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英国ましロードを作るたび 第3章~Dublinからマンチェスターへの旅

1 はじめに


『英国ましロードを作る旅』、第3章へようこそ。たくさんのトラベルとトラブルを乗り越えて、いよいよ旅も折り返し地点。今回は、ダブリンからウェールズを経由して、イングランド有数の大きな街、マンチェスターへ向かうまでの旅について書く。マンチェスターにたどり着けば、2日ほど滞在することになるので旅もだいぶ落ち着くことになる。散々だった昨日に匹敵する大移動。本当にたどり着けるのだろうか。


旅の行程

2 ダブリンからホリーヘッドへ


朝5時半。眠い目をこすってこんな時間に起きたのにはわけがある。昨日の反省を生かして、余裕を持って港にたどり着くためだ。


昨日と違い、ダブリンの港はホテルから車で15分ほどのところにあるようなので、そんなに急ぐ必要はない。とはいえ何が起きるか分らないので、6時過ぎにはホテルを出発することに。部屋からフロントまで案外遠くて、何回も迷ってしまったが、なんとか到着してタクシーを呼んでもらった。


7時15分。出航の1時間前に港に到着したので今回はかなり優秀だ。昨日と同じように、バスでフェリーの止まっている橋まで移動して乗船した。まだかなり朝は早かったが、日はかなり高く昇っていて、乗船する人も多かった。これからイングランドへ渡るのだろうか。


ダブリンからホリーヘッドまでのフェリー

今回乗るフェリーは、アイルランドの首都ダブリンから、北ウェールズの港町、ホリーヘッドまで3時間35分で結ぶ便で、実はダブリンからイングランドに飛行機以外で移動する時にはとても便利なフェリーだ。特に通る予定のなかったウェールズにも入れるとあって、真しろとしてはワクワクだ。フェリーのウェブサイトはこちら。


https://www.stenaline.co.uk/routes/holyhead-dublin


昨日とは違ってリラックスした気分でカフェの側の席に座り、コーヒーとスナックを頼んでゆったりと過ごすことにした。やはり船は、発着時を除いてほとんど揺れることがなく、ゆっくりと海を渡っていく。


今回のフェリーではお土産も売っているようなので、今日からマンチェスターで落ち合う知人のご家族のために買っていくことにした。ウィスキーやお菓子なども売っていたが、すでに荷物がかなりたくさんあったので、アイルランドの羊のぬいぐるみを購入した。それ以外の時間は本などを読んで過ごした。昨日のように、海上でスマホをおとすわけにはいかないので、スマホは極力使わずに過ごした。


時刻は11時50分。フェリーは北ウェールズの港、ホリーヘッドへ到着した。真しろは、スタッフの方に案内されてバスに乗車して、すぐ隣にある電車の駅へ向かう。そのため、ウェールズの町中を歩くことはほとんどなかったが、電車の中でその雰囲気を味わうことになろうとは、このときは予想していなかった。


3 チェスター、リバプールを経由してマンチェスターへの鉄道旅


まず真しろが乗車するのは、チェスターを経由してカーディフへ向かう電車だ。真しろはリバプールへ向かいたかったので、チェスターで降りる必要があった。


ホリーヘッドからリバプールへの電車

このチェスターへ向かう電車が、今回の鉄道旅の中で最も興奮させられた電車だ。日本にもまだいくつか残っているディーゼルの電車で、いくつもトンネルや鉄橋を越えるからだ。真しろが電車に乗っていて最も興奮するのは、やはりこのようなトンネルや鉄橋を越える瞬間だ。トンネルと鉄橋が好きだからというだけでなく、やはり音の変化が多く、車窓を楽しめない真しろのような立場からすると楽しさを感じられるポイントの1つだからだ。また、途中では汽笛の音も聞こえて、昔ながらの電車という印象も受ける。窓も少し開いていて、初夏の週末の風が心地良かった。チェスターまでは2時間近くかかるのだが、真しろにとってはあっという間だった。


鉄橋

チェスターはもうイングランドだ。この街からも直接マンチェスターに行く電車が通っているのだが、今回はリバプールを経由して迂回することにしていた。なぜなら、リバプールからマンチェスターにかけてが、鉄道の発祥地と言われているからだ。


ちなみに余談だが、チェスターとかマンチェスターとか似たような名前が多いと思われている方のために軽く豆知識。この、「○○チェスター」とは、ラテン語の「カストーラ」という言葉に由来していて、「お城」という意味がある。英国や北米にはこのような名前の都市が多いが、元々大きなお城があった歴史的な街と思っていただければ良いだろう。日本で言う、「○○寺」という駅と同じだ。


チェスターからリバプールまでの電車も、またまた興奮させられる要素があった。この電車は、なんとウェールズ語と英語のバイリンガル放送が付いていた。おかげで、ウェールズ語の案内も聞くことができ、ウェールズはほとんど歩いていないのに、ウェールズに行った気分になった。それだけ、この辺りのイングランドの街はウェールズとの結びつきが強く、ウェールズの人たちがウェールズ語を守ろうとしている意識が伝わってくる。日本でも最近、北海道の電車でアイヌ語が使われるようになったようだが、この意識に似ているのだろうか。


そんなことを考えている内に、鉄道発祥の地であり、ジョンレノンの街としても有名なリバプールに到着。ここからマンチェスターへ向かう。



真しろが乗車したのは、マンチェスター空港へ向かう電車だが、真しろが降りるのはマンチェスターピカデリー駅。約1時間の旅だ。この区間は鉄道発祥の地ではあるものの、先ほどのようなディーゼル車ではなく、もっと新しい車両が使われていた。1つ1つの駅間はだいぶ短く、その点は昔ながらの歴史を感じさせる。気づけばマンチェスターの町中に入っていた。時刻はすでに17時。北ウェールズから4時間半でここまで来たことになる。


実はこのルートは、元々の旅程では想定していなかったところで、リバプールからマンチェスターの区間だけは絶対に乗ろうと思っていた。しかし、ホリーヘッドからチェスター、そしてそこからリバプールという2路線が大変興味深く、選んでよかったルートになった。


4 マンチェスターで知人と合流


マンチェスターピカデリー駅

マンチェスターピカデリー駅は、今回の旅で使った駅の中でもかなり大きな駅に入る駅で、改札はかなり広々としていた。そのため、知人と会うのに時間がかかってしまったが、なんとか無事に合流。ここで一旦、一人旅は終了となり、知人とホテルへ向かった。チェックインを済ませて夕食へ。マンチェスター料理は特にないようなので、今回はアジア料理を久しぶりに食べることになった。マンチェスターの土曜の夜は大変賑やかで、さすが大都会という印象を与えてくれる。今日通ったホリーヘッドやチェスターはどちらかというと静かな街という印象だったので非常に面白い。相変わらず日は高く昇っている。ゆっくり夕食を食べて、21時にはホテルへ戻った。


5 おわりに


この日は大きなトラブルもなく、鉄道旅も満喫することのできた良い土曜日となった。特に、アイルランド、ウェールズ、イングランドで、全く街の雰囲気や社内の様子が違うのは興味深いことで、日本では、「イギリス」としか理解されていないこの地域にもたくさんの国の文化があることを知らせてくれる。


知人とも合流できて、これで一人旅のパートはいったん終了となる。次回はいよいよ最終章。知人とのマンチェスターでの思い出について記す。


それでは今日はこの辺で。Have a nice day!

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