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創作デブとガリ以外は読むな!2
二人の会話に割り込んできたのは山西。デブとガリと同じ大学のOBであり、去年までチームのコーチをしていた。
「山西さん。ご無沙汰しています」ガリの方が先に口を開いた。デブも挨拶した。
「えっ。デブ?デカすぎないか?太りすぎだろお前。で、ガリはどうした?お前は痩せすぎ」
山西はまだ41歳だが、今年から私立小学校の校長に就任した。それまでは、高校教師をしながら、休みの日だけ母校のフットボール部のコーチを10年間やっていた。デブとガリは最後の年の選手だった。
「普通の体重計じゃぁ体重を量ることができなくなりました」デブは恥ずかしそうに頬を緩めて話した。太りたくて太ったわけではないのだ。
「それ、大丈夫なのか?お前仕事は何してんの?」
社会人というのは、仕事をしている人の事を言うのだろう。職業がその人のほとんどを物語るという雰囲気にデブは後ろめたさを感じている。
「仕事ですか?大したことしてないです」
「言いにくい仕事か?」
冗談っぽく山西は歯を見せた。聞いて後悔したわけではない。今日二人を呼んだのは山西なのだ。お節介焼きだとは思ったが、二人の事が心配なのだ。
「そうじゃないですけど、俺、バイトなんです」デブはアイスコーヒーをストローでかき混ぜながら答えた。山西の方を見て言うのが気まずそうに見える。
「そうか。楽しいか?」山西はデブの方をまっすぐ見ていった。彼が理由なく人を咎める事も、見下すこともしない事を二人は知っている。
「まぁ決められたことをやる以外に、工夫してできる事もあるからそれなりにやっています」デブの表情が少しだけ綻んだ。バイトという肩書に劣等感を抱えながらも、その実、今の仕事が好きな証拠だろう。
「それだったらいいじゃねぇか。でもちょっと痩せたほうがいいな。動きにくいだろ?」
「山西さんこそ校長先生になったんですよね?どんな感じなんですか?」
ガリが会話を遮るように口を開いた。
「なりたくてなったから、楽しいに決まっているだろ?」
その言葉はありきたりな表現かもしれないが、二人には聞き流すほど単純には聞こえなかった。
一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!