「金色の道標」:連作自由詩(屋上のアネモネ)
『もしもしいいえ
相談事はもう済みました
誰かの悩みを聞く側に
私もなりたい
そう思って電話しました』
死に場所を探し求めていた時
この生垣は白黒の壁に見えた
でも今はレンギョウの黄花が
私に歩むべき道を示している
簡単なことだったのだ
何故か屋上にアネモネと
珈琲を持って現れた人に
苦しい日々に追い打ちを
かけた失恋を打ち明けてから
相手の悩みも聞いてあげた
ただそれだけのことで
負の願望がしぼんだのだ
そして一階のコンビニで
いのちの電話のカードを
見つけて帰路につき
金色の生垣に沿う春風に
背を押される様に私は
通話ボタンを押した
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