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フリーランス1年目の反省会

去年フリーランス(半無職)になると決めた頃、こんな記事を書いた。

なんとかフリーランスとして1年ちょっと生き延びたので、「ここを反省会とする!」という勢いで振り返ってみたい。
なお、「未経験からフリーランスのITエンジニアになって年収1000万円!」を期待する人は、今すぐTwitterで「#駆け出しエンジニアと繋がりたい」とツイートして、DM送ってきた人が紹介するブログを読むと養ぶ……幸せになれます。

1.起業の準備は超大事

独立直後は準備や仕事探しに手間取って、数ヶ月収入が無い場合もある(とどこかで読んだ)。
幸い自分はTwitterやITmediaの記事などで認知されており、すぐに仕事も見つかったので、独立直後の無収入は避けられた。
人気ライターであるヨッピーさんの書籍「明日クビになっても大丈夫!」では「Twitterのフォロワーが3万人いれば独立して生活できる」とあったが、フォロワー1万人(当時)でも、なんとかなるらしい。
やはり「独立後に仕事のツテがあるか?」は重要である。
「俺が独立したら向こうから仕事が来るぞ」と思ってたら、「仕事が来たのは会社の看板と肩書のおかげでした」という2コマ漫画みたいな展開は避けたい。
労働環境という面では会社がなくなるので、仕事場、PC、通信環境など揃える必要があるが、自分が買ったのはノートPぐらいである。
これがデザイナーやクリエイターになると、ソフトウェアも自腹になるので、初期投資もかさむだろう。
なお、「エンジニア(デザイナー・クリエイター)だから、WindowsもOfficeもいらねーよ」と言っても、DX推進企業を自称する取引先から容赦なくExcel方眼紙が送られたり、Word謹製の申請書に記入を迫られるので、とりあえずWindowsとofficeがあれば相手の心象が良くなる(互換ソフトだとトラブルもあるので)。
仕事用のスマホも自前で買ったが、電話してくる人はほぼいないし、留守電を確認したら「ツタヤ〇〇店ですが、マリオカートの予約について……」と間違い電話が来たネタぐらいしかない。
ともあれフリーランスとして独立するのは、想像以上に手間と時間がかかるのである。

2.ややこしい手続きは超大事

「フリーランスになりたければ名刺を作れば良い」と冗談めかして言われるが、実際には名刺を作るだけではダメなのだ。
税務署への個人事業主届けはもちろん、役所に出向いて健康保険と年金の切り替え手続きも必須となる。
健康保険は個人の国民健康保険と、会社の社会保険を継続するかで保険料も変わるので注意したい。
さらに個人事業主として銀行口座を開設し、仕事用のクレジットカードを契約して、仕事の関する入金や支払いを一括管理できるようにしておく。
アレコレ言われるハンコだが、コロナと関係なしに契約締結などで出番は多いので、仕事用に作っておこう。
そして経理も自分でやらなければならない。
弊社では五反田の会計ソフトを導入して、入金をチェックしながら、経費精算しつつ、見積書と注文書と請求書を発行して、家賃や通信費の按分しながら、来たるべき災厄(確定申告)に備えた。
どれだけ面倒でも、確定申告をやらないと後々に痛い目を見るのだ(フラグ)。
そして国民年金は将来の年金受給額が少ないため、iDeCoやNISAやふるさと納税などによる節税対策&資産運用も必要になってくる。
ちなみにこれらの作業が面倒なら、税理士にお願いするのもアリだ。
苦手な作業は金を払って他人に任せて、自分は得意なことに集中して稼げば良い(←コレ大事)。
フリーランスとして大事なのは、自分が得意な分野にリソースをつぎ込んで、そこで最大限に稼ぐことなのだから。

