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なおも年齢を頂いて生きるには

【5352文字】

平均寿命

縄文・旧石器時代は15歳前後
古墳・弥生時代が10~20代
飛鳥・奈良時代が28~33歳
平安時代は30歳
鎌倉時代が24歳
安土桃山時代は30代
江戸時代は35~40歳
明治時代は男性43歳、女性44歳
大正時代 44 歳前後
昭和初期、男44歳、女46歳ぐらい
昭和中期、男65歳、女70歳
昭和後期 男75歳、女80歳
平成は、男81歳、女87歳
令和5年 男81歳、女87歳

昭和

や平成はまだしも
縄文時代や旧石器時代とか
アンタ見たんか
とか聞こえてきそうですが
人骨の時代測定は「放射性炭素年代測定法」
とかいう方法でほぼ確実に分かるそうです
また発掘された人骨の推定死亡年齢は
歯を見る事で分かるらしいです
明治以降戸籍が出来てからは
データベースがあるので正確です

この

平均寿命
縄文・旧石器時代の15歳とか
古墳・弥生時代が10~20歳代とか
非常に低く感じますね
肺炎 結核 虫垂炎など
適切な処置をすれば
今や恐れる病気ではありませんが
昔は風邪でも人は死んでいた事でしょう
特に新生児や乳幼児の致死率は非常に高く
平均をぐっと下げているようです
きっとその部落の最長老でも
せいぜい50歳くらいだったかも知れませんね

時代

が進むにつれて寿命も延びますが
平安時代の平均寿命は30歳なのに
直後の鎌倉時代は少し下げてます
武士が台頭し戦乱が続いたからでしょうか
政治は寿命を縮める要因だと分かります
平安時代から幕末までは
大体30~40歳ぐらいが平均寿命です
明治になると一気に
10歳ほど寿命は延びます
これはやはり医療のおかげでしょう
論理的な西洋医学が
結核や天然痘の様な不治の病を
根治可能にしたのも明治以降です

明治

から昭和初期までは
大体似たような寿命です
戦争が終わり昭和中期になると
爆発的に寿命は延びて
20年以上も平均寿命は延びます
これはこの頃やっと
幼児や子供の死亡が減って来た上に
西洋医療の技術が大きく飛躍し
経済が伸びて生活様式も変わり
環境が清潔で健康知識も一般化したから
と言われています
政治に続き経済も
寿命を延ばす大切な要素なんですね
それはつまり医療技術の向上です
ペニシリンや抗生物質の発見
そして麻酔技術向上により
大手術が可能になったのが大きな要因です
いい時代になりましたよね

唐突

で恐縮ですが
筆者はこの春61歳になりました
もし自分が江戸時代や
もっともっと昔に生まれていたら
近所では御隠居さんとか
死にぞこないとか言われる
老人扱いだったことでしょう
ちょっと待ってください
そう言えば27歳の時に患った虫垂炎が原因で
あの時死んでいたかもしれない
いや
25歳の時
立山の岩場で滑落した時
その怪我が原因で死んでいたかもしれない
いやいや
怪我ならもっと前に散々しているので
ろくに消毒も出来ず
破傷風で死んでいたかもしれない
まてまて
大学病院で生まれたと聞いているが
昔なら生まれてこれなかった確率の方が
きっと高かったのだから‥
などとネガティブな想像はキリがありません
あなたももっと前に死んでいたのでは?

いや

実はこれはネガティブどころか
超ポジティブな考えで
この現代に生きている我々は
皆この時代に生まれる事が出来て
大変ラッキーだったと言えるわけです
昔だったら我々の周りの相当数が
既に死んでいた事でしょう
いい時代に生きていると言っていいでしょう
ポジティブですね
ホントに??
人間というのは
そんな単純に楽観して生きられません
現代の我々を苦しめているのはなんと
永らえる苦しみだそうです
長生きはしたものの
生きていること自体が辛ければ
辛い時間を長引かせているだけなのだ
という現実です

ちょっと

話が飛びます
どの時代にも人が集まれば
集落 部落や村が出来
そこには人間社会が出来る訳です
その社会には
有力者と言われる人が必ず現れ
その集団をまとめたり
導いたりしてきました
そういう人はもれなく
大変なカリスマだったでしょうね
例え聖人でも悪人だったとしても
内容はともあれ
注目度の高い人たちだったと思います
実社会に対して影響を及ぼす人です
頭の回転もきっと良かった人でしょう
頭脳明晰でなくては務まらない仕事です
そういう人が社会の中心にいました

