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子どもの嗜好性を決めつけない

外出自粛期間中、早々に家中の断捨離を行った。最初に手をつけるのは子どものおもちゃや絵本。ブームが来ているものと、ブームが去ったものの入れ替えを行う。親子ともに文章を暗記してしまうほど読んでいた絵本も、兄弟の発達ともに興味は移ろい、まったく手にとらなくなる日が来る。残された絵本たちは、もうすぐ1才の甥っ子のために本棚から下げ、ストックで少し眠ってもらうことにしている。

兄にはお腹の中にいるときから絵本を読み聞かせていた。絵本が好きな子になってほしいという理由での胎教のつもりだった。まだ見ぬ子を思い浮かべながら、ぐりとぐらを読む時間は幸せでしかない。産後にはそんな幸せな毎日がやってくるのかと心を踊らせた。

ところが、兄は絵本が好きな子ではなかった。正確には、絵本より興味があるものがあった。だから絵本にそこまでの興味を示さなかったのだ。これには焦った。絵本は子どもの情緒や言語の発達に重要な役割を果たしているのに、家電好きの兄はリモコンばかりを追いかけている。寝る前に絵本を読み聞かせようとしても、本を見るどころか、布団の上を走り回っているのだ。


兄をいかに絵本に注目させるかには、かなり頭をひねった。本を見るというきっかけ作りのために、最初は仕掛け絵本で攻めた。特に飛び出す絵本は喜んで見てくれることに気づく。あとは「はらぺこあおむし」のように穴が空いていたり、変わった質感の紙でできている絵本には関心を寄せてくれた。

絵本という存在に慣れてきたところで、絵と少し字が入っている絵本に移行する。次は内容に気をつけた。兄が好きなのは電車と食べもの。それ以外の内容にはてんで興味を持たなかったので、絵本が楽しいものであると思ってもらうために、このふたつのテーマに絞って読み聞かせた。

そこからだんだんとストーリーのある絵本へ移行し、そのうちに異なるテーマも受け入れてくれるようになった。今でも読書家とは言えないが(家電とか、他に興味があるものがあるから)、マンガを含め、「本を読むことは楽しい」という感覚は会得してくれたように思う。


「この子は絵本が好きじゃないのね」と決めつけて、読み聞かせを諦めなくて良かったと心から思う。子どもは関心を惹かせるお膳立てをすれば、その後はよきように知識を吸収し、自らの肥やしにしてくれる。親の仕事は発達に最適な環境作りをすることだけ。そう心得る。




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