中島亮

あなたの「オモシロイ」は僕が創ります!

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    あの世に送り届けるのが運転手の役目。 死んで終わりではないと思いたくなくて、こんな物語を書いています。

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記事一覧

鏡職人5

 裕太は真由美との再会から新たな活力を得て、自分の作品制作に集中し始めた。彼は工房での作業に没頭し、自分のアートが他人に与える影響や意味について新たな理解を得て…

中島亮
8時間前
4

鏡職人4

 裕太は心理カウンセラーの明子との出会いから新たな気持ちで工房に戻った。彼は自分の作品を通じて他人に喜びや自己愛をもたらすことに集中し、新たなアイデアを模索し始…

中島亮
1日前
6

鏡職人3

 裕太は工房の中で一人で作業をしていた。真由美との再会から数日が経ち、彼の心はますます複雑になっていた。彼は自分自身に対する葛藤と不安を感じ、それを抱えながら作…

中島亮
2日前
6

鏡職人2

 真由美の訪問から数日後、裕太は再び静かな工房で作業に没頭していた。彼の心は真由美との楽しい再会の思い出に満ちていたが、同時に彼の内面の葛藤も再び浮かび上がって…

中島亮
3日前
6

鏡職人

 光なく、ただ赤くばかりに見える黄昏になり、黒い影になって北村裕太は、静かな工房の中で小さな鏡を丁寧に取り扱っていた。その鏡は、彼が街の至る所に取り付ける作品の…

中島亮
4日前
8

パクリ "The Lottery" by Shirley Jackson

 秋の陽光が穏やかに村を包み、中心にある広場は、多彩な色と活気で溢れていた。収穫祭の日は、村人たちが一年の農作業の成果を祝う日であり、その喜びは空気中に漂ってい…

中島亮
5日前
6

間に合わない

 飯田春松は、平然とした態度を持続しようと努力をしながら、やや長い輪郭をした顔に狼狽の色を浮かべている。大きく見開いた眼を伏し目がちにして、渋滞情報に目をやった…

中島亮
6日前
10

船の上

 塩気を含んだ冷たい空気が甲板に漂っていた。繰り返す波の体積は途方なく、重い水の抵抗を受けながら傷病兵を乗せた船は陸地を離れていく。船は軍艦でも貨物船でもなく、…

中島亮
7日前
7

シャーデンフロイデ

 何か理由もなく、やるせない気持ちになると、僕はアテもなく歩くようにしている。何の為に歩いているのか自分でもハッキリした事はわからない。気がまぎれる事を期待して…

中島亮
8日前
9

会話

又吉マタキチ 2023年5月28日 15:01  文化というのは幻想ではないでしょうか。伝統とも言えるモノもそうです。いや。全ての事が幻想で、唯一実在するのは自分の意識です。…

中島亮
9日前
7

散る桜へ

 水の上では花弁がさらさらと流れている。それを見上げていることから、私はたぶん水の底にいるのだろう。自分で望んでここにやってきて、自分で選択した事だから、私は私…

中島亮
10日前
7

ないものねだり

 息子の浩平が、これぐらいの単語も憶えていないものかと雅恵はイライラとあせるだけだった。しばらく黙って雅恵の顔色をうかがっていた浩平だったが、もうどうでもいいと…

中島亮
11日前
5

平六の善意

 甘い脂の匂いのする、生まれたばかりの赤ん坊が、薄汚れた布の中に包まっていた。大きな頭を重そうに動かしながら、顔をしかめて、泣き立てている。堂島平六は、拾ったそ…

中島亮
12日前
7

最後の花弁

 ようやく温かくなってきたと思ったら、ひどい咳になって高い熱を出してしまった。火焔が喉を通過するような、ヒリヒリする咳がでる。どこにも出かける事ができなくて、四…

中島亮
13日前
7

ひとひら

 ちらりと脳裏を思わせぶりに、自分が話したか、他人から聞いた内容のひとひらだけが、頭へ浮かんで来る。それをはっと掴むも、不思議なもんで、全部は思い出せない。本当…

中島亮
2週間前
10

文字で絵を描く

自分を表現するのに、言葉だけで十分。 言葉で絵が描けるようになったのですね。 日本人の清潔さを風刺してみました。昔は土禁の車ってありましたね。それをいじってみまし…

