見出し画像

英国ましロードを作るたび、後書き~一人ではない一人旅を追えて

1 はじめに


『英国ましロードを作るたび』、後書きへようこそ。旅が終わり、数日が経ったイングランド東部からこれを執筆している。数日経ったはずなのに、まだ旅ロスは直っておらず、予想以上に疲れも抜けていないようだが、筆だけは進んでいる。


今回は、この無謀で挑戦的でトラブル続きで思い出に残った旅について振り返っていきたい。最後にはお役立ち情報も載せてあるのでお楽しみに。


2 「英国ましロードを作るたび」、総集編


「英国ましロードを作るたび」は、2023年5月24日の夜、イングランド東部の街、コルチェスターから始まった。まずは軽い足取りでロンドンへ向かい、Caledonian Sleeperでスコットランド第1の都市、グラスゴーへ向かった。1番安い車両でベッドはなかったが、ゆっくりとした鉄旅を楽しめた。


5月25日、8時45分。グラスゴーへ到着するとオプショナルツアーに参加。ツアーで一緒になったご夫婦のおかげで楽しむことができた。ローモンド湖、小さな村、スターリング城を訪れ、スコットランドを感じるツアーになった。夜はグラスゴーに戻り、街を彷徨いながらもスコットランド料理とウィスキーを楽しんだ。


5月26日。この日はトラブル続き。のんびり起きてフェリーの出航する港の場所を調べると3時間かかることが判明。タクシーを使えば間に合うようなので、ホテルの方にも協力していただき、朝食を急いで食べてタクシーへ乗り込む。

しかし、チェックインの時間を加味していなかったので間に合わない可能性も出てきた。代替手段を考えている間にCairnryanという港に到着。ぎりぎりチェックインに間に合ってフェリーへ乗船。のんびり北アイルランドまでの船旅を楽しめると思いきや、突然海上でスマホがダウン。広々としたフェリーで不安な旅は続く。


ベルファストに到着し、市内電車などを乗り継いで、今度はダブリンまでの長距離列車に乗る。間違って別の日のチケットを買ってしまっていたので購入し直して、なんとか乗車できることに。2時間かけて、18時半ごろには、アイルランドの首都、ダブリンへ到着した。急いでホテルへチェックインし、スマホの回復を最優先。日付が変わるころに全てのトラブルが決着し、気持ちを切り替えて次の日の準備をした。夜ご飯はダブリンで食べられなかったが、かなり無駄な出費がかさんだのでちょうどよかった。


5月27日。この日も大移動。まずは北ウェールズの港、ホリーヘッドに向かうためにフェリーへ乗船。昨日の反省を生かして早めに港に到着することができた。フェリーではスナックやコーヒーをいただいたり、お土産を購入したりした。


ホリーヘッドからは電車でリバプールへ。まずは歴史を感じるディーゼル車でチェスターへ向かう。音の変化が多い路線で、音鉄としては楽しめるポイントだらけ。チェスターから別の電車に乗り換えると、ウェールズ語と英語のバイリンガル放送を聞くことができた。ウェールズにはほとんど足を踏み入れられなかったが、ここでウェールズ語を聞けて大満足。


リバプールからまた別の電車に乗り換えて、今日の最終目的地、マンチェスターへ。いくつもの小さな駅を通り、マンチェスターに到着した。この日はマンチェスターで知人と合流し、楽しい夜を過ごした。


5月28日。午前中はホテルでゆっくり過ごし、午後は知人とマンチェスターの市内観光をして、そのあとは知人のお家でチェスやテレビゲームを楽しんだ。どれもかけがえのない経験になった。


5月29日。いよいよ旅も最後の日になった。マンチェスターピカデリー駅からロンドンを経由して、旅の出発地であるコルチェスターへ無事に帰還。少しあっけなくはあったが、無事にましロードは完結した。


3 旅の反省点


ここで、旅の反省点についてまとめておきたい。英国ではおろか、日本でもほとんど一人旅をしない真しろにとって、今回はかなり反省点の残る旅になった。自分のためにはもちろん、今後このような旅を企画している読者諸氏にとっても参考になれば幸いである。


反省点をあげるときりがないが、今回は、改善点と良かった点を2つずつ書いておく。まずは改善点。

・    余裕を持った旅程を組むべし。今回はほぼ予定通りに旅程を進行できたが、フェリーに乗り遅れる可能性もあったし、加えて英国の鉄道はストライキが日常茶飯事なので、予定が狂ってしまっても大丈夫な組み方をする必要がある。今回は、日本の鉄旅のノリで予定を組んでいて、余裕があるとは言いがたく、英国在住の知人からも、「よく失敗しなかったね。」と半分あきれられてしまった。くれぐれも、これが一般的な英国の鉄旅だとは思わないでいただきたい。

・    ホテルと他の場所の位置関係を調べておくべし。今回、ホテルと港の位置関係を甘く見ていたがゆえに、予定が大きく狂う可能性があった。加えて、ホテルの側にどんなレストランやパブがあるのか、もう少し調べておくことで、スムーズに食事が調達できる可能性もあった。特に、情報を得にくい視覚障害者の旅人などは、この点を意識して、情報のダブルチェックやトリプルチェックを忘れないように。


次に良かった点。


・    チケットは事前購入しておくべし。余裕を持った予定を組む事ともつながるが、チケットを事前に購入しておかないと予定の電車やフェリーに乗れないこともよくある。ホテルの予約も含め、今回は準備に1週間をかけた。情報を整理して、予約の漏れがないようにしていたことで、大きな問題はなく旅行を勧められた。

