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イサム・ノグチの彫刻作品が道路をふさいだ!

札幌をこよなく愛するマスダです。

札幌に来たらぜひ観ていただきたいマスダ的ベスト3に入るものを紹介します。

それは、すべり台。

とはいっても単なるすべり台ではない。
世界的アートなんです!
それは、イサム・ノグチが遺した彫刻作品、

「ブラック・スライド・マンテラ」

なんです。

見た感じ、黒くて小さなすべり台なんだけど、イサムはこんな言葉を残しています。

「子どもたちが何度もすべり、そのお尻でなじむような形になって、はじめて作品を完成させる」

ワォ!なんて粋なアートなんだろう。

だからまだ未完成なのです。
今も子どもたちが完成に向けて、お尻で磨き上げているのです。
ぜひともこの作品は、子どもたちがすべり台を滑っているところを鑑賞してもらいたいです。

    ↓日々、子どもたちのお尻で磨き上げられているスロープ

子どもたちが滑っているブラック・スライド・マンテラは本当に素晴らしい!

繰り返し繰り返し、歓声を上げながらすべり台をすべる子供達は宝石のように輝いている。真黒い大理石でできている小さなすべり台だからこそ、子どもたちが引き立つようになっているのです。

さて、気になる「ブラック・スライド・マンテラ」が設置されている場所は、大通公園の8丁目です。正式には8丁目と9丁目のど真ん中にあるのです。

実は、僕が本当に伝えたいのはここから。

★イサム・ノグチが指定した彫刻設置場所は道路の真ん中だった!

当時、札幌市は、大通公園のシンボルとなるような彫刻をイサム・ノグチに依頼しました。

札幌市は、大通公園9丁目に、すでにあった通称くじら山すべり台を撤去して、そこに新たにイサム・ノグチ彫刻作品を設置しようと計画します。

現地を視察しにきたイサム・ノグチは、くじら山すべり台で歓声を上げて遊んでいる子どもたちを見て、札幌市の提案を退け、なんと8丁目と9丁目を分断している道路の真ん中を指差して「ここがいいね」といったのです。
そうすることで、子どもたちが、道路を渡ることなく、もっとのびのびと遊べるようにしようとしたのです。

↑ブラック・スライド・マンテラとくじら山すべり台

これは凄い発想だ。

道路封鎖。まあ、普通ではありえない。

札幌市は検討に検討を重ねるも、結局道路の撤去には踏み切れずにいるうちに、イサム・ノグチが急病でこの世をさってしまうのです。3年後、札幌市は彼の生前の意志を尊重し、ついに道路を潰すことを決定しました。

そして、1992年、生前彼が指を差した8丁目と9丁目の真ん中に、ブラック・スライド・マンテラが設置されました。

今では、8丁目と9丁目を子供たちが道路を渡ることなく、くじら山すべり台とブラック・スライド・マンテラを行き来しながら、のびのびと遊んでいます。

この空間すべてが、イサム・ノグチの遺作であり、芸術作品なのだと感動するのです。

ぜひ、札幌に観に来てください。

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