映画『HOKUSAI』北斎が滞在した長野県小布施にもコロナ前に行きました。

先日は、現在開催されている特別展「北斎づくし」へ行ってきました。北斎漫画、富嶽三十六景、富嶽百景を全点・全頁展示している豪華な展覧会です。

北斎がなくなったのは88歳だったのですが、絵師として生涯現役だったそうです。彼は75歳のとき、次のような言葉を残しています。

「73歳にしてようやく動植物の骨格や出生を悟ることができたと述べています。そして、80歳ではさらに成長し、90歳で絵の奥意を極め、100歳で神妙の域に到達し、百何十歳になれば1点1格が生きているようになるだろうと、100歳を超えてもなお絵師として向上しようとする気概を語っています。」(出典:すみだ北斎美術館)。

人生100年時代と言われる、現代のロールモデルのような生き方・考え方ですね。作品はもちろんのこと、このような生き方が好きで私は北斎の展示を見て回っているのかもしれません。

インバウンドが盛り上がりを見せてまだ10年未満。コロナでその盛り上がりがしぼんでからは1年と数ヶ月。

巷では「インバウンドは終わった」という声を聞くこともありますが、これからの数十年を考えるとまだ入り口に立ったばかりだとも言えます。
北斎のように一歩ずつしかし着実に、インバウンドの芽を育てていきたいものです。

今週もお読みいただきありがとうございました。

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