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妻の不時着・妻と一緒だと飛行機にまつわる災難に巻き込まれる話【前編】

うちの妻は飛行機が苦手です。その理由は乗り物酔いするからです。どれくらい苦手かというと、国内移動は全て新幹線で済ます程でした(新幹線なら酔わないかというとそうではありません。乗り物という乗り物全てに酔います。)。実際に一緒に乗ってみるとどうやら単に乗り物酔いするだけというよりも、逃げ場がないという恐怖を感じているようです。閉所恐怖症に近い症状かもしれません。

【通常フライト編】初の長距離フライト

日本からトルクメニスタンへ始めて行くときは地獄でした(これがほんとの地獄の門か)。特に成田ーイスタンブール間(12時間)は妻にとって初の長距離フライトということもあって飛行機に乗る数時間前から緊張していました。酔い止めを飲み、音楽を流し、念仏を唱えるように固まって飛行機に乗る。彼女の最強防御です。もちろん一睡もできるはずもなく、その体制で食事もとらず、外界からのすべてをシャットダウンしてじっと耐えていました。一方私は、移動中ずっと寝ていられる体質で、イスタンブールからダマスカスまでバスで32時間移動しても大丈夫な奴なのですが、隣に念仏地蔵がいるのにのんきに寝るわけにもいかず、こまごまと甲斐甲斐しく世話をしていると、フライトが始まって5-6時間たったころには少し会話もできるようになってきて、くいっぱぐれた機内食の代わりにブラウニーを少しかじることが出来ました。

何も起こらないフライトでこんな感じですが、そんな妻は数えるほどしかフライト経験がないにも関わらず、乗り物に乗ると必ず災難を引き起こしてしまう不幸な星の下に生まれてきてしまったようなのです。

【ケース1】後ろの若者たちが大騒ぎ

アシガバットからイスタンブールに移動する際に、飛行機が10代から20代の若いトルクメン人で埋め尽くされていることがありました。どうやら話を聞いていると、ジャカルタで行われる武道か何かの国際大会に参加するために、選手たちが経由地としてイスタンブールに向かっているところだったようです。私たちの後ろにも若い男女が座っていました。飛行機が初めてだったのか、異様な興奮状態で、インドネシアに向かっていると聞いたからか、彼らがオランウータンに見えました。一方妻はというと、いつもの地蔵状態。一切の雑念を捨て、防御態勢に入っていました。妻から私に注意するよう訴えがありましたが、まだ様子をうかがっていたのですが、しばらくすると騒ぐだけでは我慢できなくなったのか、どんどん後ろから席を蹴り上げるようになったそうです(私の席ではなく妻の席だけ)。耐えられなかった妻は日本語で真後ろの女子を叱っていました。普段はおとなしく、他人様に物申すなんてできない性格です。女子はすぐさま私じゃないと隣の男を売りました。それは無理があるぞ、女子よ。その後はさすがにおとなしくしていたようです。

【ケース2】私と席が離れてしまう

やっと私と一緒のフライトに慣れてきたころ、トルクメニスタンから日本までシベリア空港とJALの共同運航便で一時帰国することがありました。フライトはその時の最も安いものにする必要があり、自分で選ぶことが出来ませんでした。事件はモスクワで起きます。なんと、チェックインが始まってすぐチェックインをしたにも関わらず、隣通しの席がなく、前後の席になるというのです。そんなことがあるはずがないと思いましたが、どうやらJALの方で購入している人はとんでもない額を払って事前指定席を購入しているようでした(私たちはシベリア航空で購入しています)。それを聞いた妻は絶望。帰れないと言い出します。(私としては内心前後なんだから頑張ってくれよと思いましたが、人間誰しも苦手なことはあるものですし、私が連れてきている手前強いことは言えません。)アシガバットならまだしも、モスクワで言われてももう遅いので、私としては何としても飛行機に乗せる必要がありました。病気だからとチェックインカウンターのお姉さんを説得しようと試みましたが、どうにもならず、飛行機に乗ってから席の移動をお願いするという条件で飛行機に乗せました。実際に乗ってみると、不運なことに周りは家族ばかりで変わってくれる人が見つかりません。後ろの席から声援を送りながらなんとかフライト。隣のおばあちゃんが優しく気遣ってくれたようで、結果的には何とかなりました。ありがとうおばあちゃん。

【ケース3】帰りの飛行機がなくなる

トルクメニスタンからイギリスへ観光に行ったときの帰りの便がなくなってしまいました。便どころか、航空会社の全ての便が飛べなくなってしまいました。これについての顛末は依然書きましたので、こちらをお読みください。

思ったより長くなってしまったので、【後編】へ続きます。ここまではまだ序の口で、これからどんどん可哀そうな事故に巻き込まれていきます。