なんだかなあ…。『日向あり故に我あり』

昨日駅のホームで赤ん坊が泣いていた
母さんはよしよしと一生懸命あやすけど
赤ん坊は愛が足りないとワンワン泣き続けた
それを見たサラリーマンは嫌そうに舌打ちした

なんだかなあ　なんだかなあ

テレビ番組でコメンテーターが煽り続ける
自分たちの利益のために国民を騙している
スポンサーの顔色を伺う司会者と製作者
誰のための放送なのか　さっぱりわからない

なんだかなあ　なんだかなあ

極論ばかりを言う視野の狭い人たち
なぜか答えが一つしか見当たらない
もっと多様な可能性があるはずなのに
彼らは違う意見を徹底的に消そうとする

なんだかなあ　なんだかなあ

どこかの国が国境付近で武器を構えている
どこかの国は市民に銃の構え方を教えている
あるいは別の国は豪雨で多数の犠牲者がいる
どこかの国では今日も平和に肉を食ってる

なんだかなあ　なんだかなあ

いつしか世界中が平等になればいいと言った
だけどそれがとんでもない理想論だと知った
キラキラした夢なんて見ない方がいいと思った
世界は今日も偽善に満ち溢れているから

なんだかなあ　なんだかなあ

道端に五百円が落ちている
それを拾って缶コーヒーを買う
わたしはそれを河川敷で眠る爺さんに渡して
代わりに丸っこい石をもらった

別に大した世界じゃないことくらい知ってる
希望を持つことが罪であることくらい知ってる
だけどわたしは迷わずに生きていたいと願う
ちょっとくらいのやさしさは捨てないように
今日もなんだかなあと憂いながら