シェア
舞う 四温かな詩集ひらいて栞おく 逝く人を見送るように春の風 白塗りの舞踏家桜散るままに …
非正規の女ばかりや一葉忌 パスワード忘れて宇宙時雨れるか 日記買うシルクロードは封鎖され …
壺という壺に月光脈打つ 独り居の星食べるよう猫まんま 寄席ひとつ魂食べて繭ひとつ …
署名する 白鳥もどるシベリアの兵帰還まだ 冬銀河もうすぐお湯が沸きますよ 銃を持つ照準合わ…
銀のスプーン 胡桃 花わさび終の棲家の窓そうじ ものを知るさびし…
反故紙 紙にしか書けない気持ち日記買う 君ことりと戻る骨は雪のよう 屠りたるナイフを雪でふ…
団子坂 彫塑館オリーブの木にからっ風 石蕗の花時間とじこめ彫塑たち 秋の蝶ことばはときに邪魔になる 山茶花や鴎外の靴音ひびく 魚屋の秋刀魚六百円谷中にて 谷中墓地迷って見あげる銀杏黄葉 地下にある「麦」のプリンや銀杏散る 団子坂観潮楼の冬薔薇 潰された銀杏におう本郷通り 吾亦紅先に逝けよと猫に言う