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【ネタバレ】劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』感想(約1万字)

 一切耳が聞こえないのですが、字幕上映が数日しかない上に1日に1回のみという悲しみ。しかも朝9時。
 予定も色々合わず、見れる最後の機会を見逃してしまいました……が、6/9(日)に字幕メガネのある映画館でなんとか見てきました。

 一言で言うなら、そうですね……「最高」以外ありえませんね

 見た感想をどうしても共有したく、下記に記します。
 思いの丈をぶつけたらなんか1万字行きました。それほどの神映画です。見ましょう。私はどこかで4DXで二周目しに行こうと思っています。

 6/11(火)追記:4DXではありませんが2周目見ました。ところどころ違ってる部分があったので訂正や補足していきます。人の記憶はあてにならない……

 タイトルにも記載した通り、100%ネタバレです。お気を付けください。



■オープニング

 いきなり作画の暴力。レースシーンの作画が凄まじい。なんなんだこの作画……?フジキセキさんがかっこよすぎる。これはスターですわ。

 フジキセキの走りに魅せられるジャングルポケットのキラキラっぷりがいい、そして入学後にフジキセキの手を握ってブンブンするポケットもかわいい。
 そして出走前に勝負服のリボンをフジキセキに結び直してもらうシーン、これが後述する「自分で結べるようになったんで」の台詞に繋がってるのが激熱すぎて好き。

 (6/11追記:レースがあっという間に流れていくのスピード感がすごいな!!)


■アグネスタキオンとの出会い、最初の敗北

 初っ端からタキオンに脚をさわさわされてめちゃくちゃウネウネするポッケで笑ってしまった。沖野Tかよ。ポッケよく蹴らなかったな。
 でもタキオンなら普通にやりかねないな、と思ったのも事実。解像度が高い。そらそうか、公式だし。

 コースを上空から俯瞰で映してからドンッ!とレース名・距離・天気・馬場状態が表示されるシーンがめっっっっっちゃ好き。最高。再現していただいた方がいたので引用します。


 一人称視点も本当に自分が走っているかのような臨場感がとてもよかった。ちょうど公式がメイキング映像を公開していたのでまた引用。

 初っ端から負ける主人公、好物。乗り越えるべき壁は欠かせないからね。
 "最強"を目指すポッケに対して、レコードという衝撃と共にもっと強いやつはいるんだぞという現実を見せつける感じも「やべえやつが来たな……」となるし、その一方でレコードを残したのにどうでもよさそうな雰囲気をしていたのもめっちゃタキオンだ!!!!!となった。
 何を考えているのか分からない得体のしれない強者という描写がばっちりなされててすごいよかった。そして震える脚……お前……(6/11追記:これ皐月賞ですね。記憶力やばくないか?)

 その後にしっかりタキオンの目指しているものも描いてて、あれはそういう事かと自ずと分かる作りになってるのも◎。全ては"可能性の果て"に至るためのただの経過点なんだよな。

 カフェに対して怪しい薬を勧めるタキオンも非常にかわいく、モルモットとしては最高のシーンだった。
 かわいい。とにかくかわいい。カフェから睨まれてススス……と引っ込んでいくのも最高にかわいい。最高。モルモットはここを網膜に焼き付けろ。

 後あの生物、何?めっちゃウネウネしてたけど……あの……なに……?
 ネタバレ注意という前置きと共に謎の生物がいる絵をちらほらと見かけたんですが、あれがマジに誇張なしのネタバレだったとは読めなかった。このリハクの目をもってしても!


