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傲慢さと善良さが矛盾なく同じ人に存在してしまう不思議な時代 『傲慢と善良』辻村深月

あらすじはAmazonから引用。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。生きていく痛みと苦しさ。その先にあるはずの幸せ──。2018年本屋大賞『かがみの孤城』の著者が贈る、圧倒的な恋愛小説。


総評としては大恋愛のストーリーで、最後には涙を流しました。

そして、色々と考えさせるシーンが多かったです。
その中でも結婚相談所の方の言葉が残っています。

【現代の日本は、目に見える身分差別はもうないですけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて、"自分がない"ということになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう、不思議な時代なのだと思います。】

なんだかこの部分は真実のことを言っているのに自分のことのように、心が痛かったです。
確かに、「出る杭は打たれる」という文化の日本ではこういうことは当たり前になってしまっていると思います。
何が正しくて、何がいけないのか、ということは自分の意思で決めていかないといけないですよね...。

真実を自分に重ねてしまう人が多いだろうと思って感想を調べてみたところ、そういうわけではなくて驚きました。
むしろ、真実に対して「こういう子イライラする」という否定的なものが多い印象でした。

自分はどちらかというと真実の考え方に似ていて、知らない間に人を苛立たせているのかもしれないと思ったので、自分の意見ははっきりと言おうと決める良いきっかけとなりました。

同じ著者様の作品である『かがみの孤城』以来、小説を読んだかもしれないです。
最近本を読み続けられているのは、辻村先生のおかげと言っても過言ではないかもしれないです。


キスブサで藤ヶ谷くんが紹介していて気になった作品です。
なので検索をすると、やっぱりキスマイファンの方が多くて少しほっこり。

ぜひ気になった方は読んでみてください📖



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