2004年の僕『水無月の白昼夢』
2004年の僕は、雨だった。
僕の名前に相応しくない、不快な雨。
人生の歩み方を知らず、迷う日々。
ただただ、濡れるだけの人形さん。
友達の定義を知らなかった。
男の子より、女の子の方が安心した。
誰かと仲良くするなんてできなかった。
そもそも人間が苦手で、嫌いだった。
自我なんて無い、空き缶みたいな存在。
だけど学校は続くから、行かないといけない。
周りとは違う、何かが違う。でもなんだろう?
よくわからないまま、僕は生きていた。
酷く不器用で、運動音痴。思うように言葉が出ない。
生きる上で大事なものを、僕は持っていなかった。
だから小さな社会ですら馴染むことができなかった。
あのときの僕は誰だったんだろう。2022年の僕は首を傾げる。
2022年の僕は、パチンと指を鳴らす。
ぼんやりと霧状になった過去は、消える。
過去ばかり気にしても、雨は止まない。
盛夏に備えて、いらないものは捨てる。
そんな人生。リセットを繰り返す人生。
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