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父の人生を変えた『一日』その41 ~企業戦士~

その41 ~企業戦士~ 
 丸紅、川商、日商の友人とシアトルのホテルの一室に麻雀の自動卓を日本から取り寄せて設置。週末麻雀をやろうとしていた。川商の相原さんから緊急電話が入った。ライオン、四国の鶴井商店の社長がカナダで水上飛行機の検品中墜落した。今からカナダまで走るので今日の麻雀は中止となった。すぐにカナダトーメン社の此口先輩に電話をいれた。「何」驚いていた。昨日まで当社でアテンドした四国のお客様であった。
 川商の若い駐在員と筏のある水面に着陸しようとして真っ逆さまに飛行機が突っ込んだと言う。結果だけ言うと駐在員がはいていたスパイクシューズで窓を壊しパイロット含む5人は水の上まで浮上して救助された。水をしこたま飲み顔は傷だらけであった。全く不幸中の幸いであった。総合商社マンは地球の隅々で働いている。事故の発見も早いという。この時も命は助かったが奇跡であった。


~倅の解釈~
 総合商社マンはこの時代、まさしく企業戦士であった。高度成長期を遂げた日本は世界へ向けてガンガン商売をしていた。そこには必ず前線で特攻隊長のごとく飛び込んでいく商社マンがいた。こんな話を耳にタコができるほど親父から聞かされた。でもこの話、大好きだった。幼少期から日本人であることに誇りを持った。ロマンを感じた。
 日本古来の美徳である勤勉さと、「お国のために」と自国の発展のために奮起できる強い精神。全ては日本人としての精神性が日本の戦後復興、高度経済成長の礎だと感じる。
 果たして今はどうなのだろうか。この熱い精神、情熱はあるのだろうか。自分にも問いただしたい。


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