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【美術展2024#31】画鬼 河鍋暁斎 × 鬼才 松浦武四郎@静嘉堂文庫美術館

会期:2024年4月13日(土)~6月9日(日)

絵師・河鍋暁斎(1831~89)と、探検家で好古家、著述家、北海道の名付け親である松浦武四郎(1818~88)は、幕末から明治期を生きたマルチタレントです。二人の交流は明治の初め頃からあり、武四郎は愛玩品を集めた書物『撥雲余興(はつうんよきょう)』(当館蔵)等の挿絵を暁斎らに依頼しています。住いも近く、共に天神を信仰し、情に篤い二人の記念碑的作品は何と言っても「武四郎涅槃図」です。本展では、「武四郎涅槃図」とそこに描かれた、「大首飾り」(当館所蔵)をはじめとした武四郎愛玩の品々(武四郎記念館所蔵品と当館所蔵品)を同じ空間で展示し、「武四郎涅槃図」を立体的に再現します。さらに、武四郎の親友・川喜田石水(1822~79/川喜田家第14代)と実業家で陶芸も能くした川喜田半泥子(1878~1963/川喜田家第16代)、岩﨑小彌太(1879~1945/三菱第四代社長・静嘉堂初代理事長)との縁を紹介します。

幕末明治の多才な二人と、彼らを支えた人々の、古物(文化財)への情熱に思いを馳せる機会となれば幸いです。

静嘉堂文庫美術館


実は二人ともよく知らなかったので遅ればせながらざっくり調べてみた。


川鍋 暁斎

幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、日本画家。
1831年、現在の茨城県にて生まれる。
数え7歳で歌川国芳に師事し、絵を描くために人々の動きや表情などをよく観察しなさいと教えられた。
それを忠実に実行するため、一日中、長屋を徘徊して喧嘩や口論をしている人たちを探し歩いた。
神田川で拾った生首を写生し、周囲を驚かせたという奇行ぶりも発揮する。
狩野派の前村洞和に再入門して、ここで「画鬼」と呼ばれるようになる。
その後、画号を「狂斎」としたが、後に「狂」を「暁」に改めたので読みは「きょうさい」。
晩年、岡倉天心やフェノロサに東京美術学校の教授を依頼されるが果たせず。
1889年、胃癌のため逝去。享年57。


松浦 武四郎

江戸時代末期(幕末)から明治にかけての探検家・浮世絵師・著述家・好古家。
1818年、現在の三重県にて生まれる。
16歳から日本国内の諸国をめぐったり、僧侶になったりしつつ、20代半ばで蝦夷地探検に出る。
その後、江戸幕府から正式に蝦夷御用御雇に抜擢されると再び蝦夷地を踏査し蝦夷開拓御用掛となり、蝦夷地に「北海道」(当初は「北加伊道」)と命名した。
更にアイヌ語の地名を参考にして国名・郡名を選定した。
その探査は北海道だけでは無く択捉島や樺太にまで及んだとのこと。
単なる地理や自然の記録に留まらず、アイヌ民族やその文化に対しても敬意を表した。
民族と文化を守るためにはまずアイヌ文化を正しく知り、理解してもらうことが必要として、アイヌ民族・文化の紹介を熱心におこなった。
1888年、脳溢血により死去。享年71。


ふむふむ、やはりどちらもただものではい。

それではいざ入場。

入口

川鍋暁斎はこの写真しかなかったのだろうか。
爆笑問題を足して一つにしたような顔だ。


展覧会は武四郎が日本各地を廻って集めた古物や暁斎の画業など、それぞれの歩みを辿る。
やがて財界人とも関わりを持つ様になり、岩崎家から静嘉堂文庫へとつながっていく。

そして《武四郎涅槃図》に収束する。

《武四郎涅槃図》
中心には涅槃仏に見立てた武四郎が横たわる
画中に描かれる愛玩品の品々 静嘉堂所蔵品も多くある
キャプション

大切なコレクションや愛用する品々、関係する人々に囲まれた自身の姿を友人でもある著名な画家に描いてもらった一幅。
これは蒐集家冥利に尽きる。
よく見るとさまざまな技法を駆使して品々が多彩なタッチで緻密に描かれている。
個々はバラバラなのに全体を見ると世界観を破綻なくまとめているのも実に面白い。

私も(規模は違うが)蒐集癖があるので物をコレクションし大切にするという気持ちに共感した。
また、「アイヌ民族やその文化に対しても敬意を表し、民族と文化を守るためにはまずアイヌ文化を正しく知り、理解してもらうことが必要として、アイヌ民族・文化の紹介を熱心におこなった。」という武四郎のスタンスも素晴らしい。

松浦家では武四郎の命日に必ずこの《武四郎涅槃図》を掛けて家宝として守り続けたそうな。
いい話だなあ。


静嘉堂文庫美術館の誇る国宝《曜変天目》

いつも思うのだが、写真で見ると虹色で色鮮やかなのだが実物はそれほどキラキラしていない(ように見える)。
照明の当て方だろうか。
あとガラスケースをもう一回り小さくしてくれると距離が縮んで見え方も変わるかも。
いずれにせよ素晴らしい逸品であることは間違いない。

実物は撮影不可


ショップでは発売当初にバズったぬいぐるみがようやく落ち着いて購入できるようになってきたようだ。

ぬいぐるみは撮影可

1年前から我が家の床の間に鎮座する曜変天目(ぬいぐるみ)。
柳宗理&イサムノグチと。


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