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小学生のときになりたいと思ったものに結局みんななっていた

友人の子どもたちが大学進学の時期を迎え、どうやって大学を選ぶのか、学部を決めるのか、ということに悩んでいたりします。自分が高校生のころもみんな悩んでいたけれど、17、18歳で「何になるか」なんて決めるのは酷だなぁと大人になった今思います。

将来なりたいと思っていたもの

わたしが小学生のころは、外国に行ったこともないくせに外国の日本人学校の先生になりたいとか言っていて、中学のころは自分の容姿のことも気にせずアナウンサーになりたいなんて言っていました。いいんです、夢は自由! 高校になると現実的になって、高校の日本史の教師になると決めていました。なるかならないかは別として、なりたいというものをもつことが、学校では当たり前のような教育をうけていました。小学校を卒業してから30年以上経ったいまでも、同級生全員(20人しかいなかったので・・・)の「将来なりたい職業」を覚えています。卒業文集でもそんなことを書かされたいたからだからだと思いますが。

カンボジアの子どもたちの将来の夢

カンボジアの若者の将来のキャリア思考についてとても興味があったので、大学院で、ある中学・高校での生徒の「将来なりたいもの」の変化について研究して修士論文にしました。田舎で生まれ育った子どもたちの多くが、教師・医者・警察と答えます。親が農家で地元の小学校に通っている場合、あまり多くの職業を知らないからです。運良く高校や大学といった高等教育機関に進学できてはじめて、多種多様な職業について知るという人が多くいます。
それがダメかと問われれば、わたしは、それでまったく問題はないと思っています。そういう職業があるということを知って興味をもったとき、そこがスタートでいいんじゃないかなと。そう考えると、小さいときから「何になりたい?」と聞かれて理想的な回答に焦る必要はないんじゃないかとも。

でも結局そうなる

焦る必要もないし、明確で具体的な職業については就職するときや転職するときに考えればいいと思います。しかし、不思議なことがあって、小学生のときぼんやりでも「こういうのがいいなぁ」と思っていたことが、何十年後かに実現していたりします。というのは、わたしの小学校の同級生たちの話なのですが。例の卒業文集で、担任から「20年後の自分を、そのときになりきって書きなさい」と言われて書いた作文がひじょうに興味深いのです。同級生女子は6人だったのですが、Tはケーキ屋さんになると書き、Yは保育園の先生、Oは洋服のデザイナー、Mは看護婦さん、Gはピアニスト。わたしはというと、あれです、日本人学校の先生。そしていまは・・・、パンとスイーツが好きなTは趣味でパンを焼いたりパン教室で教えたり、子ども好きなYは早く子どもを生んで育て、器用なOは洋服ではないけど広告などのデザイナー、やさしいMは介護の仕事に就き、ずっとピアノをやめなかったGはピアノ教室の先生。遠からず、やりたかったことを巡り巡ってやっているのです。わたしは平日はカンボジアで教育支援の仕事をしていますが、土曜日はプノンペンの日本人補習授業校で小学2年生の担任をしています。ね、結局そうなっています。

自分の芯を無視しなければ自然と導かれる

純粋に夢があってそれに向かってストレートに進んでいく人は、それでいいと思います。すばらしい。でもそうじゃない人は、何をやってみてもいいんじゃないかと思います。わたしも結構転職を繰り返しました。けど、その都度それをやりたかったからやっていたので自分の中では転職をネガティブにとらえたことはありません(いいわけに聞こえてもしょうがなし)。大学を卒業したのは23歳ですが、大学院に進学したのは44歳。そんなブランクも理由は簡単で、「そのとき行きたいと思ったから行った」で処理。ただ、自分の芯のようなものがあって、それにしたがっていれば自然といいように導かれて行くんじゃないかとお気楽に考えています。

導かれて行くには憧れが必要

何もなく導かれるかというと、やはり「ああなりたいな」はあると思うんです。それをどう表現するか考えたのですが、「憧れ」でしょうか。具体的な何かがなくてももんやり憧れる姿を自分の中に持っていれば、結局そうなるんじゃないかなと思います。それがいつなるかは、人によって違うけど。わたし? はひじょうに遅かったです。いや、まだなりたかったものになっていないかもしれません。でもいいの。そしたら長生きしたらいいのだから。

18歳のときに将来を決めてもいいし、違ったと思ったら方向転換してもいい。高校生にとって進路選択は重圧になっているのかもしれないけれど、そのときの自分の気持ちを大切にするだけいいのかなと思います。いろいろなことをやってみてはじめて、最終的に子どものころからやりたかったことにたどりつくこともあるかもしれないから。


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