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検証:ニワトリが先か、卵が先か

いきなりですが、哲学云々の話ではありません。

私が去年の秋に幼稚園仲間である友人から美味しくて新鮮な有精卵をいただきました。新鮮な有精卵は美味しいですよ!どうぞ食べてみてね!ということでいただいたのですが、ふと思いついてしまったのです。

産みたての有精卵ってことは、もしかして温めたらヒヨコさんたちが産まれてくるのかな?と。
「たまごのあかちゃん」という大好きな絵本に影響されてか、子どもたちも興味を持ったため、実際に温めたところ、無事にヒヨコが誕生しました、という話です。
当然のことと言えば当然なのですが、その過程で導き出した私なりの考察「ニワトリが先か卵が先か」をまとめてみました。

結論: ニワトリが先
理由: 卵を温める過程でお世話が必要、卵単独での孵化は難しい。
理由をもう少し詳しく説明すると、
有精卵は、ただ温めればいいというものではなく、親鳥は抱き温めながら転がしています。人工孵化の場合でも温めながら転がします。転がす行為を転卵といい、最初の転卵の衝撃から卵の中の細胞分裂が始まり、その後も卵黄表面にある胚が卵殻膜に付着するのを防ぐという重要なお世話の工程です。
保温と保湿をしながら数時間おきに優しく転卵、これを18日間続けます。
とても地道な作業ですが、愛おしいお世話の時間でもありました。
妊娠中のお母さんが自身のお腹を優しく撫でるような、身体を休めるために横になったり血行を良くするためにストレッチをしたりマッサージをするかのように、優しく優しく転卵します。


そして、保温中に数回ですが、卵の様子を観察するために強い光を当てます。これを検卵と呼ぶのですが、これも妊婦検診でエコーをかけているような、画像を見ても何かよくわからないけど、男の子って言われた~あ、動いてる~というような感覚に近く、検卵の場合は、きちんと成長しているか、途中で成長が止まっていないか(成長が止まった卵を中止卵と呼ぶ)を確かめるためのもので、ドキドキワクワクの瞬間であります。

画像1

18日間転卵を続けたら、21日目までの3日間は触りません。触れません。
ヒヨコが孵化する直前は絶対安静なのです。
お世話できることと言えば、保温と加湿のみ。
この3日間は、非常に長く感じます。
見つめることと、耳を澄ますこと。これしかできません。
転卵中は、母親の気持ちだったのに、孵化直前の3日だけはいきなり父親になったかのようです。何もできない。ただ無事に産まれてくることを祈って、待つのみ。

すると、ククッと揺れたり、微かにピヨピヨと声が聞こえたりするのです。
孵化はもうすぐだ!
出かけている最中も、気になって気になって仕方がありません。朝起きてすぐに卵を見たり、声をかけてみたりします。
予定日を過ぎても産まれなかったら猛烈に不安になって落ち込んで、、、でも、急にククッと動くと「お~ぉ!」と子どもたちも一緒に盛り上がる…
そんな中、つ、ついに、、、はしうちキタ~となるわけですが、
※はしうち:ヒナが卵の内側からつついて、殻を割ること。

これはもう、完全に出産で言うところのクライマックスである破水です。
はしうちが始まると、それが何時であっても卵から目が離せません。コツコツとつつく音とともに、ピヨピヨとかわいくて弱々しい声も聞こえて、さらに卵は大きく揺れます。
はしうちが一周近く差し掛かると、もう中の濡れた羽毛が見えます。
もうすぐだ!頑張れ!ピヨちゃん!
自然に名前はピヨちゃんとなり、「頑張れ!ピヨちゃん!」「よしその調子!ピヨちゃん!」
子どもたちと一緒にみんなで、孵卵器を見つめます。
そして、無事誕生!
ピヨピヨとかわいらしい鳴き声で濡れた羽のまま横たわるピヨちゃん。
そこからも、お世話が必要です。
とにかく保温。すぐ保温。
ヒヨコは寒さにとても弱く、温めないと死んでしまう場合もあるようで、ヒヨコ電球で温めます。
数時間すると、ふわっふわのかわいいヒヨコになりました。

画像2

それからも数週間は保温と水と食料のお世話が必要でした。

でも、一か月もすると、ずいぶんと若鳥の風貌になり、生後5か月目には「コケコッコー」と元気に鳴くようになり、アパートでは飼いきれなくなったため予定通り、幼稚園の鶏小屋へとJoinいたしました。
今では、土の中のミミズや虫もガツガツ喰える立派な雌鶏になりました。


いかがだったでしょうか。表題の結論に戻りますが、万が一、タマゴが先だった場合、今回私が行ったお世話をする親鳥はいないわけです。
温めてもくれない、転がしてもくれない、万が一産まれたとしても、新生児のならぬ新生ヒナはお世話が必要です。だから、卵が先だとほぼ絶滅でしょう。
親鳥が卵を産んで、一生懸命温めて転がして…
ちなみに、我が家では8個の卵を温めました。無精卵と思われる又は中止卵が5個、口ばしや羽毛が確認できるくらいまで成長していた卵は2個でした。無事に孵化したのは1羽のみ。
その1つの卵が孵る瞬間は奇跡的で神々しかった。

ヒヨコの孵化は私が子どもの頃から、いつかやってみたかった夢でもありました。
大人になった今、やってみたいことに挑戦する姿を子どもに見せたくて、一緒に感動する喜びを共有出来て本当に本当に良かった。

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