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「平らを極める職人技~きさげ加工」工学部ビギナー知識の旅マテリアル編第1話

「実習や実験する時は必ず気温や湿度、気圧を記録しろよー」

なーんて言われてるけど

なんでいちいち記録しないといけないんだよ~

めんどくさいなぁ


工学部系の大学で勉強しているとこんな場面があるよね!

実習や実験の記録ノートにはその日の気候や使用した器具をメーカー名から品番まで事細かに記録

正直こんなことやってなんか意味あんのかな~って思っちゃう


ボクも現在勉強中だけど、モノ作りの分野って実はちょー繊細!

気温1つでも実は金属はビミョーに変形しているらしい(目には見えない)

この超小さな誤差が大きな事故に発展する可能性があるんだから、実はめちゃ大事なことだったりする


今回はそんな超精密な分野の一つ「きさげ」についてお話していくよ!


<きさげってなによwマジでww>

Wikipediaにはこんなことが書いてある

きさげ加工(きさげかこう)とは、金属加工の一種であり、工作機械のベッドのような滑り移動を行う金属平面の摩擦抵抗を減らす目的で製造時の仕上げ工程で施される、微小な窪みを付ける加工である(Wikipediaより)

ふーん...

金属加工の一種ってのは分かった。でも「ヘッドのような滑り移動を行う金属平面」ってなによw

あとはまあ、なんか摩擦減らしたいんやな~とか

ちっちゃいくぼみ作るんか~くらい


まあ、これだけでは分からんっすよw

ここではまずきさげって摩擦を減らすんや~くらいでOK!

難しく考えないで先へGO!


<どやって摩擦減らすん??>

摩擦あるのは嫌だなってのはなんとなく分かるよね!

だってさ、擦り傷できたら痛いやん?w血出るし

遊戯王だってポケカだって傷が付いたら値段下がるし、やっぱ傷はついてない方がよさそーやもんね

金属でも摩擦はない方がよさそーってのはなんとなくイメージできる


実は加工する時とか何か作る時って色んなマシンを使う

それらのマシンも中身は金属でできてる

そのマシン動かすたびに実は金属同士がこすりあってる場面が多々あるみたい

そーやってこすりあってるとさ、悪くなってくやん?

部品作ってる機械が悪くなって完成品がちょっと歪んでる(目に見えない)だけでその部品使ってる車とかロケットが壊れたら人が死ぬね

そりゃ思ったより大変だってなりそうだ


じゃあその摩擦ってどーやってなくすんやろ?

方法としてはツルツルにすることだね!

つまり、凸凹を限りなく0にすること!

あとローションとかオイルを塗るってのもいい方法だね!


実際にどちらも使われている方法みたい

加工する機械の近くにはガチでオイルがこぼれていたりするから触ると汚れることあるよね


ああ、なんだ、これで一見落着じゃん

そう思っちゃうんだけど実はそー簡単な話じゃないんだよ~


<実は平らにしすぎもよくない...>

平らに削ってオイル塗れば完璧じゃんw

じゃあ、実際に真の平らの金属平面同士をこすり合わせるとこんなことが起こる

「ん?ツルツルしない。ってか全然動かない!!!」

実は平らすぎて密着しすぎると逆に動かなくなる現象(リンキング現象)ってのが起こる

じゃあそこでオイルを~!っと思うけど、限りなく凹凸が0に近い平面にはオイルが入り込む隙間がないから実はオイルもあんまり機能しなくなってしまう!


歪みが大きくても加工の精度が下がるし、平らにしすぎても逆にダメだし、一体どーしたらいいんだ!!!!

そこで登場するのがやっとお出まし!きさげ加工だ!!


<きさげ加工とは一体...>

平らな金属平面を作りたいけど、平らすぎもよくない

このパラドックスに立ち向かうための武器が「きさげ加工」

きさげ加工とは気にならないくらいの超うっすいくぼみを作る作業のこと

これ実は機械では難しいです。なので人の手作業です

機械は目に見える範囲では平らにすることができますが、さっきも言った通りモノ作りでは目に見えないスケール(ホント1マイクロメートル単位)でお話をしているので、そこまで精度を出すことは機械では難しいらしい

というのも、金属を加工する時には部材がずれないように固定する(グランんプ)時にかかる圧力による変形も無視できなくなるし、その日の気温とか気圧でもわずかに金属って変形するんだよね(だから実習前に記録しとけよーって言われてたのかも!)


ある程度は機械でやるけど、最後は人間の手

人間の手の方が誤差が出るんじゃないのー?

って思うけどそこは職人技みたいだね!


<実際にはどーやってやってんの??>

きさげの手順はこんな感じらしい

平削り→アタリ→平削り→アタリ→...→計測→平削り→アタリ→...

ほぼ「平削り」と「アタリ」だね!!w


平削りっていうのは木材加工でも使うようなノミに近い工具でコンコン打ち付けていくみたい

この刃を入れる角度や力加減はもう職人の領域

入れる角度がまずいと深く傷を付けちゃったり、力が強すぎると穴が開いちゃったり...

なんだか大変そうだなぁ

そうやってある程度表面にくぼみを作ったら「アタリ」という作業。

染料を薄く塗って高さのあるところ(アタリ)を発見し、削っていくみたい

高さがありすぎるところは色が濃く出るらしいからそこをもう一回削るんだね~

それを繰り返して平坦度をキープしつつ、細かいくぼみも許容差の範囲で作っていくみたいだね


<補足説明とまとめ>

いや~マジですごい世界だわー


ちなみにきさげ加工をする部屋は気温や湿度が常に一定になってるらしい

金属の変形って気温でも起こることにビックリだけどミクロ単位で精度を出すためにかなりこだわってるのがホントに伝わってくる

工学初心者のボクらはまだそこまで精度を求められる機会はないかもだけど、もしかしたら今後そんな世界に入っていくかもね♪


<参考文献>

今回の説明で分からないことがあったらここを調べてみるといいかも

また間違ってるとこもあるかもだからもし発見したら教えてくれると嬉しいです!

http://sciencechannel.jst.go.jp/D000502/detail/D030502078.html

〇https://www.yokohamaseimitsu.jp/%E8%A3%BD%E5%93%81%E6%A1%88%E5%86%85/%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%82%B2%E5%8A%A0%E5%B7%A5%E3%81%AE%E7%B4%B9%E4%BB%8B/

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