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財布を開いてもらう~起業で学んだ事~

マーケティングや営業活動を行う上で「どうしたら財布を開いてもらえるか」と「どの財布を開くか」を決める事が重要です。今回は私の起業時の実体験で学んだエピソードとともに伝えたいと思います。

私は、2008年にWeb集客コンサルタントとして開業しました。前職は電機メーカーだったので異業種からの挑戦です。

起業してすぐの頃は営業を頑張り、"ビギナーズラック"で数十万から数百万円のお仕事を何本かいただきました。右も左も分からずに業務をこなしていた記憶があります。その後、仕事がぱったりこなくなり、友人のお店のコンサルティングやWeb制作を無料で行わせていただく日々が続きました。

数年間はまともに稼ぐことができずに右往左往していました。起業したことは後悔していなかったのですが、事業形態、どうやって売っていくか、どこにお金を使うかなどで悩んでいました。自分に向き合う日が続き、ひたすら自己啓発書を読みまくり、自分の強みや弱みなどを深堀していきました。今でいう「自分探しの旅」といった感じでしょうか。(当時はそういう言葉は無かったと思います)

その時は思考が硬直していたと思います。起業前の自信は砕け散りプライドが傷つかないように周囲とも距離をおいて引きこもりに近い状態でした。やがて、家族の貴重なアドバイスも受け付けなくなっていました。

街で情報を探してふらふらしていたある日、地元の地域支援団体の方に声をかけていただきました。きっと、若い人が仕事もなくふらふらしているから心配だったのでしょう(笑)。その後、その地域支援の拠点で、日中、1対1のパソコン教室のお手伝いをさせていただきました。パソコンを教えるのは得意だったので、早速テキストを作ってスクールのような事を行おうとしたのですが何故かうまくいきませんでした。

ある日、シニアのお客様から「あなたは聞き上手だから、今日も私の話を沢山聞いてもらおうかしら」と意外なリクエストがありました。パソコンの使い方は全く覚えてくれませんでしたが、リピーターになってくれました。

それからはこちらが一方的に何かを教えるのではなく、何に困っているのかを聞くようにして、それに応えるようにするようにやり方を変えました。こうすることで少しずつお客様が増え、本業のWeb制作業も好転するようになってきました。起業して3年もかかって「自分が売りたいものを売るのではなくて、お客様が買いたいものは何なのかを知る事が大事なんだ」と初めて気づいたのです。

お客様が"お金を払ってでも欲しい/知りたい"というポイントが必ずあります。つまり、<strong>「財布を開いてくれるポイントはどこか」</strong>を探し当てるようにすることです。

企業は予算が決まっている場合が多いです。例えば、マーケティング費でいくら、交際費でいくら、光熱費でいくらと言った感じで、その期に支払う金額は決まっています。例えホームページを新しくしたいと思っていても、マーケティングの予算が無い/使い切っていれば仕事を依頼してくれません。ならば、コンサルティングや月額の通信費のお財布はどうかな、、という発想です。財布を開いてくれるポイントに加え、複数財布がある中で<strong>「どの財布を開いてもらうか</strong>」という発想も大事です。

それから十余年、今でもその点は常に考えています。新たなサービスや事業を生み出す場合もまずは「どの財布を開いてもらうか」を決めます。お客様にマーケティングを提案する際もマーケティング費用なのか、調査費用なのか、広告費なのか、コンサル費用なのかを決めておくことです。

商売を行っている方にとっては当たり前の事かもしれませんが、このような大事な事に気づくのに3年かかりました。思ったように商品/サービスが売れないと悩まれている方や、起業して商品/サービスを企画される方はぜひこの点を考えてみてください。

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