■テイエムオペラオーの有馬記念

 個人的に一番好きなところ。
 残り310m、テイエムは来ないのか、テイエムは来ないのか、からの……テイエム来た!テイエム来た!テイエム来た!テイエム来た!の実況もそうだったし、何よりテイエムオペラオーの"覇王"っぷりが凄まじかった。

 ロケットのように一歩を踏み出す演出も神だったし、そこからスルスルッ!!と抜け出す瞬間は鳥肌立ったし、メイショウドトウも普段のぽやぽやとした顔から予想できない表情で負けじと追いすがるのもうわああああ!!!!!!!!と心の中で叫んでいた。なんなんだあの作画……?(2回目)
 最後にマントを翻して握りしめた拳をバッと天に突くシーンも勢いが良すぎて仰け反った。お前こそが"世紀末覇王"や……字幕眼鏡つけてたから字幕が上に飛んで行っちゃったよ。

 ここの有馬はまた見たいですね。見直せる環境だったら多分ここを10000回ぐらいは見る気がする。

(6/11追記:本当に最後の最後までジリジリとした展開で、その分ぶち抜くカタルシスが半端なかった。ここのドトウの表情が一番好きかも……)

■弥生賞

 なんか一瞬で終わってしまった。
 このあたりはカフェが体重を大きく減らし、体調が悪い時期であったことからゼェハァしながら走ってたり、かなり危ない咳をしていたシーンとかに目が行ってしまった。
 へばってるカフェがかわいい。かわいそうはかわいい。

 それでもお友達に追いつくため、しっかりと強い意志を瞳に湛えていたのもよかった。ポッケが"最強"になるために走るとしたら、カフェはお友達に追いつくために走るんだなって。

(6/11追記)

 な〜にが一瞬じゃい!皐月賞と混ざってるな。
 ぶち抜いた後に可能性の果てへと至ろうとしたところで砕ける未来が見えたタキオンの心情、あまりにも……
 あんなん見せられたら、そりゃプランBを取るよなあ…………自分では到達できないと言う現実をさまざまと見せつけられたら……)

■皐月賞

 まず、は~~~~~~~とクソデカ溜息が出た。映画館なので我慢しようとしたけどダメだった。ごめんなさい。(2回目)
 完全に勝てる気がしない、と思わせる走りを見せつけてから無期限休止宣言はダメだって。ポッケ完全に脳焼かれてんじゃん。おいタキオン!!!! 責任を取れ!!!!!!!!!

 いやほんとに、この時のタキオンは全能感が満ち溢れていた。アプリの固有スキル「U=ma2」を1000倍豪華にしたような演出、完全に勝利確定演出みたいな感じだった。
 ポッケがよし行くぞ! と足を踏み出したところでタキオンが文字通り光速を超えた速さで、凄まじいストライド走法で一番前へ躍り出る瞬間が凄まじかった。
 カフェが追い続けていたお友達にもあわや追いつくような速さを見て、カフェも思わず前のめりになるところもよかった。

 それでいてタキオン自身の危うさも見事に描いていたし、"可能性の果て"に脚が届こうとした瞬間に出てくる不穏な描写がたまらなかった。(ああ、やはりか……)と言わんばかりにゆっくりと瞳を閉じるところが……
 (6/11追記:ここはジャパンカップ!そういえばタキオン、ずっと瞬きしてなかったな……)

 ゴール直前に「勝てねえ……!」と顔が歪みまくっていたポッケがゴール後に汗だくで荒い息をしながら認めつつも次こそは……というところで、震える脚とタキオンがそのまま背中を向けたまま歩き去るシーンで「お前……やっぱり……もう……」となってしまった。
 ちなみにここで飛行機が飛行機雲を放ちながらスーッと消えていくシーン、あれって兄のアグネスフライト暗喩だったのかな?


 会見で上から無期限休止宣言を言い放つタキオンと、それが映った画面をわなわなとした瞳で見つめて過呼吸するポッケでクソデカ溜息よ。

 結果的にそうなってしまったとはいえ、勝ち逃げされたポッケの心情たるや、察するに余り有る。だってこれから勝っても勝っても、この時追いつけなかった背中を今後追い越す機会がない。もはや呪いだよ。

 タキオンもきっと走りたかっただろう。走りたくないわけがない。それでも研究者として冷徹にこれ以上は走れないと結論付けた。
 それでも引退ではなく無期限休止としたのはもしかしたら……という思いはあったのかもしれない。


 「歩けないってほどの怪我じゃねえようだな」と言うポッケからどこか縋っているような雰囲気を感じるのがたまらん……
 そこから胸倉を掴まれ、砂糖まみれの紅茶をジャバジャバこぼしながら「私の走りを見て君はどう思った?」と言い放つタキオンのシーンが一番印象に残ってる。

