緑茶 『彩』
唇が潤う
緑茶を一口
僕は飲んで
深く息をつく
朝の温かい陽差しが
眠気を取り除いて
一日が始まることを
丁寧に教えてくれる
冬の日は芯から冷える
心も身体も固まっている
僕は解したい欲に駆られて
急須で緑茶を入れる
立つ湯気は儚く消える
全ては過去となって消える
僕の辛かった思い出も消えて
やがて洗い流される
唇が潤う
緑茶を一口
僕は飲んで
深く息をつく
ぼんやりとした未来を
脳内に描きながら
文庫本に目を通して
フィクションに憧れながら
苦い緑茶を口にして
深く息をつく
休止した人生を楽しみながら
深く息をつく
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