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アストン・ヴィラと神戸のパートナーシップ


昨晩の速報

10/19 16時ごろだった。
アストン・ヴィラの公式Xでリリースを見た。
それは、ヴィッセル神戸とのフットボール領域における戦略的パートナーシップの締結を行ったというものだった。

正直、私は驚愕した。
レアル・ソシエダと徳島ヴォルティス、フェイエノールトと浦和レッズなど様々なクラブのパートナーシップを見てきたが、
プレミアリーグという市場規模がずば抜けたリーグの中堅クラブが
極東のリーグのクラブと手を組んだからだ。

実際は、横浜・F ・マリノスもプレミアリーグのマンチェスター・シティと提携しているが、今回ほどの驚きはない。
なぜなら、
横浜とマンシティは日産とルノーという関係性が存在するからだ。

それほどまでに強烈なのだ。しかも、アストン・ヴィラだ。
ぶっちゃけ、「そこー!?」って感じだ。

そんなことは置いといて、
両クラブが戦略的パートナーシップに至った経緯と共に、
今後の展望やその背景を考察していきたい。

アストン・ヴィラ 基本情報

神戸はある程度、皆さんも理解あるという前提の下で(楽天グループ、三木谷氏が会長)アストン・ヴィラの情報を追っていきたい。

アストン・ヴィラ(以下ヴィラ)は、イングランド 
ミッドランズ州バーミンガムをホームタウンとする
イングランドプレミアリーグのフットボールクラブである。

同じホームタウンにバーミンガム・シティ(イングランド2部)が存在し、
同クラブとの対戦はバーミンガム・ダービーと言われている。
(セカンドシティダービーともいう)

また、1888年に創設された世界最古のリーグである
イングリッシュ・フットボール・リーグ(EFL)に参加した
12クラブのうちの1つである。
(考案者はアストン・ヴィラ経営陣のウィリアムマクレガー)
更に、ヴィクトリア朝(世界史好きにはたまらんですね)で
最も成功したフットボールチームと呼ばれており、

独特のエンブレムは
スコットランド出身の経営者が多かったため
強豪レンジャースのエンブレムをモデルとしている。

スコットランド・レンジャース エンブレム
ライオンちゃんが似てるね。

また、近年では、
ジャック・グリーリッシュ(現マンシティ)やオリー・ワトキンス、タイロン・ミングスといった逸材を輩出。
補強の面でも、フィリペ・コウチーニョ、レオン・ベイリー、パウトーレスとったビッグネームの獲得に成功している。
監督についても、ウナイ・エメリを昨シーズンから招聘。
SDには、今シーズンからセビージャなどで辣腕を奮ってきたモンチが就任。

ピッチ上の人材は充実していくばかりである。
その結果か。
今シーズンでは、現在プレミアリーグ5位。
難敵ブライトンに対しても6-1の大勝を収めている。

オーナーはnassef sawiris(以下ナセフ)とwes edens(以下ウェス)が共同で務めている。彼らが代表を務めるV sportsという会社がヴィラの
親会社に該当する。


ヴィラの共同オーナーを務めるナセフ爺

戦略的パートナーシップ締結

そんなアストン・ヴィラが、
極東の国のフットボールクラブとパートナーシップを結んだことは欧州のクラブにとって驚きそのものだろう。

その戦略的パートナーシップの内容はこのようなものだった。

・若手選手の海外移籍支援
・選手育成を含めたパスウェイの構築(パスウェイってなに)
・指導者育成やクラブ間人材交流
・ユース年代における交流プログラム
・様々なデータの知見の共有

結構、詳らかに記載されていた。
更に、10月末にはV神戸がバーミンガムに訪れ、アカデミーの選手が練習参加する機会がもうすでに決定しており、
2024年には、ヴィラアカデミーチームとの対戦も予定されている。

ヴィラ側で言うと、国際的なネットワークの強化、
選手育成のパイプライン強化が主な目的だと言える。

また、V神戸会長の三木谷氏とヴィラオーナーのナセフ氏は友人でもあり、
彼らが持つV sportsネットワークの活用も主な目的だと
三木谷氏は語っている。


V神戸会長 三木谷 浩史氏

What is V sports?