 それ言われちゃポッケはなんも言えねえよ。アンタの走りに脳を焼かれちまってるんだぞ。だから言ったんだろうけどね。

 タキオンもタキオンで代替品(6/11追記:代わり)という言葉を出した後、自分でその言葉に引っ掛かるような描写があったのがエモかった。合理的に抑えつけていてもやっぱりお前は走りたいんだな。
 (6/11追記:ここは日本ダービーの後ですね)

 ここで良かったのがタキオンの口からは直接的な理由を話さなかったこと。あくまで描写にとどめているわけです。

(6/11追記:ダンツが言い放った「あんなすごい才能があるのに」と言う言葉、刺さった。ダンツ自身がポッケやタキオンのような才能がないと自分で理解しているからこそ、走らない意味がわからなかったんだろうな……)

■日本ダービー~菊花賞

 レースの描写はもはや言うことなし。百点満点。なんなんだこの作画……(3回目)

 フジキセキがここでタナベさんに「勝たせてあげられるよ」じゃなくて「楽しませてあげられるよ」というような事を言っていたのが最高によかった。
 ここのセリフだけでもフジキセキに対する解像度が滅茶苦茶激高だった。普通なら日本ダービーを勝ち取ってくれるとか、ありきたりなセリフにしてもおかしくない流れ。
 それを「楽しませる」という言葉のチョイスはまさしくエンターテイナーであるフジキセキに似合いすぎている。"""わかっている"""ね。(上から目線すぎる)

 "最強"になるべく駆け出したポッケの横にはあのダンツが!

「まんなかは!」「最強は!」
「私だ!」「オレだ!」
「私が!」「オレが!」

 ああ~~~~~!!!!!!たまんねえ~~~~~!!
 まさしく二人の舞台だった。

 ちなみにこのダンツフレーム、JRAで名馬の肖像があることを鑑賞後に知ったんですけどね。

「次の幕こそ」

真ん中に立てないことを
思い悩んでいるのなら
君にこう問いたい

舞台の端や後方であっても
命がけで演じただろう?
いまの力で成し得る
最良の結果を残しただろう?

ならば悲観することはない
次は大きな役を用意した
君のために開演ベルは鳴る

名馬の肖像 JRA:ダンツフレーム

 おい!!!!!! おい!!!!!!!!!!
 まさしく劇中のダンツそのものじゃん!!!!!!
 度々言及していた「勝って真ん中に立ちたい」という原初の理由、これからかァ……で、宝塚記念でようやく真ん中を勝ち取ると……ああ……最高……次の題材はダンツで決まりだな……


 ポッケの最後の雄叫びもめっっっっちゃよかった。帰路につこうとして、脚を止めたタキオンを映した上でこの雄叫び。
 これにタキオンが反応して、そこから走ることに対する未練を明らかに見せるようになったのもエモい
 この雄叫び、きっとタキオンに向けてたんだろうな…………(6/11追記:あの雄叫びはタナベさんとフジキセキに向けてるだろ!!お前の目は節穴か???)


 ポッケの日本ダービーやカフェが走った菊花賞の録画を見ながら足が走るように小刻みに動いていたり、それを見て(あなたも走りたいくせに……)と言わんばかりに顔をしかめるカフェだったり

(6/11追記:これは「私がその先に行くのを見ていろ」「お前はそのまま渇いていけ」というような挑発的な意味合いが強かったんだなあ。冷酷なカフェ、いい……)


 きれいだった部屋が徐々に汚くなったりする
のもタキオンが本能を抑えきれなくなりつつ、当初はたっぷり感じさせられた余裕がなくなっていく感じがあってよかった。
 最終的にはモブウマ娘たちがただ練習している光景にすらも落ち着きを失い、ただただ渇望するように見つめ続けているタキオンの姿、最高。

