ファストフード物語『ファストフード物語』
俺は今日もハンバーガーとフライドポテトを食べる。
美味いよね。安いし、レパートリーも豊富だ。
たまにはチキンナゲットもつけたいね。アイスもいいな。
店員さんは忙しなくポテトを揚げている。
奇妙だけど癖になるな音を鳴らして。
別の店員さんはハンバーガーを紙に包んでいる。
またまた別の店員さんは飲み物を用意している。
客は度々入れ替わっていく。まるで循環機能だ。
お腹を空かせた人間がやってきて、
お腹いっぱいの人間はそとへ出ていく。
面白いくらい、ぐるぐると巡る人間たち。
消費社会。消費社会。またまた、消費社会。
わかりやすく、資本主義。紛れもなく、資本主義。
ファストフードって美味しいよね。手軽だし。
なんというか、人間はすがりたくなる。
欲望を満たすためには最高の居場所なんだろうね。
知っているよ。身体に良くないって。
お偉いさん風のお医者さんがみんな言っている。
でも、俺には関係ないね。だって人間だから。
わかるよ。きれいに生きていたいって気持ちも。
カッコつけてフレンチ行っちゃう気持ちも。
だけどさ、人間なんて所詮汚れた生き物だからさ。
だからお金なんてものに執着しちゃうんでしょう?
俺は今日もファストフードを食うよ。だって美味しいから。
それに、店員さんが頑張っているからね。何のためか知らないけど。
俺は何も遺せない愚か者だけどさ、許してくれよ。
せめてハンバーガー食べるからさ。
せめてフライドポテトを食べるからさ。
意味もなく生きているからさ。いいでしょう?
(了)
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