僕のポケモンは友人界隈の対戦環境を変えた

あの頃友達と遊んだ数々のゲーム以上に面白いゲームを私は知らない。

20代半ばの私たちの世代にとって、「ポケットモンスター」というゲームは誰しもが遊んだであろうゲームであり、多くの小中学生が夢中になったゲームであろう。
例外なく私の友人界隈でもポケモンは流行し、(赤緑リメイクからと少し遅かったが)私も例外なくポケモンを楽しんでいた。

ポケモンというゲームはストーリーを楽しむゲームであり、ポケモンを育成するゲームでもあり、そして対戦ゲームでもある。
そのため、友人とポケモンを一緒に楽しむとなると勿論、お互いが育てたポケモンで対戦することになる。

私たちはまだ小中学生であった。
その当時は、ゲームの攻略情報源がインターネットではなく、攻略本や「広技苑」といった紙の媒体が主であった。
そのために、公式のルールや育成論などが出回っていない友人との対戦環境。
そこに出てくるのは所謂「禁止伝説級」と言われる、反則級の能力や技を持ったポケモンばかりであった。
(たまに、改造ツール(プロアクションリプレイ)を使って不正に強化されたポケモンを使う者も居た)
そして、それらのポケモンをとりあえず最大レベルまで育てて、強力な技を使う、大味な対戦であった。
勿論、努力値や個体値といった隠しパラメータなんか誰も気にしていなかった(最近のポケモンでは可視化されているらしい)。

そんな中で当時の私は、伝説ポケモンを捕まえてもレベル上げを行うことが面倒だったために、レベルが十分でないまま友人との対戦に臨み、連敗を重ねていた。
負けが続くと、次第に友人と遊んでいても面白くないし、楽しさ以上に悔しさが大きくなっていった。

そんなある日、8歳前後からインターネットに触れていた私は、どういった経緯で辿り着いたかはもう覚えていないが、ポケモンの攻略情報を纏めたサイトを発見した。
そこには、友人の間で誰も知らなかったような、強いポケモンの育て方や戦術、育成論が載っていた。

私のポケモンを行動不能にする技を使ってくるポケモンに対して相手のポケモンよりも早く行動するポケモンを用意。
禁止伝説級と呼ばれるポケモンでなくても、適切に育成する事でそれらのポケモン以上に高い攻撃力になる。
一匹のポケモンだけで勝てないなら、二匹三匹それ以上の力を合わせる。

とりあえず、手に入れた情報を信じて普通の強さのポケモンを育成し、禁止伝説級を使う友人と対戦してみた。

あっさりと勝てた。

そこから私の連勝が始まった。
最初は偶然だと友人には思われていたが、次第に何かおかしい、改造ツールを使っているのか?疑われるようになった。
そこで私は、攻略サイトで得た情報を友人たちに教えた。

それ以来、友人との対戦で禁止伝説級のポケモンは出てこなくなった。


このように、昔ゲームで一緒に楽しんだ話を、先日地元の友達と話した。
友人と話していて改めて実感したのが、あの頃はゲームに対して未知の情報が多かったこと。
だからこそ、誰かが偶然見つけた裏技やテクニックが、友人コミュニティー内で広まりやすく、そうした情報が貴重であったし、ゲームへの興味を掻き立てられた。

一方で今は、インターネットでこうした攻略情報を集めるのが当たり前であり、簡単に一番効率の良いゲームのプレイ方法が手に入るようになった。
しかし、これではつまらないのだ。
今思えば、「最強のポケモン」や「最強の育成理論」を求めて友人たちと試行錯誤していたあの過程が、ゲームを面白くしていたのだろう。
こうした要素が今のプレイ環境に欠けていることが、近年ゲームを昔ほど楽しめていない原因なのだろう。

そして何より、友人とワイワイ楽しんでやるゲームが一番楽しかったし、そうやって遊んだゲームへの思い入れは深くなっていくのだ。

だからこそ、あの頃遊んだゲーム以上に夢中になれるゲームは無いのだろう。

ゲーム仲間が欲しいと最近、切に願う。

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