 そうだよなあ、元々お前は自分自身の脚で"可能性の果て"を追い求めていた。誰よりも知りたがっていたはずだ
 ポッケやカフェを代替品として代わりに到達させる……なんてこと、本当に望んでいるのか? そんな事を雄弁に語るかのような描写だった。

 ちなみにこれはあくまで私の考察というか妄想なのですが、走るのをやめたタキオンが自身のトレーナーに対して「もう走らないウマ娘に構ってる暇はあるのかい?」と跳ね除けてそう。
 それでもと食い下がるトレーナーに対して、「残念ながら今後の研究や実験は私だけで事足りるのだよ。私には私にか出来ない事があるのと同様に、君にも君しか出来ないことがあるだろう?」と、他の子のところに行かせてそう。ウマ娘を導くトレーナーとしてそれを言われちゃね……

 だからトレーナーが甲斐甲斐しく世話をして、きれいにしていた部屋がトレーナーが来なくなったことで汚くなっていっている……ってワケよ。
 そしてタキオン自身もああは言ったけど結局心身ともに支えてくれたトレーナーがいなくなって憔悴してさァ……(※妄想です。この妄想を一つの形にしてみたい気持ちはあります)


 合宿〜夏祭りでは情報量が予想以上にあってところどころ記憶が飛んでいる。アイネスフウジンが屋台でバイトしてて感心した。あとアヤベさんのわたがし。夏合宿で布団のふわふわさを力説してカレンちゃんにもう寝ますよと言われるアヤベさんも好き。

(6/11追記:予想以上にポッケが曇ってた。プリズムを落として傷がついて、それがポッケ自身を暗喩してたんだな。
 ここでカフェやダンツが前に行くようになって、ポッケは後ろから苦しそうに練習や走ったりしているのもポッケの迷いや苦悩という心情を見事に描いてたように思う)

 日本ダービーに勝ってもなおタキオンの背中が立ち塞がり続けて、立ち直れていないポッケにエモさを感じた。

 フジキセキが私も走りたくなった、というところで表情が明るくなるポッケに「なーんて」と曇らせるの、エグすぎるだろ。お前が真のエンターテイナーや。

 フジキセキもタキオンも同じく4戦無敗、三冠確実と言われていた逸材。凄まじい共通点がある。
 レースはもしも、たらればは禁物。それでも……と言わずにはいられなくなるのが人の性なのである。

 カフェ!!!!めちゃくちゃカッコいい!!!!!!!!!!!


■ジャングルポケットの苦悩

 堂々としていたはずの走りに陰りが見え、ものの見事に勝てなくなるジャングルポケット。走っているのにもう一人の自分が頭を押さえつけ、そして遂に足を動かしていてもその場に止まってしまう。

 もう一人のポッケの表情が秀逸。だってタキオンがいつも浮かべている口端を吊り上げる笑みをしているんだぜ。ポッケはあんな顔をしない、完全にタキオンだよあれは。
 お前は勝てない、タキオンには一生追いつけない。お前は最強ではないと自分自身の迷いそのものが壁となり立ち塞がる展開、王道過ぎて好き。
 そんな王道を余すことなく圧倒的作画で見せられると苦しすぎてこっちの呼吸まで止まっちゃうよ

 日本ダービーの実況がポッケとダンツ二人の名前を繰り返すシーンで、バスの中?で憂いを帯びた表情をしていたポッケ。
 あれはきっとそこにタキオンの名前がなかったことに対して思う所があったんだろうなあ。"最強"を決めるレースで、タキオンがいない。それはどんなに残酷な事か。


 ダンツにはポッケやタキオンほどの才能を持ち合わせていない。それでもなお勝って真ん中に立ちたいという原初の想いを胸に前を向いて、走り続けている。
 カフェも惨敗から日本ダービー欠場というどん底から、あの遥か先を走って行くお友達に追いつくためという明確な目的を持って歩み進んでいる。

 一方でポケットはタキオンというライバルが消えてなくなり、タキオンの背中という影に囚われ続けている。
 日本ダービーに勝って"最強”になってもなおアイツには勝てないという強迫概念に苛まれ続けるのである
 特に日本ダービーで勝った時にトロフィーを持ちながら堂々と歩んだレッドカーペットが、ぐちゃぐちゃに歪んでまともに走れなくなり……そのレッドカーペットの先にはあの光を超えていくタキオンの背中。それに追いつけることはない。ここは鳥肌立った。

