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酒屋が教えるワインの教科書 ワインの歴史 1

 ワインとは一言でいえば、ぶどうから造られる醸造酒です。ワインは世界中で造られ、ぶどうの種類も豊富で、多くの人に飲まれています。実に奥が深いお酒です。

 ワインの歴史ですが人類が最初に作って飲んだお酒と言いてもいいでしょう。世界最古(紀元前6000年前)のワインの醸造の痕跡が今の東欧の南に位置に当たるコーカサス地方、今の東欧の南に位置に当たるジョージア付近に残っています。紀元前2500年の頃はエジプト、メソポタミアではぶどう栽培が組織化されてワインの作られていたとされています。地理的にぶどうの発祥の地は現在のグルジア、アルメニアと言われています。その後、ぶどうを広めたのが主にフェニキア人、ギリシャ人とされ、そのため地中海地方が主な産地となっています。古代でも時と共に人の交易が広がり、ペルシャから中国まで広がったと言われています。

 古代ローマ時代、地中海の都市部でワインが多く飲まれるようになり、地中海周辺部の地方でぶどう栽培も盛んになりました。1世紀になるとドーフィネ地方に住んでいたアロブロゲス族が冬に強い新品種のアロブロジカ種を作り、栽培を始めました。同じころに今のフランスのボルドー地方では雨の多い気候に適した新品種ビチェリカを導入して栽培し、広めました。4世紀頃には北部に位置するシャンパーニュ地方にまで広まりました。

 中世になるとぶどう栽培は教会で造られるようになりました。キリスト教会が典礼で必要だったからでもあるが、奉仕の精神を実践するためでした。修道院はぶどうの栽培に適した土地に建てられ、良質のワインが造られるようになりました。ボルドー地方はしだいにワインの産地として有名になり、イギリスへ毎年75万ヘクトリットルを輸出するようになります。1152年にアキテーヌ地方のアリエノールとプランタジネット朝のアンリ2世が婚礼を上げたのをきっかけにイングランドへの輸出はますます奨励されました。

ボルドー地方

 近世になると16世紀にオランダ人は蒸留してブランドヴァン(Brandevin)に加工する目的でフランス南西部全体で栽培を奨励してオー・ド・ヴィのヨーロッパ市場が生まれました。その100年後にはコニャック、アルニャックが造られるようになります。また、ガラス瓶とコルク栓の使用でワインがさらに普及していきました。これにより、スペインやポルトガルの大航海時代でワインは世界へと広まって行きます。この頃、日本でもワインが伝わり、最初にワインを飲んだのは1483年(文明15年)に、関白近衛家の人がワインを飲んだという記述が残っています。

 1864年にアメリカからフィロキセラと言うアブラムシの一種がフランスのガール県で発見、その後、フランスのぶどう畑を破壊しました。1885年にはワインの生産量は8000万ヘクトリットルから2500万ヘクトリットルまでに落ち込みました。しかし、解決策として害虫に強いアメリカ種を台木にフランス種を接木してぶどう畑を再生しました。日本はオランダとの交易が許されていましたのでワインも僅かながら入ってきていました。ワイン醸造については、江戸時代初期の寛永年間、豊前小倉藩主の細川忠利が家臣の上田太郎右衛門にワイン造りを命じた記述が残っています。

 20世紀に入るとフランスはワインをますます、商業ベースとしての国策に乗り出します。フランスは原産地統制名称Appellation d'Origine Contrôlée  (アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)と言う仕組みを作り、品質の保護とワインの格付け制度を確立させた。また、科学技術の進歩でぶどうの品質改良やワインの醸造学が急激な進歩を遂げます。


マガジンにしました。 酒屋が教えるワインの教科書https://note.com/masutaka_note/m/m49ac080d0803


参考文献

葡萄は語る           SOPEXA フランス食品振興会

世界のワインカタログ      サントリー株式会社

NHK趣味の園芸         NHK出版




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