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自分の文化を取り戻す

キッチンの照明はペンダントライトで、形も明るさもとても気に入っている。
そのライトの光がまつ毛に当たって、視界にキラキラした形が映り込むのは、実はもっと気に入っている。
これは物心ついた時からのお気に入りの時間で、他にも目を擦った時に浮かぶ色形を楽しんだり、やたら光に魅入られることが多かった。
おそらく脳特性によるものなんだ、と40手前で知ったときはびっくりしたけれど、今は、過去に抑え込んできた自分に再会したような気持ちになる。

先日、第10回成人発達障害支援学会横浜大会の公開講座を拝聴した。

日常的にあれこれと情報に触れて、ノートやメモを使って考えていたことが、公開講座でのお話を伺っていてふわっと言葉になったので書き留めた。
それが「自分の文化を取り戻す」ということ。

ずーっと生きづらく苦しい中で、必死に擬態を繰り返してきたのだけど
わたしは自分のもともとの特性の出かたが、「社会に馴染むのには扱いづらい」と早くから感じていた。
そうしてわたしはわたしの文化を奪ってしまっていたのだと思う。
やっと腑に落ちそうな気がしている。

最近は、「元々の自分ってどんな感じだったのかな」とよく考える。
その中で、冒頭の光に関する気持ちもそうだし、自分の作った言葉や色や形や、どれもとてもいい材料だ。
自分の足跡がある。
自分のもともとの文化の足跡だ。

この世界は「全く同じ世界を共有している人が2人といない」というニューロダイバーシティな事実を知り、自分が見て感じたものを残しておきたいという気持ちも強くなってきた。
そもそも、自分自身が「自分の世界」をまだよく知らないのだと改めて思った。
そんな自分の世界を今なら探検してみてもいい、とも思えるようになってきた。

相変わらず興味がうつろってぼんやりしたり、疲れて頭痛に唸ったりもするけれど、
少しずつ少しずつ、社会的に必要な場面以外で力を抜いたり休むことができるようになってきた。

ここのところの取り組みは、「ADHDちゃん」と「ASDちゃん」の2人を、子どもの姿でイメージして、交互に面倒見つつ過ごすような気持ちでやっている。
スケッチブックには、デザインについての打ち合わせをしていた時とは違う自分がいるような、そんな色形が増えていく。

自分の文化を大事にして生きていきたいな。
大人になって違う文化圏に行ったとしたって、故郷には懐かしさがあるものだと思う。
そんな自分の文化を取り戻したい。
たくさんの傷と一緒にしまってあるから、少しずつ。

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