(6/11追記:スクリーンが次々とタキオンに変わるのホラーだった。「もしも、タキオンがいたら日本ダービーはポッケではなくタキオンが取っていただろう」という、周りの評価とポッケ自身の思いが夢として表れたんだろうな……)


 もう勝てないと思わせられ、そして今後二度と同じレースを走れず、リベンジという機会すら与えられない。それは果たして本当に"最強"なのか?

 ここの落差・格差がよりポッケの苦悩を際立たせていて非常によかった。


■フジキセキの激励

 ここ、めっちゃよかったです。(n回目)というか全部いいけど。
 でもその勝負服は……いささか目に毒っていうか……普通に外でその恰好するのやばいでしょ。

 現役時代、たった一度しか身に纏わなかった勝負服。もう走らないと決めたフジキセキが、ポッケのために再び袖に通して併走するの、たまんねえ~~~~~!!!
 こーれ前線から退いた師匠的ポジションが命を削ってかつての最盛期の力を一瞬でも取り戻し、それを見せることで立ち直らせようとする王道中の王道な展開じゃねえか!!!!!!!好き!!!!!!!!!!!

 併走し始めの時のポッケの「完璧に現役時代の走りじゃねえか!」という戦慄に対して、フジキセキの「あの頃の自分とは程遠い……」というようなギャップがめちゃくちゃよかった。
 ブランクがあってもなお、ダービーを勝ち取ったポッケですら認めるほどの走りなのに。どんだけ強かったんだ、フジキセキ。

 苦しみながらフジキセキに食らいつくポッケと、かつての自分と比較して遥かに後ろにいると苦悩するフジキセキ。
 その対比もよかったし、それでもなお……と無数のステージライトに照らされながら走りぬくフジキセキを見て、ポッケが「どうして走りたかったのか」という原初の理由を取り戻すのが最高でした。
 そうなんだよな、ポッケが一番最初に脳を焼かれたの、フジキセキだもんな。初めての人だもんな。また脳を焼き直されてるやん。

(6/11追記:フジキセキもまた4戦全勝というタキオンと同じ道を歩んで、"幻"を見続けているという共感。その上で君は走れる、走っていると激励するのが……ほんまに……「走りたい」という本能を呼び戻したところは目頭が熱くなりました)

 で、ここで最高のポイントがフジキセキに対してスポドリを渡すタナベさん。フジキセキがそれまでずっと「ナベさん」と呼んでたのに、この時は「トレーナーさん」って言ってるんですよ!!!!!!
 タナベさんに再び夢を見せていく決意をしたフジキセキ。本当に……尊いものを見させていただきました……この時の私はさながらデジたんのごとく拝んでいた。


 そしてアグネスタキオンに対してポッケが自らの気持ちを吐露したシーン。最高です。
 最初は勝負しろ!オレが勝つ!と勢いで食い掛っていたところから、アグネスタキオンの皐月賞での走りを目にし、「勝てねえ」と気圧されてオレは"最強"じゃねえと挫けそうになったポッケ。
 ……これをちゃんと認めた上で、それでもなお乗り越えようとするポッケ。これより尊いものはあるだろうか。いや、ない(反語)

 ここで度々登場していたプリズム?クリスタル?が光に反射され、虹色がきらめく演出がひじょ~~~にいい。"可能性の果て"というまだ見ぬ可能性をポッケがこれから掴み取ろうとしているような感じが。
 そしてそれを見るアグネスタキオンの心情はどうだったんだろうな……もう一周してこの辺りをまた整理したい。

 ここで立ち直るポッケと、逆に取り残されているかのようなタキオンが対照的でとてもいい……

 (6/11追記:ポッケがすんなりと引いたのを見て、タキオンが何が物足りないような顔をしていたのは引き止めて欲しかったのかな……?置き去りにされた子供のような表情が印象に残ってます)