もしかしたら、戦略的パートナーシップ云々よりも
V sportsという会社を深掘った方が面白いかもしれないと思ったので、
Vsportsを調べてみた。

エジプト人富豪のナセフとアメリカ人富豪のウェスは2018年 NSWEとして
3000万ポンド(当時約42億円)でレコングループの夏建統から買収した。
当時はチャンピオンシップ(イングランド2部)で、
55%の株式を取得した。

2019年には、100%株主となり、
2021年にV sportsとしてリブランディングを行った。

2021年12月にエジプト1部の(ZED FC)と
ユース育成のパートナーシップを締結し、
2023年にはそれが公式のものとなった。
同年、ポルトガル1部のヴィトーリアFCを500万ユーロ(約8億円)で
同クラブの46%の株式を取得し、少数株主となった。
さらに、スポーツ領域における200万ユーロの追加投資を約束しており、
2000万ユーロの信用供与を合意した。

また、2023年 ZED FCのU-17エジプト代表であるオマール・ケディルの獲得を発表し、2024年の年齢制限が解除されたタイミングで加入となる。
更に、mahmed negmやmarwan mahmoudが
2023年にZEDからヴィトーリアのトライアルに参加している。

また彼らは、アメリカでもMSLのチームをラスベガスで作ろうとしている。

主に、V sportsは純資産87億ドルを持つエジプト人富豪ナセフと
純資産15億ドルを持つアメリカ人富豪ウェスが
中心となるスポーツクラブ経営会社ということになる。

ちなみにそれぞれの紹介をしておくと、
ナセフに関しては、Orascom(エジプト大手通信)の創業者であるオンシ・サウィリスの三男であり、2人の兄(ナギーブとサミー)を持つ大富豪である。
1998年にorascom CEOに就任し、
besix(ベルギー代表メインスポンサー、ブルジュ・ハリファ建設に関与)の経営に参画、
のちにorascomが大株主になる。
それからウェスと出会うのである。

ちなみに、兄のナギーブはZED FCのチェアマンであり、サミーに関しては
エルゴーナFC(エジプト1部)のチェアマンを2003年から務め、FCルツェルン(スイス1部)の取締役にも就任している。
兄弟揃って、サッカークラブを持っているのだ。


一方、ウェスはというと、2014年からミルウォーキー・バックスというNBLチームの共同オーナーを務めている。

したがって、
両者もスポーツクラブの運営に関するノウハウは
存在するということになる。

ナセフ氏と三木谷氏の接点とは


ここで、気になるのはナセフ氏が三木谷氏と友人だったということだ。
友人とあれども、居酒屋で知り合った仲では、胸を張って友人と言えるだろうか。

少なくとも、ビジネスでの関係があったのではないかと私は考えている。
ナセフ氏はorascomというエジプト大手の通信会社の創業者の息子である。
orascomは現在global telecom holdingsとして、veon傘下企業に改編されている。

一方の三木谷氏は、楽天モバイルを展開している。vodafoneなどとの提携もあり、通信事業との関わりは深いはずだ。

今後のヴィッセル神戸はどうなる


V sportsのネットワークに参加することになった
ヴィッセル神戸はこれからどうなっていくのか。

まず、一つはユース年代の育成の充実であろう。
ヴィラをはじめとしたV sportsのクラブとの交流は、
神戸のアカデミーの選手にとって最高の環境になるのは
間違いない。

もう一つは、プロ選手の更なる海外進出だ。
イングランドという拠点ができたヴィッセル神戸は
良い選手の海外進出の足場になる。

欧州からしても、三苫や久保といったアジアの選手の確保など、
日本のクラブとの提携はメリットが大きい。

サウィリス兄弟の他クラブとのグローバルな連携も可能だ。


そういったことを考慮すると、
日本のサッカーには無数の可能性がある。

普通にしんどいので、ここまでにします。
読んでくれてありがとう。
愛してます。

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