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2円で刑務所、5億で執行猶予

とても参考になる良書であったため、紹介したい。本書では犯罪学・刑事政策等の専門家が犯罪に関して社会の常識とされていることの間違いを指摘している。

統計データや犯罪学の研究成果に基づいて著者が提示する以下の知見は参考になった。

・最近増加傾向のある万引きは高齢者の犯罪

・実は高齢者ほど犯罪被害に遭いにくく、被害も増加傾向にない

・少年犯罪は、凶悪化もしていなければ、低年齢化もしていない

・被害者の心情を理解させるプログラムは再犯を促進する可能性のあること

・認知件数などの犯罪統計と刑務所人口は、相互に独立した現象

・英米の犯罪学会においては、死刑の犯罪抑止効果は確認できていないというのが合意事項となっているなど

定量的なデータも示されており、多少「論に走る」という印象があるものの、信頼のおける感がある。

私も経験したことだが、刑事司法手続きは98%が不起訴や罰金刑で勝ち抜ける「勝ち抜けゲーム」である。起訴となった場合、裁判は法的判断をするところであって、科学的な視点で真実を究明するところではないという現実を改めて確認した。

したがって犯人を裁くのは、裁判官ではなく実質的には検察官ということになるのが日本の司法である。

経験者の目から見ても、かなり有益な情報が書かれている本としておススメしたい!


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