物理的

な脳の成長は
15~6歳で完成され
その機能は22歳ぐらいで頂点を迎え
ゆっくりゆっくり衰退しながら劣化します
しかし実際は多くの経験を積めば
豊富なデータベースを生かして
数十年間良好に機能することが可能です
しかし
生身ですからやはり限度はある訳です
ある時点で一気に衰退する年齢があります
それが65~75歳ぐらい
見た目では40代で白髪や老眼など
顕著な老いが露呈し始めますが
病気でない限り
脳はまだまだ元気な年齢です
しかし50歳60歳
固有名詞が出てこなかったり
あれやそれ等
指示代名詞がやたら増えて来たり
そして70歳になるころは
さすがにほとんどの人が
若かりし頃を思いながら
自身の不甲斐なさを感じて
すっかり歳を取ったと自覚します
まして80歳頃はちょっともう
社会に適合するには
辛い年齢だと言えるのです

老い

を自覚したくない
という感覚も良く分かります
早々に諦めてしまっては
成るもの成りませんし
衰えの加速度に抵抗しないのは
決していいことではありません
しかしそれらの頑張りは
全て自身の中で解決していく事
老いを諦めず抵抗するのも
あくまで対象は自身にであって
社会や若者に抵抗する事ではありません
前日の自分を今日も現状維持できれば
それは成功と言っていいでしょう
ところが現実社会は
見る見る内に変化し
どんどん新しい常識が定着していきます
自身をアップデートしながら
新常識に追従するのは
残念ながら
例外なく80歳では
無理だと言えるでしょう

平均寿命

が短かかった頃
縄文・旧石器時代から
昭和後期いっぱいまで
日本はめったに80歳以降の老人とは
出会えない社会だったはずです
それは現実的に老人が少なかったという事です
そしてそれは社会全体の脳年齢が
絶対的に若くて健康だった
とも言えるわけです
流行言葉で言ってしまえば
「老害」の少ない社会
だったと言えます
しかし平成以降の日本で
80歳以上の年寄りは
全く珍しくなくなり
日本の平均寿命年齢だったりもします
100歳以上の高齢者数は
1963年 昭和38年の調査開始時点で
全国にたった153人でしたが
2023年9月1日時点では
なんと9万2139人です

勿論

一概には言えませんが
車の暴走や他人とのトラブル
町内会や政治家らの年齢
そういうのが問題になり始めた時期と
「老害」という言葉が出てきた時期が
ほぼ一致していたのですね
老人の責任を言っているのではなく
人間の脳の機能として
80歳辺りに大きな壁があるんじゃないか
という危惧を指摘し
自身にもそういった客観性を養い
若い人にも知ってもらいたい
と思ったんです
老齢になり
いつまでも若かりし頃の絶頂期を胸に
まだまだイケると気張るのではなく
イケてない部分とイケてる部分を
泰然として選別できれば
そっちの方がカッコいいじゃないですか

ですから

決して老人がダメだ
と言ってるんじゃありません
年寄りに対し社会から手を引け
とも思っていません
有史以来初めて経験する少子老齢化時代に
いったいどう向き合えばいいのか
物理的に脳が委縮してしまう世代
80歳前後の老人に対し
本人はどこまで現実を直視できるのか
若い世代がこの現実をどう解釈し
どう行動するべきなのか
それがまだ定まっていない気がします
互いが冷静な目で
これは仕方ないんだなと
受け止められれば
ジェネレーションギャップのギスギス感も
少しはまともになるのでは
と思ったのです

の老人には
ちょっと手遅れかも知れませんが
今これを意識し実践できた若者が
これから老齢化した時
客観的な自身の可動域を熟知出来て
社会から老害という言葉も減る
そんな風にも思えます
しかし
なかなか自分で脳の具合を測るのは難しいもので
かと言って家族や知人もまた
老化している事をわざわざ指摘している様で
本人には伝えにくいものです
ならばやはり自分でチェックする他ないので
以下に兆候や対策を書いておきましょう