2.営業活動は超大事

弊社はSNSで華々しく成功体験を語る年収1000万円オーバーの凄腕フリーランスITエンジニアではなく、イキリデータサイエンティストという肩書のおしゃべりコンサルおじさんである。
より正確に言えば、開発業務以外はそこそこできる中途半端おじさんでもある(だからクビになるわけで)。
SNSでよく見る凄腕ITエンジニア(ただし実績は非公開)は、「人月単価100万なんかゴミでしょ」とか「エージェントに登録しないと仕事がないとか無能すぎwww」と言ってる(気がする)が、地道な営業活動と細かい仕事の受注はとても大事だ。
自分は凄腕エンジニアではないので、寝てても来るとオファー言えば「占い師Youtuberの動画にゲスト出演(なぜ自分が?)」とか、「我社の上司を説得するために〇〇をテーマに社内で講演してください。ノーギャラで!(お前が手抜きしたいだけじゃねーか)」というのが現実だ。
そこで自分から仕事を取りに行くわけだが、考えなしにTwitterのDMや会社の問い合わせフォーム経由で「何でもできます!」とコピペ文章を送りつけるのは営業ではないし、むしろ心象が激落ち君である。
仕事につながりそうな相手を選び、自分の話を聞くメリットと思わせる提案が必要になる。
そして提案先を探すためには顔と名前を売る必要があり、アウトプットや知名度向上の施策は継続的に行なければならない。
相手と知り合い、相互理解を深め、ニーズを確認し、仕事を作って、実績を出して、翌々月の末日に入金確認するまでを「営業活動」と呼ぶのである。
IT業界にいるくせにプログラミング能力がミジンコ以下のワイが生き残るには、相応の苦労がつきまとうのだ。
もしもITエンジニアであれば、エージェントや知り合い経由で人月単価もそこそこ良い案件が向こうから来るだろうが、自分を高く売るために営業活動するのも悪くない。
営業の一環として、TwitterだけでなくFacebook(ワイはアカウント消されたが)、Youtube(動画スキルがないが)、Instagram(写真撮らないが)、ブログ(noteサボりがちだが)、イベント登壇(コロナで減ったが)など、自分から露出を増やすのもアリだ。
ただし、対外的なイメージも考慮して発信内容には注意を払うべきだろう(弊社も独立を機にTwitterの運営方針が刷新された)。
IT業界も狭い世界なので、評判や口コミは大事なのだ。
「マスクドアナライズ」という名前だけが独り歩きして「あいつイキってるだけで全然仕事できねーな。だからクビになったんだよ」と言われないように頑張るしかない。
コネや人脈はダメな意味で意識高い系がよく使うワードだが、独立すると重要性を実感する次第である。

3.健康管理は超大事

フリーランスとは「一人社長」「一人営業」「一人エンジニア」であり、自分で仕事ができなければ1円も稼げない。
もしも病気になれば稼げないどころか医療費もかかるし、取り込み中の仕事に穴を空ければ、機会損失や信用問題にもつながってくる。
そうでなくとも、座りっぱなしで腰痛になれば接骨院に行き、ストレス解消に甘いものを食って歯医者に行き、お付き合いで飲み会に参加すれば肝機能が低下して、健康のステータスは放っておくとどこまでも低下する。
しかも突発的な怪我や病気はつきもので、ワイも年始にインフルエンザにかかって3日間寝込んだ(多分1.4東京ドームで感染した)。 
そして会社員は病気で休職しても1年半は給料の6割がもらえる(気がするが詳しくは各自で調べよう)が、フリーランスにはそんな保障も手当もない。
対策は寝てても稼げる仕組みを作るか、寝てても生活できる貯金をするか、病気にならないように健康管理を気をつけるかの3択と見せかけて、実質1択である。
そんなわけで、定期的に運動したり、スポーツジムに通ったり(契約するだけではダメだ)、毎日の食事に気をつけたり、姿勢を良くするために机や椅子を新調しよう。
PCに金をかけるのも良いが、健康に投資するのも長く良い仕事を続けるために重要である。
会社員なら毎年会社負担で健康診断があるが、フリーランスではそっちも自己責任だ。
自治体によって無料の医療検診や人間ドッグの補助金などがあるので、有効活用すべきである。
あと、エナジードリンクは砂糖とカフェインがマシマシなので、さっさとやめよう。

4.金儲けは超大事

フリーランスになると「いかに金を稼ぐか?」が大事だとわかる。
単純な金額の話ではなく、どうやって稼ぐか?いつまでに稼ぐか?誰を相手に稼ぐか?いくらまで稼ぐか?などあるが、これには正解がない。
金儲けの目的と方法とターゲットが悪魔合体した結果、SNS・プログラミングスクール・オンラインサロン・有料note・駆け出しエンジニアのワードが絡むと、怪しい情弱向けビジネスが蔓延している。
SNSで暴言暴論を飛ばして集めたヘイトを換金する炎上の錬金術師や、偏ったファン・信者・取り巻きから小銭をせしめる新興宗教スタイルまで様々だが、元芸人Youtuberの劣化コピーで稼ぐ自由があるのもフリーランスの特権だ。
もちろん技術力があるならそれに越したことはないので、フツーに開発案件で仕事をすれば良いのだが。
とはいえ労力に対して割りに合わない仕事を受けるべきか、ギャラ交渉をどうするか、成果物の権利など交渉も必要になってくる。
ブランディングや次の仕事を狙って敢えて格安仕事を請けるなどの立ち回りも難しいので、そこは経験値でつかむしかない。
もっともIT業界はTwitter漫画で見かける代金未払いなどの問題は少ないので、平和である。
ただ、案件を見極める能力がとてつもなく重要なので、「金は貰ったが過労で廃人寸前」というオチにならないでほしい。
ついでに法律やモラルやコンプライアンスやセキュリティがガバガバな会社&担当者もあるので、そこらへんで貰い事故を食らわないようにしたい。
こうして独立して自分で金儲けについて考えると、「資本主義とは法律のスキマを突いてバカを騙して巻き上げた札束で殴り合うゲーム」だとよくわかる。
なお、自分は記事や書籍の執筆、イベント登壇、各種業務支援などの小商いに従事している。
そこらへん金と仕事の話は長くなるので、別の機会に。