中島亮
2週間前
8
鏡職人5

鏡職人5

 裕太は真由美との再会から新たな活力を得て、自分の作品制作に集中し始めた。彼は工房での作業に没頭し、自分のアートが他人に与える影響や意味について新たな理解を得ていった。その中で、裕太は自分自身が他人への憧れから自己発見へと至る過程で、ある重要な決断を下す必要があることに気づいた。彼は自分の作品制作の方向性を見直し、鏡を通じて他人を映すだけでなく、自分自身も映す鏡を制作し始めた。裕太は自分自身を映す

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鏡職人4

鏡職人4

 裕太は心理カウンセラーの明子との出会いから新たな気持ちで工房に戻った。彼は自分の作品を通じて他人に喜びや自己愛をもたらすことに集中し、新たなアイデアを模索し始めた。
 その日、裕太は幼馴染の真由美が再び訪れることを知らせる電話を受け取った。真由美は裕太の作業を手伝いたいと言い、彼の心にほんのりとした喜びをもたらした。
真由美が工房を訪れると、彼女は笑顔で裕太に挨拶し、彼の作業を手伝う準備ができて

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鏡職人3

鏡職人3

 裕太は工房の中で一人で作業をしていた。真由美との再会から数日が経ち、彼の心はますます複雑になっていた。彼は自分自身に対する葛藤と不安を感じ、それを抱えながら作業に集中していた。しかし、彼の心の中には解決できない問題があった。他人が幸せそうな姿に対する彼の願望が、彼を苦しめていたのだ。彼は自分が本当に望むものを見つけることができるのか、また他人と自分自身を比較することがなぜ彼にとって重要なのかとい

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鏡職人2

鏡職人2

 真由美の訪問から数日後、裕太は再び静かな工房で作業に没頭していた。彼の心は真由美との楽しい再会の思い出に満ちていたが、同時に彼の内面の葛藤も再び浮かび上がってきた。突然、工房のドアが軽く開く音が聞こえ、そこには真由美が微笑みながら立っていた。
「おはよう、裕太。また来てもいいかしら?」真由美は明るい声で言った。裕太は驚きながらも歓迎の笑顔を返した。「真由美、どうしたんだい? また作業を手伝ってく

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鏡職人

鏡職人

 光なく、ただ赤くばかりに見える黄昏になり、黒い影になって北村裕太は、静かな工房の中で小さな鏡を丁寧に取り扱っていた。その鏡は、彼が街の至る所に取り付ける作品の一部であり、彼の生きる喜びと情熱である。彼の手は確かで、鏡の表面を優しく拭き上げる。その際、微かに笑みが彼の唇を掠めた。彼は自分の作品が街の人々に喜びと自己愛をもたらすことを想像しているのかもしれない。点き始めた街灯が窓から差し込み、ようや

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パクリ "The Lottery" by Shirley Jackson

パクリ "The Lottery" by Shirley Jackson

 秋の陽光が穏やかに村を包み、中心にある広場は、多彩な色と活気で溢れていた。収穫祭の日は、村人たちが一年の農作業の成果を祝う日であり、その喜びは空気中に漂っている。飾り付けられた屋台では、新鮮な野菜や果物が陳列されている。地元の農家から届けられたものであり、その豊かな収穫が一目でわかる。その近くで数人の男がお囃子を奏でていた。色とりどりの幕が風に揺れ、同じ旋律の執拗な繰り返しにその周りで踊っている

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間に合わない

間に合わない

 飯田春松は、平然とした態度を持続しようと努力をしながら、やや長い輪郭をした顔に狼狽の色を浮かべている。大きく見開いた眼を伏し目がちにして、渋滞情報に目をやった。この先のジャンクションで発生した大型トラックと乗用車の衝突事故により、三十キロも渋滞しているとの事。この事故によって片側二車線分が塞がれ、通行が大幅に制限されている。強い力を眼にこめて、春松は車列を憎々しげに見やる。そうやって見たところで

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船の上

船の上

 塩気を含んだ冷たい空気が甲板に漂っていた。繰り返す波の体積は途方なく、重い水の抵抗を受けながら傷病兵を乗せた船は陸地を離れていく。船は軍艦でも貨物船でもなく、客船で、水は張っていないが屋外プールまである。空を見上げれば、雪を含んだ鈍色の雲が夕日の影をすっかり隠し、さびしい光を海原に与えていた。華美な外装の客船とは対照的に、これから湧き上がる夕闇が、その船が作り出す白い波を淀ませ、物悲しさを演出し

