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どうせなら前向うよ 『alternative world』



カーラジオは今日も
憂鬱そうに世界情勢を語っている
俺は眠気覚ましに
ミント味のガムを噛み締めている

二年前に止めた
タバコの匂いをふと思い出して
思わず頬何かが伝った 
熱い感情 ふわりとした水

永遠の霧が未来に立ち込めている気がするんだ
誰かを愛していた頃が幸せだと今更気が付いて
しかし燃えたぎった僕の情熱はシュッと消えて
今は空っぽな体内にカフェオレが滲んでいるだけ

不幸とか絶望とか 
おそらくそんな気持ちだろうな
客観的に見た僕は醜悪で 
きっとあいつも笑っている

運命とは残酷だと言ってしまえば
もうそこで終わるけど
彼方へ行く僕の精神こそ 
朝日に変えたいと願ってしまう

ぶるぶると何かが振動するから 
僕は車を止めてそれを開く
僕の脳に表示されるたった一文
『どうせなら前を向うよ』

僕はこんな暗い夜更けに
きれいな夜明けを想像してしまった
愚かだけど 最低だけど 
そんな僕も太陽を見たい

欲望はいつだって
フル回転して人間をダメにしてしまうんだ
だけどそれこそが
人間だと割り切ってしまうこともある

今の僕は最果てにある
キラキラした何かを探すために
どうせなら前を向うよと口ずさんで 
果てしない旅を続ける




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