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万人にはおすすめできないけれど、将来に悩みがある人は『クリエイティブプログラマー』を読んでみては?

発売前に編集者さんによるSNSへの投稿を見て、「ツェッテルカステン」というキーワードが登場することを知って購入した『クリエイティブプログラマー』。
「創造力を駆使して問題解決するための7つのテーマ」というサブタイトルの通り、7つのテーマで「創造性」というスキルについて解説した本です。

1回目を読んだ感想

発売直後に購入し、勢いよく1回目を一気に読みました。

それからこのnoteに記事を書くまでに1ヶ月かかりました。
その理由は、「誰におすすめすればいいのか難しい」と感じたためです。

とても良い本なのですが、万人におすすめできる本、というわけではありません。
たとえば、「業務でのプログラミングに活かしたい」「プログラミングでクリエイティブなものを作りたい」と思ってこの本を手に取ると、がっかりすると思います。

この本を読んですぐに、創造的なプログラミングができるような即効性は期待できません。
本書の帯には「創造性は習得できるスキルだ!」とありますが、「習得」には相当な時間がかかるのでは?と感じるからです。

1つ1つの解説はわかりやすいものの、プログラミングについての身近な例として捉えられず、「クリエイティブ」はわかるけれど「プログラマー」というタイトルとの関連性がなかなか難しいと感じたのです。
もちろん、事例としてプログラミングに関するものは登場するものの、「ではこの本の内容がプログラマーに必要か?」と問われると、否定的な感想を持ちました。

結果、このnoteを書くまでに1ヶ月かかってしまいました。

2回目を読んだ感想

それから、いつも通りメモを取りながら、2回目を読んでみました。
このように何度かに分けて読む方法は拙著『「技術書」の読書術』でも書いたものです。

そして、やはり特にメモが多くなったのは第2章です。
「ツェッテルカステン」というキーワードから本書を手に取ったように、私が書いた『Obsidianで"育てる"最強ノート術』でも登場するノートの作成方法などが詳しく解説されているからです。

第2章では、知識を収集し、それを再構築すること、そしてシステムとして使うことで「外部メモリ」として機能させる、といった考え方が紹介されています。
この章の内容には首がもげるほど頷きました。

メモを書き、それを成長させる、というのは上記の『Obsidianで"育てる"最強ノート術』でも書いたことです。

その他、1冊を通してメモを取りながら読んでいくと、本書の主張が見えてきます。
本書は、各章の冒頭でいくつかの例を出し、それに共通する考え方をもとに「創造性」についての考え方を解説する、という構成になっています。

「アリストテレス」や「ソクラテス」といった人物の登場など、紀元前の例が多いことから、「これが本当にITに関する技術書なの?」という感想を持つ人も多いかもしれません。
日本の本には少ないような、海外の本ならではの独特の言い回しがあり、少し読みにくいものの、慣れれば「こういうものか」と読み進められます。

そして、各章の後半に登場するプログラミングの事例を見ると、「普段から考えていることに近いかもしれないな」と少し納得感があるものです。
そして、このシリーズ(↓)で章末にある「まとめ」も秀逸で、章で解説された中身をざっくり理解できます。はじめて読む方は、「まとめ」から読むのもいいかもしれません。

3回目を読んだ感想

そして、このnoteを書くためにさらに読んでみました。
「この本を誰が読めばいいのだろうか?」「誰におすすめすればいいのだろうか?」ということを考えたとき、個人的には以下のような方なら読むと面白いのではないか、という感想を持ちました。

  • ChatGPTのようなAIの登場、普及によって人間の仕事が奪われるかもしれない、などとプログラマーとして生きていくことに不安を感じている方

  • 普段から本などを読んで学んでいるけれど、知識として定着させることができないと悩んでいる方

  • 効率を追い求めてしまい、じっくり考えることが少ないと感じている方

逆に、現在プログラマーとして働いていて、問題なく業務をこなせているような方は読むのは時間の無駄かもしれません。普段の業務に近い技術書や、アルゴリズムなどの基礎理論を学ぶ方が有効でしょう。

しかし、現状に不安がある、何か悩んでいるなど、すぐに解決するような悩みではないけれど、じっくり将来を考えて読んでみたい、という方は一度手に取ってみてください。
新しい技術に好奇心を持つ、多くの情報を仕入れる、といった普段からの積み重ねが大事なこと、そして心を整えることの大切さがよくわかる本だと思います。


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