マガジンのカバー画像

アオマスの小説

159
どんな一面にも些細な物語が存在する。それを上手に掬って、鮮明に描いていく。文士を目指す蒼日向真澄によって紡がれる短編集です。
運営しているクリエイター

#猫

路地(ショートショート)

 一人、路地を歩く。何も考えず、ただひたすらに。  一匹、猫が通る。彼もまた、何も考えず…

蒼乃真澄
3か月前
16

ひとときの息抜き 6

「織田さん、織田さん」  僕はゆっくりと目を覚まし、目の前にジョニーさんがいることを確認…

蒼乃真澄
2年前
5

ひとときの息抜き 5

 僕の視線は、アスファルトの地面からすぐ近くにあった。ぼんやりとしか見えない光。ヒリヒリ…

蒼乃真澄
2年前
7

ひとときの息抜き 4

 この日一番の大雨が降ってきたらしく、僕はその音を聴きながら、何時間もずっとベッドの上で…

蒼乃真澄
2年前
5

ひとときの息抜き 3

「さて、織田勝さんの身体の人生が止まりました。織田さん、私の声が聞こえたら、目の前にある…

蒼乃真澄
2年前
6

ひとときの息抜き 2

 店の中は至ってシンプルで、小洒落たティーカップを口元に寄せる老婆の姿が美しく映える古風…

蒼乃真澄
2年前
9

ひとときの息抜き 1

 人生に疲れても、人はその歩みを止めることができない。そして時間が進んでいくたびに、人は歳を取り、身体は衰え、いずれは死んでいく。それは生き物の定めであり、今後も覆る可能性はゼロに近い。  途中で人生を終えるには、命に終止符を打つしかない。逆に言えば、どれだけ苦しくとも、悲しくとも、命さえあれば人生は止まることなく進んでいく。  ただ、僕は人生に疲れたときに、とある場所へ行って人生を『休止』させてもらうことができる。一度人生を止めて、その中で冷静に自分を見つめ直す。いや、