静の灯『ポップわーるど』

動くことを辞めたナマケモノは笑っている
疲れ果てた人間はいまだに動き続ける
労を人生とする頑張り屋さんへ送る
息を吸って、吐いて、その場で空を見よう

単に忙しないだけ？　それとも追われている？
止まることができなくなった車を走らせ続け
エンジンは火が吹きそうなほど熱くなって
それでも一生懸命生きてしまう　壊れるまで

真面目に生きることが正しいって教えられた
それは間違いじゃない　そうだろうけど
いつの間にかネジが取れてしまう故障があって
もう元には戻れないほどに軋む心臓、すなわち精神

なぜ、僕ら人間は頑張ってしまうんだろう
少しくらい青空を見て和んだっていいじゃないか
けれども従順に生きることに必死な人間は
肩の力を抜くと怒って貶してくるばかり

僕は灯したい　静の灯りを
おぼろげで何も照らさない
だけど美しい光を
この夜を彩るように

停止して　迷って　悩んで　眠って
美味しいもの食べて　温泉入って
実用的じゃない休日を過ごしても
僕は幸せじゃないかって思う

僕は灯したい　静の灯りを
わずかな空間だけを覆うような
だけど確実に守られる光を
この人生を包み込むように