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『妻はサバイバー』

壮絶な闘いの記録に圧倒された。


『妻はサバイバー』永田豊隆

妻に異変が起きたのは、結婚4年目、彼女が29歳の時だった。摂食障害、アルコール依存症……。介護と仕事、その両立に悩み続けた20年近くにわたる自らの体験を、貧困ジャーナリズム賞受賞歴もある朝日新聞記者が克明に綴る。(Amazonより)


貧困、虐待などの「見えにくい」問題に起因する「見えにくい」精神疾患は、周囲や社会の偏見の目に晒され、さらに「隠すべきもの」として見えにくくされてしまう現状が記されていた。

自分にもアルコール依存症を患っている知人がいるので、その人はもしかしたら「快楽におぼれていた」わけではなくて「苦痛を緩和」したかったのではないか、甘えやだらしなさで歯なくて、根本的なその苦痛の原因はなんだったのかまで当時は考えが至らなかったし、周囲は「イネイブリング」をしてしまっていたのではないかと今更ながら思ってしまう。

逃げてしまいたくなるような終わらない辛さに直面し続けながらも、闘い抜いてきた二人だからこそ得られた穏やかさが最後にはあって、身勝手ながら安心してしまった。

また著者は自身のことを「伴走者でしかなかった」と言っているけれども、『どうしても頑張れない大人たち ケーキを切れない非行少年たち2』にもあったけど、なんとか食らいついてその存在であり続けようとしていることこそが、何よりの救いなんじゃないかと思った。

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