■ジャパンカップ

 出走前にフジキセキに対して「これからは客席で見ていてくださいよ。自分で結べるようになったんで」みたいな言葉をポッケが言ったシーン、ウワ!!!!!あのシーンからここで持ってくるか!!!!!!と感動してました。
 己が走る意味を再認識し、憧れだったフジキセキから独り立ちするポッケ。いいな……

 テイエムオペラオーがとってもラスボスしてましたね。バサバサと舞うマント、逆光で圧倒的な煌めきを放ちながら、絶対王者として君臨する自信に満ち溢れた顔。言い回しもひじょ~~~によかった。

世紀末覇王

 「騎士たちよ! 黄金を打ち砕かんとする若きウェルテルよ! 誇りたまえ! ボクの前に敗れ、覇道の軌跡の1ページとなることを」なんていうセリフはオペラオーにしか似合わん。

 「若きウェルテルの苦悩」というオペラがあるんですよね。オペラオーの言い回し全部オペラなんですよ。こだわり凄すぎるだろ。


 わなわなとした瞳で「待ってくれ」と呟いたタキオン。そうだよなあ!!!!!お前〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!っぱその舞台に立ちたいんだよなあ!!!!!!!!!!!!!!

 ポッケがそれまで苛まれ続けたもう一人のポッケを自らの手で粉砕して"可能性の果て"に至らんとする走りで、世紀末覇王であり絶対王者であるオペラオーをぶち抜いて"最強"を掴み取るところ、ほんまに…………よかった……

 この辺りは後述する「先に行くぜ」が凄まじすぎて記憶を失っているので二周目で改めて確認します。最初ここでダンツと並んだと勘違いしてたぐらいなので。(実際は日本ダービー)

 (6/11追記:日本ダービーとかなり混ざってましたね。オペラオーの「それでこそ我がライヴァル!」というセリフ、最高にオペラオーでした)

■「先に行くぜ」

 まずこれを見てほしい。

https://www.jra.go.jp/gallery/column/syouzou/pdf/2019-23.pdf


「光を超えて」

容赦などしない
突き放してやる
置き去りにしてやる

それで終わりか
吠えかかってこい
意地を示せ
追いついてみろ

できないのなら下がれ
光を超えてゆく私の背中を
そこで見ているがいい

名馬の肖像 JRA:アグネスタキオン


 これ見た瞬間「う、うわああああああ!!」と夜中に大声が出た。

 光速を超えた速度で動く粒子の名を冠するタキオンがレコード勝ちで「追いついてみろ」とポッケを突き放す。そこから無期限休止という形で名実共に置き去りにしていく。
 ポッケは光を超えていくタキオンの背中を幻視し続け、折れそうになって……そこから奮起して吠えかかっていき、意地を示す物語。この映画はまさしくこのコピー通りなんです。


 そして、これまでタキオンという光を超えていく背中を追い続けていたポッケが、タキオンに追いつくどころかジャパンカップで「先に行くぜ」と一瞥するんですよ。「待ってくれ」と呟いたタキオンに対して。

 タキオンからすれば自分自身ではなく他者であるポッケが代替品として"可能性の果て"に至るというプランBを達成できる。
 これでいい。これでいいはずなのに……本能がそれを許さず、思わず走り出す。本能のままに自らの脚で"可能性の果て"に至るべく、脇目も振らずに再び走り始めるのです
 追いかけられる立場だったタキオンが、逆に"可能性の果て"に辿り着こうとしているポッケの背中を追いかけるんです。今度はポッケを追い越して、自分自身が"可能性の果て"へと辿り着くために

 なんちゅうものを作ってもうたんや……最高や…………


■ライブ

 唐突に始まるライブ。っっっっぱウマ娘といえばライブだよなあ~~~~??? それはそうとして唐突すぎるだろ!!!!!説明すらもなかったぞ!!!

