「死んだ後にやりたいことリスト」を作ったら

つい先日。ここのところ体調がよくないせいか洗濯機の音に過敏に反応してしまい、動けずにうずくまっていた。やりたいことがあったので何とかカフェに向かい、パソコンで文章を書き終えると、気がついたら寒気を覚えていた。

この時期に寒気は怖い。ただでさえ危険極まりないウィルスが世界中で猛威を奮っている時期だ。もしかしたらこれから熱が出るかもしれないし、ついにわたしも感染してしまったのかもしれない。

いつも生きづらい死にたいとわめいている。その思いはきっと消えはしないけれど、アーティストで人生を変えていくと固く決めてから、その思いもすこし色なのか形なのか何かが変わった。質感かもしれない。

何度も自分の意思で死ぬことを望んでいたし、生きたいと願う人たちが死んでいくのなら、変わりにわたしが死ねばいいと毎日のニュースを見て思っていた。どうしても自分の力で生きることができない。環境を変えてもどんな工夫をしても、どうしてもたくさんの人に迷惑をかけるわたしを殺したくて仕方なかった。

「わたしが死んだほうがエコだ」

そんなことをよく口にしたり書いたりしていたわたしが、少なくとも自分から積極的に死ぬことは止めようと思い始めた。「感染したのかもしれない」と思ったとき、自分にとっての「死」が変化しているのを感じた。こんな感じだ。

「今のまんま死んでも、全然おもんないぞわたし」

もしかしたら死がすぐそばに迫っているかもしれないと思ったときにふと思った言葉を書き留めた。不謹慎極まりない表現で申し訳ない限りなのだけど。我ながらハッとしたしこの言葉が気に入った。

人はいつか死ぬ。それは病気だろうが怪我だろうが、あらゆる人にとっての確固たる未来だ。どこかに不老不死の人はいるかもしれないけれど、ちょっと存じ上げないのですいません。

わたしは自分自身にずっと不満を燻らせながら生きている。もう何も解決などしないと諦めてはもがき、諦めてはもがき、の繰り返し。何を変えれば。どうすれば。答えはどこにもない。わからない。

でもやりたいことや欲しいもの、なりたい自分、会いたい人…人生でやりたいことはずっと山のように増え続けて叶えられないままわたしの脳を突き破りそうになる。

「人生でやりたいことリスト」「今年やりたいこと」みたいなリストはいつも作っていたし、そういったワーク系の本もよく買った。（この本の話はサークル内で投稿したいネタの1つです）

今のやりたいことリストを大量に残したまま死ぬのかもしれない。たしかにそれは、納得いかない。おもんない。

そう思ったとき、ある変わったリストを作った。

タイトル通り、「死んだ後にやりたいことリスト」である。どんなリストなのかよくわからないと思う。

ざっくりと言うと「リストに挙げたこと」が自分の死んだあとに叶うように生きるために思いついたものだ。

年始や何かのタイミングで書く「やりたいことリスト」は自分が生きている間にできることだし、自分が主体でやることが多い。だけど「死んだ後にやりたいことリスト」は、それが誰かに叶えてもらえるような生き方をしないと達成されない。

わたしはアーティストで身を立てていきたい。偉大な人になりたい。

歴史上のたくさんの偉大な人物のことを、たとえずいぶん昔でもわたしたちは何人も知っている。それはなぜだろう。本から？映画から？銅像で見かけて？美術館や博物館で？偉人たちは、生きている間に「やりたいこと」「人にはやれないこと」を成し遂げたからこそ、その偉業が後世に伝わる。

わたしのリストはそういったことがずらっと並んでいる。身内に少しこのリストの話をしただけで、きっと冗談だと思っただろう。でもこれは「生きるためのリスト」なのだ。笑っちゃうくらい無理そうなものばかりだから、もっと真剣に生きていきたいのだ。

進み方はカメみたいにのろのろとしていて、人の目には全く映らないかもしれない。でも、「ウサギとカメ」みたいに最終ゴールである山のてっぺんに着きたい、それだけで歩くのだ。一番高いゴールは山ならエベレストの頂上かもしれないけれど、わたしにとってもっと遠いところがあるかもしれない。それはきっとわたしを魅きつけてやまないと思う。

社会不適合を極めつつある自分が書いた、無理そうすぎるものばかり並んだ「生きるための死後の世界でのわたしのリスト」を見ていたらなんだか笑えてきた。ここまでいくにはまだ全然だわ。

まずは体調不良を治そうとも思えたし、もっと色々なことに挑戦しないといけないと思った。「したい」ではなく「しなくてはいけない」。

死後の世界はどんなところだろうか。飛行機に乗るときは「こんな感じかなあ」といつも窓の外を見つめ続ける。窓から遠く見える街並み、海、緑。

わたしが死んだ後、飛行機の窓を覗くように「死んだ後にやりたいことリスト」が叶うかどうか見たい。どこの場所で叶っているかもわからないから、エゴサーチもできないといけないな。幸いにもただの風邪で済んで元気になったし、「今は不可能」なものを作らないといけない。