2023年の30句
非正規の女ばかりや一葉忌
パスワード忘れて宇宙時雨れるか
日記買うシルクロードは封鎖され
コサックのダンス華やか寒気団
鉄砲音二発そののちしずり雪
枇杷の花閉まったままの饅頭屋
鳳凰の刺繍擦り切れ天保雛
デパートの重いドア開け天皇誕生日
スコップや種は光の子どもたち
春キャベツきみは羅漢のように待つ
ユリノキの花の下には音楽隊
タイマグラいい黴の住む古屋がある
羚羊についていきたし苔の庭
蕗を煮る夫婦ふたりのひと掴み
神楽舞うからだに蛍飼いならし
弁慶の生まれ変わりや大山椒魚
藤の花わっと義経最後の地
知り合ったことが奇跡で泉汲む
睡蓮やよく磨かれたガラス窓
今朝の秋虐殺からの百年目
秋まひる轢死たぬきを鴉食う
擦り切れしおおかみの護符村離散
薄野や送電線の向こうは海
ベーグルにクリームチーズ鷹渡る
秋の空土偶笑って掘り出され
秋惜しむ小さなこけし買い求め
満月や苔から浮かぶ羅漢さま
午後ふいと秋がいっちゃうと追いかける
野良猫は音痴なんです聖歌かな
爆撃がないことを祈る初御空
※2023年につくった俳句から選びました。
俳誌2冊に投句をして、句会はオンラインを含めて4つに参加しているので、俳句は作っているのに、残せるものは少ないのです。もう少し気合を入れないといけないと思いました。
去年から心にあるのは、パレスチナ問題です。今ここに世界で起きていることを俳句にするのは難しいです。時事俳句は嫌われます。もっとほのぼのしたものを詠まないと句会で取られないなあと思ったりしていますが、ついつい「復活祭瓦礫のなかにイエスいる」というような俳句を作ってしまいます。
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