夏、ときどき、夢
40℃近く気温が上がる毎日。
夜中でも30℃を超える。
そんな中、突然エアコンが壊れてしまった。
暑くて寝られそうにないと思ったけれどその日は買い物のために店をあちこちハシゴしてかなり疲れていた。
「まあ、仕方ない」
窓を開けてみた。
しかし風は吹いていない。
蚊を呼び寄せただけのような気がしたがひとまず横になってみることにした。
ふと気がついた時なぜか蚊帳の中にいた。
「蚊帳って…」
起こっていることに戸惑って辺りを見渡すと亡くなったはずの祖父母が近くで寝ていた。
2人ももちろん蚊帳の中にいる。
祖母はいつも祖父のベッドの隣の床に布団を敷いて寝ていた。
だから蚊帳は斜めになっているがそんなことを気にする祖父母ではない。
いびきが部屋中に響き渡っている。
「まあ、仕方ないな」
考えても仕方ないのでまた眠りにつくことにした。
「蚊帳はいい」
夢の中でも蚊帳の中にいた。
これならいくら暑くても刺されることはない。
しかし…暑い。
暑くてたまらない。
喉が渇いて、ふっと起きてみた。
「あれ?」
蚊帳がなかった。
「夢かあ…」
足がやたらと痒くなってじっくり見てみると十箇所も蚊に刺されている。
「仕方ない。いつものやつ」
かゆみ止めを取り出して一生懸命塗りたくった。
「おじいちゃん、おばあちゃんにはこれは必要なかったんだ…」
暑くても蚊帳がある生活。
暑い上に蚊に刺される生活。
この二択しかこの世になければ?
エアコンが気になってスイッチを入れてみたら無事に動き出した。
「やっぱり涼しい上に蚊に刺されない生活がいい」
やっと夢からはっきり目覚めた。
【完】
666文字
ふくふくさん、ご査収ください。
私は1週間前に起きた出来事を忘れたい為だけに、毎日noteを必死で開き文字を打ち込んでいる。
分かっていても、止められない。
いつになれば忘れられる?
誰も答えてはくれない。
もう元には戻れない。
分かっていても心は抉られたまま。
夏が終わろうとしている。
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