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シャーデンフロイデ

シャーデンフロイデ

 何か理由もなく、やるせない気持ちになると、僕はアテもなく歩くようにしている。何の為に歩いているのか自分でもハッキリした事はわからない。気がまぎれる事を期待しても、そんな事は得られないし、新しい出会いなどもない。やるせないという気持ちというのは虚無感で、それに対抗する事を忘れる為に歩くのだろう。否。この世を重圧する畏怖に耐えられなくなり、ただ黙々と憐れな自分のプライドを急拵えする為に歩いているのか

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会話

会話

又吉マタキチ
2023年5月28日 15:01 
文化というのは幻想ではないでしょうか。伝統とも言えるモノもそうです。いや。全ての事が幻想で、唯一実在するのは自分の意識です。文化に嫉妬や不満をしても、産まれるのは粗い作品しかありません。自分のフィルターを通して世界を表現する事が作品でしょう。そのフィルターの目を細かくして、残ったモノが自分の作品です。嫉妬や不満だけではフィルターの目を細かくできない

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散る桜へ

散る桜へ

 水の上では花弁がさらさらと流れている。それを見上げていることから、私はたぶん水の底にいるのだろう。自分で望んでここにやってきて、自分で選択した事だから、私は私を納得させる必要がある。楽しいわけなんてない。でも、楽になったような気がする。
 せせらぎの音が私の心を惹きつける。水の中で音が聞こえるなんておかしいのに、それを聞き澄ましていると、私の中に変な錯誤が感じて来る。香もない上の花弁の一枚一枚が

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ないものねだり

ないものねだり

 息子の浩平が、これぐらいの単語も憶えていないものかと雅恵はイライラとあせるだけだった。しばらく黙って雅恵の顔色をうかがっていた浩平だったが、もうどうでもいいと思ったらしく口を開く。
「ねえママ。ぼく、お外であそびたいな」
「だめよ」と、彼女はぴしりと言った。「これが終わってからよ」
「だって……」浩平は不満そうに口をとがらした。「だってさ……」
「だってじゃありません」 浩平は沈黙した。彼がふて

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平六の善意

平六の善意

 甘い脂の匂いのする、生まれたばかりの赤ん坊が、薄汚れた布の中に包まっていた。大きな頭を重そうに動かしながら、顔をしかめて、泣き立てている。堂島平六は、拾ったそれについつい見とれてしまった。ここに置かれてそれほど時間が経っていないのだろう。おしめが新しい。
「おもしれえな、こいつは」
 ひとりごとをいって、しげしげと眺めていると、ふいに赤子がぱっちりと目を開いた。堂島平六はぎくりとして、思わず後ず

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最後の花弁

最後の花弁

 ようやく温かくなってきたと思ったら、ひどい咳になって高い熱を出してしまった。火焔が喉を通過するような、ヒリヒリする咳がでる。どこにも出かける事ができなくて、四五日経つとすっかり痩せてしまった。呼吸困難の度を増して、呼吸の回数が増える。
「もうじき桜が咲きますよ」と彼が言った。彼が私の家に来てくれてどれぐらいが経つだろうか。
「そしたらお花見に行きましょうね」
 私の咳は止まらず、呼吸困難は一層増

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ひとひら

ひとひら

 ちらりと脳裏を思わせぶりに、自分が話したか、他人から聞いた内容のひとひらだけが、頭へ浮かんで来る。それをはっと掴むも、不思議なもんで、全部は思い出せない。本当に一言のように音声として再現される場合もあれば、一文の文字として現れることもある。ひとひらだけが思い出されるのであって、それが何の話で、いつどこで誰と何でその話して、その会話なり対話なりが思い出せない。まるで自己の残像のようで、実際に自分が

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文字で絵を描く

文字で絵を描く

自分を表現するのに、言葉だけで十分。
言葉で絵が描けるようになったのですね。
日本人の清潔さを風刺してみました。昔は土禁の車ってありましたね。それをいじってみました。

ここ最近、小説に対して自棄になってました。書きたい事はあるのに、技術が追い付いていない。もう、無理じゃないかと思ったりして。

気晴らしではないのですが、AIを触っているうちに別の可能性もある気がしました。
自分を表現するのに、文

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