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ベトナム 旅行2019その5~ハイクオリティが生まれる場所〜

ここは、採取したコーヒーチェリーを脱穀して発酵が終わったものを乾燥させる場所。

僕はよくわかっていない部分でしたが、”発酵”の工程はとても重要なのだそうです。勝手なイメージで、脱穀→乾燥という流れなのだと思っていたのですが、この発酵の過程こそFuture Coffee Farmのコーヒー豆の芳醇な甘さの秘訣であるそうです。コーヒーチェリーとコーヒー前の間にあるミューシレージ(はちみつのような甘みがある)を発酵させることによって、ワイニー製法、ハニー製法は完成するようです。

密閉されたパウチに包まれ発酵された豆が網の上に並べられると、濃厚に甘い香りがその場所を包みました。

農園主トイさんは、袋から出したばかりの濃いオレンジ色は、空気に触れると色が落ちるから、写真を撮るなら今!と教えてくれ、急いでパシャパシャと撮影。とてもデリケートな工程だということがわかります。実際に、豆を触らせてもらいましたが、ねっとりとしたまさにはちみつをまとわせたような感触。手についた粘り気は、石鹸で洗わないときれいに落ちないくらいの粘り気でした。

これは、東京でコーヒー豆を販売するだけでは味わえない体験。コーヒー豆が手元に届くまでに、ここまで多くの工程、手間暇がかけられているのです。さらに、これに加えて良い豆、悪い豆を分ける作業があります。現地でのハンドソーティング。まず、チェリーを水に浮かせて浮いてきた豆は、中身はないので取り除くのだそうです。

目で見て、さらに手作業で未熟豆、痛んでいる豆を取り除くのだそうです。

僕が東京でやるハンドソーティングは、数kgの世界です。トイさんたちは、数トンの世界。気が遠くなる地道な作業・・・。ローマは1日してならずと言いますが、美味しいコーヒーも同じですね。

話は栽培の工程に戻りますが、トイさんは脱穀して残ったチェリーを肥料に使っていました。天然の有機肥料です。ここはその肥料を作っている場所。Futue Coffee Farmのワーカーさんの若い男性陣が力仕事に精を出していました。

酵素が含まれた有機肥料はコーヒーノキを育てるのにはうってつけだし、廃棄するものがなくなるので環境にも良いということです。コーヒーは自然の恩恵。その恩恵を受けることによって、自然を傷つけることはあってはならない。

そういうこともあって、コーヒー豆を洗ったあとに放出される水の汚染にも気を使っていらっしゃるそうで、8coffeeのハチ店長は、水質検査キットを使って水質チェックもしてました。これからさらにその精度をあげていきたいということでした。

コーヒーの生産者さんのことが語られる時、どうしてもネガティブな部分ばかりが取り上げられます。たしかに「おいしいコーヒーの真実」という映画が物議を醸し論議を読んだように、そういう問題は世界中にたくさんあると思います。しかしながら、ハチさんのようにそこまで見据えてビジネスに取り組んでいる方もいます。世界はそういう方向に進んでいるということも事実です。100年、200年後世に受け継がれるべきコーヒーの楽しみを、目先のビジネスだけでも終わらせてしまってはいけない。それが多くのコーヒーラバーの願いであり祈りであることに間違いはないのですから。

東京に戻ってからも、毎朝じぶんのためにコーヒーを淹れています。Future Coffee Farmを訪れる前と後で、その時間が持つ意味がさらに深くなったことはいうまでもありません。

コーヒー豆の出来上がり具合をチェックするトイさんの目は、まるで自分のお子さんを見る目のようでした。そんなふうに愛情を込められたコーヒー豆は、すでに欧米にも輸出され、多くのコーヒー通を唸らせています。

コーヒーは世界につながるという現場を間近に見せてもらって、興奮は最高潮なのでした。


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