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JUNK FILM by TOEIを楽しく観る方法vol:02「暴動島根刑務所」

暴動映画(そんなジャンルはないけども)の教科書とも言える傑作です!

1975年中島貞夫監督。何といっても動物的な生命力を発散しまくっている松方さんが素晴らしい。犬同士が交尾しているのを観察してたら思い余って、隣の賀川雪絵さんに挑みかかる流れが・・・。

そして、同じ東映城のプリンスと称された北大路さんも松方さんに比べると若干理知的とはいえ、現代のレベルで考えると相当いっちゃってます。まー城が城なだけに野性味が無いと生き残れないんですね・・・。

脇を固める田中邦衛さんの曲者感たっぷりな演技と直情的、かつ反抗的な最期・・・。偉そうにしてるけど、一皮めくれば・・・のめくれた本体を常にズルムケにしてる織本順吉さん、とその隣でうまく立ち回ろうとしてるんだけど、絶対最後までうまくいかねーんだろうなー感をプンプン漂わせてる江幡高志さん。そのスキルと存在感でシナリオに書かれた文字を見事に肉体化している。脚本家としてはうれしいだろうなー・・・ちなみに本作の脚本は野上龍雄さん。

刑務所→暴動→反権力・・・と、一見左翼的に描くこともできますが、全く説教臭さは無く、単純に男どもの大暴れが楽しく観れるというのがこの映画の素晴らしい所であります。特に観たくはなかったけど、あんなに大量の男のケツが生で写されることもそうないのではないでしょうか。

「妙な晩じゃった。あの晩だけは酒も無かったのに、どいつもこいつも一人残らず酔っ払いのようじゃった・・・」と松方さんがニヤニヤしながら独白するように、集団が暴れる様を背景ごと作りこんで、生命力にあふれる演技を超えた演技を生み出した中島貞夫監督・・・やっぱ凄い!

ひょっとすると東映京都撮影所が多分に刑務所的要素を持っていた、なんて事かもしれませんが笑

中島貞夫監督曰く「ある意味で最も東映らしい一本なんだよ。男どもがうわっとね、セットを揺るがして走って暴動をやるなんて、あんなシーンね、東映以外じゃ作れないでしょ。作ろうともしないだろうけど(笑)。」(「東映実録路線 最後の真実」より)

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