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父の人生を変えた『一日』      その1 ~英語との出会い~

色々なところで講演してきた。それは限りない長い人生で若者が―夢と希望を持つためである。

水澤茂夫の人生を変えた一日は小学校6年生の7月7日七夕の日に起こった。小学生は私だけ、あとは全員中学生、皆でソフトボールをしていた。先輩の打ったボールがセンターを越えてガラス窓を破った。私がボールを取りに行った。大家さんから首根っこ押さえられた。お袋が菓子折りをもって一緒に謝りに行ってくれた。その時間がものすごく長く感じた。

『7月14日の夜から私の所に倅さんをよこしなさい』と大家さんから言われた。

母は静かにうなずいていた。母の後ろを歩いての帰宅の道のりは長く感じた。何が起こるのだろうと少年は思った。

運命の出来事であった。その日から英語のスパルタ教育は始まった。ねむけ眼をこすりながら必死に英語と対峙した。毎日毎日、廻りは英語の世界になった。英語無くして一日は終わらなかった。夜、自転車で毎日通った。頭の中はあの大国、大好きになった国―アメリカ―が存在していた。人の3倍も5倍も英語を勉強した。来る日も、来る日も雨の日も風の日も春も夏も秋も冬も英語の勉強に謹んだ。いそしむと言うより英語が身体の一部になった様であった。田舎の少年の心の中が確かに間違いなく―アメリカの道―を進んでいた。


~倅の解釈~
父と英語との出会い。茨城県守谷市の片田舎で貧しい暮らしをしていた父。7人兄弟の一番下。祖父が警察官をしており、警察一家。この出会いが無ければ、私自身もアメリカに行けなかったと思う。思い返せば、どこに行っても外国人がいれば茨城弁なまりの英語で声をかけていた父。亡くなる日まで社長室の机の上には英英辞典があった。小学生の時の運命的な出来事がすべてきっかけ。野球のボールを大家さんの家の中まで打ってくれた先輩に感謝。

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