・    逆算して物事を考えるべし。何かトラブルに巻き込まれて旅の内容を変更しなければいけなくなったとき、大事なのは今何をしたいかではなく、最終的にどこにいたいか、どうなっておきたいか、どうなる必要があるのかを考えることだ。トラブル続きだった26日の例であれば、ダブリンに到着することが最終的な目的だったので、そのためには最悪何を犠牲にすべきかを考えて行動する必要があった。結果的には大出費は免れなかったものの、予定を大きく変更する必要はなかった。しかし、逆算して考えようという冷静さがなければ、焦ってとんちんかんな行動をしていたかもしれない。逆算の考え方は、旅でなくても生かせそうだ。


その他、今回は初めての旅で安全を重視して予定を組んでいたが、今後の旅では、どれだけ安く効率的に回れるかも加味して組めるようになると良いだろう。これには、旅のスキルや情報収集も必要になるので、経験を積む必要もある。いずれにせよ、何の怪我もなく、ほぼ予定通りに旅を終えられたので、最終的な満足度は、80点ぐらいと言って良い。


4 My Best Memories


ではここで簡単に、今回の旅で思い出に残ったことを3つ書いておきたい。


まず、英国の夜行列車に乗れたこと。日本では夜行列車の存在は珍しくなったが、英国にはまだいくつか残っている。今後は他の夜行列車や少しお高めのチケットを予約して、日本の夜行列車と比較したい。


夜行列車に乗り込む真しろ。


次に、グラスゴーのスコットランド料理を食べたこと。英国はご飯がおいしくない、なんてよく言われるけれど、沿岸部で食べる魚貝料理は本当に美味だったし、ウィスキーも飲みやすかった。また、迷いながらもお店に到着できたときは嬉しかった。


グラスゴーでの一人ディナー。


そして最後に、チェスができたこと。旅という要素とは直接結びつかないかもしれないが、ずっとやりたかったことでもあったし、知人とも交流できて、最高の思い出になった。


真しろの初チェスの結果。


今回はこの3つをあげたが、1つ1つの瞬間が、全て甲乙付けがたい思い出になったのは言うまでもない。


5 一人ではない一人旅


一人旅初心者であり、視覚障害者であり、外国人である真しろにとって、今回の旅は決して一人では成し得なかった。駅で乗り換えの介助をしてくださった数え切れないスタッフの皆さん。ホテルでタクシーを呼んでくださったり、お店を調べてくださったり、部屋まで案内してくださったスタッフの皆さん。フェリーの乗船を手伝ってくださったスタッフの皆さん。グラスゴーのツアーを一緒に回ってくださったご夫婦。町中や車内で声をかけてくださったたくさんの地元の皆さん。マンチェスターの案内をしてくださり、一緒にたくさん遊んでくださった知人とそのご家族。そしてなにより、不安に押しつぶされそうになりながら、時には食事や睡眠時間も削って、一人旅を企画し、実行した自分自身にも。たくさんの人たちの存在があったから、英国ましロードを作ることができた。「人は独りでは生きていけない」とはよく言われる。そんなきれい事は聞きたくない、と思っていた頃もあったけれど、やはりこの旅を通して、人生とは1人ではない一人旅なのだと感じた。
本当にありがとうございました!


6 お役立ち情報?


最後に、一人旅の準備段階で真しろが便利だなと感じたサイトやアプリについて紹介しておきたい。旅慣れている方々には既知の情報かもしれないが、ご関心のある方は見ていただきたい。


まず、ホテルの予約はbooking.comが便利だ。音声読み上げでも問題なく動作するので、視覚障害者の真しろもノンストレスだった。下記で紹介する他のサイトとも組み合わせて使えるのも便利なことのひとつ。使ったことのない方は必見。


次に、電車やフェリーのチケット予約について。
予約サイトにはさまざまなものがあるが、真しろが今回多く利用したのが、Omioという予約サイト。ヨーロッパや北米の電車やフェリー、バス、航空チケットを予約できる。アプリもあって日本語表示にもできる。ルート検索しながら妄想旅行も楽しめる。アクセシビリティー的にはサイトよりアプリのほうが便利な印象。詳しくはこちらから。

https://www.omio.co.uk/


そしてフェリーの予約は、ダイレクトフェリーズという予約サイトが便利。世界中のフェリーを簡単に予約できる。日付選択が音声読み上げだと難しいが、いろいろな航路の検索もできて、旅行オタクにはたまらないだろう。
詳しくはこちら。

https://www.directferries.com/


そしてそして、今回真しろは使わなかったが、英国に6ヶ月未満で滞在して鉄道旅を楽しみたい方は、ブリットレールパスというチケットがおすすめ。安価に鉄道旅を楽しむことができる。英国の鉄道旅をしたことがある方にはおなじみかもしれない。詳しくはこちら。


https://rail.cc/ja/britrail-pass


英国でもどこでも、海外で鉄旅をするときは、とりあえず情報収集が大切。たくさんググって、詳しそうな人に聞きまくることが必要だ。とはいえ、真しろの印象として、海外の鉄道旅の記録は、コロナ禍を経てかなり少なくなっているので、是非行ってみた方は経験の共有をすると、新たな旅人たちの道しるべになろう。真しろの後書きがこんなに長くなってしまったのもそのためだ(笑)。


7 おわりに


これで本当に本当に、「英国ましロードを作るたび」の企画も終了となる。修行も残り1ヶ月程となった。最後まで悔いのないように、残された時間を大切に使いたい。そして、この残された時間も一人なようで一人ではないことを忘れないようにしたい。


それでは今日はこの辺で。Thank you for reading! Have a nice day!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?