 カフェに一番力入っていた気がする。なんなんだあのかわいさは。頬を染めるカフェがあんなにかわいいとか卑怯か?卑怯ってなんだ?(哲学)



■余談(ウマ娘アプリの話)

※注意書き
以下はウマ娘アプリのカフェシナリオおよびタキオンシナリオのネタバレを大いに含みます。











 劇中で無期限休止宣言した時のタキオンの台詞、カフェシナリオでのタキオンの言葉そのまんまだったので非常に興奮しました

 「確定的な未来なんて誰にもわからないのだから
 本当にそうですよ。実際撤回してるわけだし。

 ちなみにカフェシナリオにおけるタキオンはカフェに対してアドバイザー的な立ち位置でプランBを遂行しようとします。カフェに対して甲斐甲斐しくあれこれやるタキオンが結構新鮮で……



 でも"可能性の果て"に本当に到達しかけるカフェを見て、雄叫びと共に発狂するんですよ。なんで私じゃないんだ!!と。本能には抗えず、最終的には自分自身の脚で走る!と電撃復帰するわけです。
 マジで劇場版です。むしろこっちの方が強火かもしれない。


 結局ね、タキオンは自分が持つウマ娘としての本能に対して、論理的・合理的に抑えつけているんですよ。
 つまり自分自身に対して嘘を言い聞かせているんですよ。おまえの脚はもたない、だから無理だとという尤もな理由で自分の本当の気持ちを誤魔化しているんです。
 でもタキオンが追い求めていた"可能性の果て"にいざ他者が到達しそうになると……その言い聞かせていた嘘を自覚するわけです。「違う、本当は私自身がその領域に辿り着きたいんだ!!!」と本性が露わになるんですよ。


 ……ちなみに、アグネスタキオン自身の育成ストーリーでも勿論、自分自身が"可能性の果て"に到達するプランA、他者に"可能性の果て"に至らせるプランBを同時に並行して探っています。
 そんな中でトレーナーと出会うわけですが、担当契約を果たしてもなおタキオンは本意をトレーナーに話すことはありません。一周目の中盤はマジでアプリ内のトレーナーと同じくタキオンに引っ張りまわされます。
 しかし二周目以降ではここの真意が良く伝わる、とてもいい作りだと思います。

Report『不確定な約束』より

 当初のプランであった、自分自身の脚で"可能性の果て"へと辿り着くプランAを進める最中でプランAか、プランBかを選ぶ時が来ます。そこでタキオンはプランBを選択することにしました。

Report『志』より

 しかし……ウマ娘の限界という"可能性の果て"に狂わされたタキオン
 そんなタキオンの走りに狂わされたトレーナー
 この二人が出会い、「俺も、一緒に"果て"を見たい」という狂った色の瞳をしたトレーナーにタキオンもまた狂わされ……プランBという選択肢を諦めさせられて己の脚で"可能性の果て"に至るプランAを遂行することを決めるのです。

Report『進路変更』より

 この先のタキオンのReport『告白』(文字通り!)はここでは貼らないでおきます。

そうなんですよ、ウマ娘アプリではこのタキオンに秘めている可能性を余すことなく見れるんですよ!!!!!!!
 劇中では一切語らなかった事を、タキオンはトレーナーでありモルモットでもあるプレイヤーには全て『告白』して語ってくれるんですよ!!!!!!!
 し、か、も!このタキオンはなんと★1で始めたばかりでも育成できます!!!!!!!!!ストーリーは★5級!!!!!!!!!!!是非やりましょう!!!!!!!!!


 トレーナーやポッケと出会わなかった世界線であったらプランBを選択して他者に"可能性の果て"という夢を託した結果、取り返しのつかない後悔をすることになるんでしょうね。
 プランAを選択する世界線があったとしても、そのガラスの脚は途中で砕けてしまう事でしょう。

 ……他者の力がなければ自分自身の走りたいという本当の気持ちに気づけないし、走ったとしても"可能性の果て"にたどり着くことはない。
 タキオン、あまりにも良すぎないか? モルモットになってまう。いや、もうなってたわ。なんら問題なかった。



■あとがき

 言いたい事は大体書き切れたと思います。
 ここまで読んでいただきありがとうございました。

 ……2周目行ってきます!どこかで!


 …………3周目いってきます!!!!


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