宇宙(そら)に向け、言の葉を編む 1小説「しめこのうさぎ」の舞台設定
小説「しめこのうさぎ」は、私、九綱真寿実のデビュー作です。
小学生の頃。教科書で読んだ宮沢賢治に憧れて、
初めて見た映画は、従姉に連れて行ってもらった「銀河鉄道999」。
そこから四十四年の時を経て、新たな旅立ちの物語を描き上げました。
舞台になっているのは、「命樹市(みことぎし)」という架空の町。
命樹市は、人口十七万人。入川(いりがわ)と幅川(はばるがわ)、
二本の河川に挟まれた扇状地で、大きく三つの地域からなります。
市の北東部に位置する「命樹丘陵(みことぎきゅうりょう)」は、市内でもっとも人口の多い地域です。標高三百五十八メートルの美籠山(みこやま・現グランマートルハイランド)を中心に、東は冠山(かむりやま)、西は兎遣山(とつかやま)からなる高台の住宅地。眺望の良さと目覚ましい都市開発により、生活環境も充実しています。
山間地区には、入川の支流「獅撫女(しぶめ)川」が流れ(現在は暗渠)、祖月輪(そがわ)線の始発駅・命樹駅周辺は、今も旧市街の賑わいが感じられます。
命樹丘陵の南に広がる「濕(あらき)」は、広大な水田地帯です。
特産米「靈笹(たまざさ)」は、日本酒の原材料として、高い評価を受けています。
市の南西部に位置し、竹取物語の伝承が息づく「祖月輪町(そがわまち)」は、昭和の初めごろまで命樹の中心地であり、祖月輪線の始発駅でもありました。駅周辺は大正ロマンの趣が感じられ、近年では観光に訪れる人も増えています。
(「しめこのうさぎ 月兎の郷編」プロット・第4章より。)
2017年、夏。ひょんなことから、小説を書きはじめます。
最初は勿論、タイトルなんか無くて、「GalaxyExpress 2001」などという、壮大な仮題をつけ、お試し気分で「なろう」サイトに書き込みました。
ところが、ある日、気付けば7万文字を超えていて、
(こうなったら、きっちり最後まで完成させよう!新人賞を目指すぞ!)
という、新たな意欲が湧きました。
こうして、書き出しから約二年後。
覚悟を決めて「なろう」サイトを退席し、本格的に執筆活動に入ります。
諸先輩方に倣って今一度、登場人物の設定。物語の構想…
いわゆる、「プロット」を立ち上げたのですが、
なんかね。
しっくりこないんです。
どうにも、ストーリーに実体感が無いというか、ふわぁっ、と、しちゃう。
で、あれこれ試すうち、ふと、気付きました。
舞台となる「場」を、あやふやにしていたことに。
舞台が無けりゃ、芝居は始まらん! と、いうわけで、「場」の練り直し。
地名は、とりあえず… むかし習った「生命の木」から拝借。
命樹(みことぎ)市で良いか。
ちょうど路線図みたいだし、そのまま割り振ってくか。
あれ、これってヘブライ語じゃん? 発音そのままで日本語にならん?
そんなふうにして、電子辞書を片手に思いつくまま書き起こしたのが、これ。
「生命の木 Tree of Life」は、ユダヤ教のカバラでは「セフィロトの木」とも呼ばれ、宇宙万物を解析するための象徴図表に位置付けられているそうです。(Wikipediaより)
ヱヴァンゲリヲンをはじめとする様々なコンテンツにおいても、その世界観を構築する礎になっていますね。
ハーバルライフやアロマテラピー、タロット占術等を学ぶなかで、
この「生命の木」に触れる機会は、じつは多々ありました。
けれども、深淵で哲学的な解説は至って難解。
テキストを読みながら、あるいは講義の最中でさえも、必死で、あくびを噛み潰す始末… そんなとき、
「あれ、これ何かに似てるなー」と、思いついたのが、「路線図」。
バス停のポールや駅の掲示板に、これが描いてあったとしても、べつに違和感ないよね? みたいな。
そこから、さらに時を経て、スマートフォンが手許に有るのが当たり前になった時代。日々、家事のお供に、お気に入り都市伝説系YouTubeチャンネルを楽しく視聴していた頃。
とくに「日ユ同祖論」の面白さにはまり、「日本語とヘブライ語の共通点」に、非常に興味を惹かれました。
古くから、子どもたちに唄い継がれてきた「あそびうた」の数々が、ほぼ同じ発音で、そのままヘブライ語の意味になる、とか。
「はっけよい」、「わっしょい」等の掛け声のほか、「ヤーレンソーラン」等、民謡の合いの手までも、ヘブライ語の影響を受けているとか…
へぇー、おもしろいよねぇ。
イスラエルでしょ? めっちゃ遠いじゃんね。なんか、すごくない?
どこまでも拡がる、空想の翼(*’▽’)!
という訳で、「生命の木」を基に物語の舞台を設定した
拙書「しめこのうさぎ」。
次回は、前編「月兎の郷(つきのさと)編」に、登場する
地名の解説に移らせて頂きます。
お楽しみに!
「しめこのうさぎ」は、現在、Amazon kindleにて全4巻(各¥385)販売しております。
加えて、毎週木曜日は、Stand FMにてオーディオシネマ(聴く小説)
として配信しております。こちらは無料でお楽しみいただけます。
篠原有利さんによる魅力的な朗読と、実在の環境での録音(リアル音源)をもとに作成された音響効果で、お送りしています。
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