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小説「プール・タブーを集めて」④(完結編)(18日目)

「いよいよあと2つだよなァ、フ~ちゃん?ホントにアノ先生、生き返らせるのでイイの?」
「トンちゃんの方こそいいかげん何か決めたのかよ、おれぐらいには言ってくれてもいいじゃん」
おれら2人夜のプールへと歩きながら、例によってダベっていた。
「待ってたぞ…それではお前たち2人に残り2つのタブーを伝える!6つ目は…」
とノノゾウじ~さんとセンパイがのたもうた言葉をおれら2人は固唾を飲んで聞いていた。
「いいのかナ?こんなこと?」
「えっ?い~んじゃないの?だって昨日も飲んでたじゃん?」
「そう…6つ目のタブーは〝プールサイドで缶ジュースを飲んではイケナイ”じゃ!」
そして6つ目のプルタブを受け取ったおれら。
いよいよ…最後のタブーを…。
「それでは7つ目のタブーを伝えてつかわす!」
しかしそのタブーを聞いたおれは一瞬とまどった。というのも
「最後のタブーは…〝泳げないヒトを無理やり泳がせようとしてはイケナイ〟じゃ!」
「で、でも…泳げないヒトって?誰かそんなヤツ連れてこないと!」
と、それがトンちゃんの最期の言葉となった。
「なあに…それなら今お前が飲んだモノ〝ただの〟ジュースとでも思ったのか?」
と言うが早くトンちゃんは今までヨボヨボのじ~さんにウソのようにプールに突き落とされたかと思うと
「フ~ちゃん…!」
とそれが正真正銘の最期の言葉になったかと思ったら、ひとつのプルタブになった。

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「えっ…?どゆこと?」
まだ事態がよく飲み込めていないおれだが確かに7つ目のプルタブはゲットした。
「さあ!それでナンデモ叶えるがいいさ!」
とイチル先輩が今までとまるで人が変わったかのような態度におれは心底ハラワタが煮えくり返ってきた。
「バカなやつじゃ…このプールの7つのタブーについてじゃが…昔このプールの歴史があってじゃな…このプールで亡くなった…ワシの…が…プルタブに…そこから…プールのタブーに触れたものは誰かが最後の…プルタブに…されて…その犠牲の上にワシも…オリンピックの…」
そこまでじ~さんが言った時にプールの中から月の光に照らされて中の水が一斉にひいたかと思うと巨大プルタブが現れて
「ナンダ…ナンデモ、コノ私ガヒトツダケ叶エテヤロウ」
と言うと
「クソ…こんな…こんな…タブーなんて…おれの親友を返せ~!」
「ワカッタ…ソレガ貴様ノ本当ノ願イダナ…」
と巨大プルタブが言うと物凄い閃光をまき散らして再びプールの中へと帰っていった。

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あれから何日たっただろう。

なんだかアレは夏の日のイイ思い出…ってコトにもしたくない。
イヤイヤ、でも何か幻のような夏の陽炎かのような出来事でもあった。
正直忘れたい。

でも確かにトンちゃんはここにいる。だったらまた来年にでもトンちゃんを誘って願い事を叶えるためにひと苦労するとするか。

だってアノ先生の漫画、また読みたいもんな。


完。


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