・嗅覚味覚がおかしい
  脳が原因とは限りませんので
  医者で調べてもらいましょう
・歩行速度が落ちた
  脳の低下を測る手段だそうですが
  意識して元気に歩くことは
  単に健康促進にもよさそうです
・極端に新しいことが身にならない
  多かれ少なかれ加齢にはつきものですが
  月や季節を忘れたり
  会話中に同じ質問を繰り返したり
  よく知っている場所でも
  迷子になったりするようになった場合は
  医師に診てもらった方がいいでしょう
・落ち込んで気が晴れない
  鬱病と酷似している症状ですが
  別つモノなのでどちらにせよ
  一度心療内科に相談してみましょう
・気が散りやすい
  老化すれば集中力も低下します
  訓練次第で脳を鍛えられるそうです
・言葉が出てこない
  誰にでも起こる現象ですが
  一次性進行性失語症だとしたら
  脳に問題があるかもしれません
・物忘れがひどい
  睡眠不足のほか
  薬の影響や病気など
  さまざまな可能性がありますが
  あんまり酷い場合は医師に相談を
・耳が遠くなった
  難聴は加齢とワンセットだが
  単に聞こえない事と
  聞き分けられないことなども含め
  記憶力や思考力に影響します
  一度病院へ
・視力が落ちた
  緑内障や糖尿病性網膜症など
  視力疾患を持つ人は
  認知症リスクが高いそうです
・マルチタスク能力の低下
  同時に出来ていたことが
  出来なくなってくるのも
  普通に老化の一端ですが
  テレビを観ながら食事が出来ない
  と言った事すら困難な場合は
  医師に相談です
・歩行バランスが崩れる
  ふらついたり足が絡んでしまい
  脱力感や痛みが加わったら
  ぜひ医師に相談してください
・モノが無くなる
  これも誰もが経験する事ですが
  紛失物があり得ない場所から出てきたら
  何か問題があるかも知れません
・会話についていけない
  理解力や参加力が低下して
  定期的な会話にも支障が出た場合は
  問題がある可能性があります



以上

項目の多さにも注目です
それだけいろいろ衰える可能性がある
という事でもあり
これが老人の日常であるとも言えます
これらに気付いたなら
老いも若きも 自分でも他人でも
見て見ぬふりをしないこと
それがきっと重要なんでしょうね
つまり頑張らない老人がいいのです

若い頃

は本当に分からなかったことです
耳や目の機能が驚くほど落ちます
関節が常に痛み
立ったり座ったりといった
ごく当たり前の動きさえ辛くなってきます
白髪になりシワが増え肉の締りが無くなり
若かった頃の記憶があるだけに
自分の見た目の醜悪さに嫌悪さえします
こういう事は社会問題扱いされませんが
個人のモチベーションをとことん下げます
残念ながら
これらは特定の誰かにだけ起こる話ではなく
年齢を重ねた全員が直面する事実です
じゃあ今の老人がどうしたかというと
見た目や体力がダメなら頭で!
と思うんですね
まだまだイケてると思っているんです
これが裏目に出て
ちょくちょく社会問題の原因になりまです
カスタマーハラスメントや暴走運転
パワハラや政治なんかもそうでしょう
判断や反射能力 理解度や学習といった
脳の機能も本人が思っているほど
闊達には機能出来ていないのですが
今更本人には気づけません
若い人から見れば
不思議でしょうがないでしょうね

若い人


だから分かってやれ
とは言いません
むしろ安全で健全な社会維持のためにも
老人のわがままを決して許してはいけません
日本は儒教的な意識もまだまだあり
年上を敬う常識が今なおあります
敬うべき人を敬うのは
別に老人でなくてもいいのですが
日本人はつい
老人の勝手を放置する傾向にあります
老人を勝手にさせておいても
若い世代や更に次の世代には
それは単なる害悪でしかありません
老人を守る事自体は良い事ですが
祭り上げる必要は全くありません
そんな負の遺産は引き継がなくていいのです

当然

若い人たちがいずれ老人になっても
無条件に祭り上げられたりしませんから
今から意識を準備しておいてほしいのです
歳相応の準備を40代から始めてほしいのです
美しく またはカッコよく老ける事は
それによって可能になると筆者は思っています
老化に抵抗する事は愚の骨頂
自然に反し天に唾するに等しいのです
昭和の根性論と何ひとつ変わりません
稀ではありますが現代でも
その年齢でなくては成れないような
美しくもカッコいい老人は居ます
どうかそちらを目指してください
暴れたり暴言を吐いたり
往生際の悪い老人には成らないでください
寿命が延びてしまった現代
多くの人が老人になります
どうしたって永らえる辛さは味わいます
せめて現代の老人らが老害の誹りを受けて
なおも生きて行かねばならない様な
そんな老後を若い人たちには
決して迎えてもらいたくありません
それはきっと回避できます
それを少しでも回避するため
今から準備をしてください
それが出来るのはきっと40代からですよ
老人になってからじゃ
きっと頭がついて行けませんから
若いうちから慣習化してくださいね

・出来ない事を素直に認める
・身の回りの事は可能な限り自分でやる
・分からない事は恥ずかしい事じゃない
・素直さは年齢関係なくかわいいの元
・勉強は怠らない
・運動を怠らない
・日々の献立を重視
・おしゃれに気を付ける
・笑顔でいる

こうやって書くと

老人に限らない事かもしれませんね
今後の少子高齢化時代を生き抜くカギは
今の若い人に握られています