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臆病者の懺悔詩(『日向夏』)


真夜中に飛び立つ真っ黒な
自分の夢
真っ青な空にも真っ白なノートにも
描けない無念
掠れていく 溺れていく 
泣きじゃくる独りぼっちの夜

不確かなことには期待しない
過ちを犯さないように慎重に
周りにばかり期待して 自分は屈して
いつしか僕は臆病者になった

誰かを傷つけないように
僕は柔らかい手を後ろに組んで
傍観者になっていたんだ
結局 君は死んでしまったけど

つまらない歌を描き続けたこともある
愛とか希望とか なんとなく描いてみて
それがどこにも見つからないことに気がついて
梅雨時みたいに心に曇がかかって

臆病者に何ができる?
祈ること? それだけ?
前へ踏み出す勇気の果実かじって
震える君を救えたらって 希望的観測をして

例えば世界の中に君しかいなくなって
その他諸々がみんな怪物になるとして
残された化け物姿の僕に何が出来るかって
君を守ることしか生きる意味はないって

思考を止めて 浮かぶ君の亡き笑顔
おそらくこの先出会うことはない 愛
臆病者の僕は一生懸命声を出して
ごめんねと懺悔の気持ちを詩にする

海底まで差し込む光
それは太陽じゃない
おそらく僕の未来
君とはサヨナラ
だけど明日が来る
また明日が来る
夢を追い続けた僕にも
可能性を信じた僕にも
落下して朽ち果てる僕にも
踊り疲れた僕にも
蒼い血を流した僕にも
泣き続けた僕にも
明日が来る

臆病者にも明日が来る
だから僕は懺悔の詩を歌い続ける

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