黒い羊 『彩』
この街に取り残された真っ黒な僕は
誰にも頼らず一人で生きることを決めた
みんなは無条件で僕を嫌い 罵り 貶し
挙げ句の果てには存在価値すら認めなかった
この世界に潜む全ての生き物は白であるが
何故か僕の色だけは闇を彷彿させる黒だった
誰も僕が黒い理由など知る由もない
僕は答えを探し続けたけど見つからなかった
たった一人だけ
僕は疎外されて
みんなとは違う
道を歩かされる
差別に厳しいはずのこの世界において
僕にはそれすらも与えられずに放置され
救いの神など望む方が恥ずかしいとさえ思え
孤独であることが正解だと教えられた
いじめなんてカッコ悪いんでしょう?
先生が言っていた言葉は戯言なの?
正義が勝つってテレビが言っていたのに
結局は悪い奴ばかりが得をする珍奇な世界
僕は今日も一人で鳴かずに
憐れむ心すら虚に変えて
曇天の空に息を吹きかける
深い闇を滲ませるために
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