5.セルフコントロールは超大事

フリーランスになって実感するのは、会社のありがたみである。職場環境に文句をつけるやつは多いが、それが嫌なら自分で仕事場を用意するしかない。
こうした職場事情は、コロナで自宅環境を整備して色々思うことがあった人もいるだろう。
会社員の頃は、書類を送るためにネットプリントに登録してコンビニで印刷して、ついでに封筒とクリアファイルを買っておく必要もなかった。
重要なのは仕事をしやすい環境作りが重要であり、それを当たり前に提供していた会社とは、なにげに手間やコストを負担していたのである。
また、会社から離れても取引先や同業他社などの人付き合いは欠かせないし、時にはナメたクライアントとのおバトルもあるだろう。
収入も不安定になるので、生活費やお金の使い方や投資と貯金の計画などで心が乱れることもある。
わからないことがあっても周囲にすぐ聞ける人がいないし、自分で調べて理解しなければ、「わかってないヤツ」としていいように使われてしまう。
このように自分で集中して仕事ができる状態に持っていくことが肝要なので、上司の目がないとサボったり、目標やルールがないと怠けてしまう人にはフリーランスに向かないのだ(自戒を含む)。 

6.コロナの影響が超ヤバイ

今年春は決まっていた仕事と、決まりかけていた仕事と、進めていた仕事が軒並みキャンセルになった。
夏になると、コロナ対策とテレワークへの移行と緊急事態宣言で、外部へのコンタクトも自粛するようになった。
平たく言えば収入がヤバくなり、毎月決まった給料が振り込まれる会社員のありがたみと、どんな状況下でも毎月給料を払う社長の資金繰りに心を痛めた次第である。
危機においては準備が役立つわけで、まずは貯金があったので数ヶ月は生き延びたし、その後は給付金などもあった。
売上も会計ソフトで毎月管理して確定申告も済ませていたので、問題なく受け取れた。
他にも自治体などで支援もあるので、面倒がらずに調べて手続きをして、税金の元を取ろう。
勇気とコミュ力を振り絞って、役所の人に電話か窓口で聞けば、丁寧に教えてくれる(向こうも大変なので迷惑かけない程度に)。
反省点としてはコロナ前からもっと積極的に営業しておくべきだった。
IT業界全体がテレワークとウェビナーに移行した結果、リアルで新しいコネや人脈を作るコストが跳ね上がったのである。
リアルのイベント登壇や講演が無くなるのは収入が減少するだけでなく、知り合って次の仕事につなげる機会も0になった。
そうなればSNSやYoutubeやWebサイト経由のつながりや、自分でウェビナーを主催して人を集めるなどの方法があるが、一人でやるのも難儀である。
さらに対面で話せば相手のニーズや温度感もその場でわかるので、後日案件につなげやすいが、オンラインではそこがわからないのが厳しい。
まさかの急転直下の情勢変化だが、楽して金が振り込まれる地主の子供に生まれなかったのを呪うヒマがあれば、やるべきことを考えて実行するしかないのだ。

【まとめ】フリーランスになって良かった?

別に会社員が嫌なわけでもなく、クビになったからフリーランスとして独立したわけで、良いとも悪いとも言えない。
前職は会社も事業も社長も好きだったので、クビにはされた恨みは"そんなに"ない(IT業界ではよくあることだ)。
もっとも、会社は"自称"AIベンチャーとしてブームと勢いに乗って規模を一気に拡大したものの、アレな社員も増えてトラブルが勃発し、仲の良かった人が辞めて嫌いなヤツだけ残ったので、前職からのお付き合いは限定的であり、今は社長ぐらいしか連絡が取れない。
そんな社長に近況を聞いたら、豪華なオフィスは解約し、他の社員もクビにし、残ったエンジニアも転職していたので、自分がクビにならずとも会社が存続していたかわからない。
とはいえフリーランスと独立するにあたって、何のバックエンドもなければ、今頃はクラウドソーシングで1文字0.1円でネトウヨ向け記事を書いたり、Youtubeにアップするまとめサイトの動画を作って日銭を稼いでいるだろう。
マスクドアナライズとしてTwitterのフォロワー1万人いて、実績と知名度があったから、いきなり独立しても何とかなったわけで、考えなしの退職と独立だったら即死コンボだったもしれない。
そして明確な目標があって独立したわけではないので、今後は小銭稼ぎ以外に何やりたいかを明確にすべきだと感じている。
フリーランス2年目の抱負を考えたことはないが、強いて挙げればそれかもしれない。

1年前にnoteでこう書いた。

もっとも「フリーランス」を名乗ったところで実態は半無職であり、1年後には完全無職かもしれません。まずは目の前の仕事を全力で取り組む所存です。

コロナの影響で色々やばかったが、なんとか1年ちょっとフリーランスでやっていけた。
とはいえ来年がどうなるかわからないので、全力でお仕事お待ちしております!

https://drive.google.com/file/d/1wP9CsXaXQMsl3B1b2Xswmo_s58zLBqPN/view?usp=sharing


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